2014年12月30日

農産物・知財・環境・国有企業の交渉概要:12月以降IUST記事より北大東山先生解説&さらに要約抜粋


【農産物】
12月以降IUST記事より「農産物」概要(北大東山先生)よりさらに要約抜粋。
・ビルサック農務長官が、カナダの日米間決着を静観する態度に不満表明。「TPP交渉から外すとすれば日本でなくカナダ」と発言。農業界は「農産物市場アクセスに最大の恩恵をもたらす国は日本」、つまり最大のマーケットは日本だという認識共有。
・日米間の農産物協議で大きな進展。牛肉は評価すべき進展、コメは難航と説明。
米国米業界は関税撤廃を求めておらず、質(日本のエンドユーザーに直接販売)と量(関税割当量の大幅引き上げ)を希望。
・重要5品目以外でも顕著な成果があった。


◆12月以降IUST記事より「農産物」概要(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】
Inside U.S. Trade
December 26, 2014

VILSACK IMPLIES CANADA MORE LIKELY TO BE LEFT OUT OF TPP THAN JAPAN

【要点】ビルサック農務長官は12月9日、カナダのTPP交渉への態度に不満を表明し、もしTPP交渉から「外す」としたら日本よりもカナダだ、と発言した。カナダは、農産物市場アクセス交渉について、日米間が決着するまでは静観を決め込んでいるが、米国はそのことを苦々しく思っている。米国はカナダに対して、酪農品・家禽の追加的なアクセス拡大のオファーを出すよう求めてきたが、カナダは逆に、米国に政府調達の市場開放求めてそれに対抗している。日本は農産物市場アクセスの面で最大の恩恵をもたらす国と思われており、「外す」ことはあり得ないという認識を農業界は共有しているようだ。

Inside U.S. Trade
December 5, 2014

FROMAN SEES TPP DEAL IN 2015; KIND SAYS WHITE HOUSE LINKING TPA, TAA

【抄訳(部分訳)】12月3日、下院の民主党議員と密室の協議を行ったUSTRのフロマン代表は、日米間の農産物協議では大きな進展があったと語り、最もセンシティブな品目の扱いに関する最新情報を提供した。フロマン代表は、牛肉については前向きの評価をすべきものがあったとしたが、コメは難航しており、両国はタフな交渉に入っている、とした。米国のコメ産業は、日本に関税撤廃を求めているわけではないと以前から表明しており、単に日本市場へのアクセスを量と質の両面で改善して欲しいと要望している。量の面での改善とは、現在の関税割当量(68.2万トン、精米ベース)を大幅に引き上げることであり、質の面での改善とは、日本のエンドユーザーに直接販売することである(現在は政府機関との取引に一元化されている)。また、フロマン代表は、酪農品も良い方向で進展しているとした。最近の動向としては、米国の酪農団体(USDEC、NMPF、IDFA)が政権宛に書簡を送り、他の参加国(明らかに豪州・NZ)ではなく、米国の酪農産業が利益を得られるような協定とすることに焦点を当てるべきだ、と主張している。なお、フロマン代表は、日本との間では重要5品目以外でも顕著な成果があったとし、ナッツとワインのアクセス改善をすでに獲得している、と付け加えた。


【知的財産権】
「知的財産権」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)より要約抜粋。
・米国提案がTPPで導入されるとベトナムのエイズ治療治療薬は一人127→501ドルに値上がり、アクセスできる人が半減するとの研究結果。途上国にもすぐ適用される「エバーグリーニング※」ルールが原因だが見落とされていることが問題。
※既存訳の新しい利用・方法に特許を付与するルール
・影響力ある団体である全米退職者協会や国境なき医師団、オックスファムなど5団体がオバマ大統領に「米国提案の撤回」求める共同書簡。@バイオ医薬品に12年間のデータ独占権を与えることAエバーグリーニングB特許リンケージC公的薬価制度に介入DISDSを主張。


◆「知的財産権」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】

Inside U.S. Trade
December 26, 2014

STUDY CLAIMS U.S. TPP PROPOSAL WOULD CUT IN HALF ACCESS TO HIV DRUGS IN VIETNAM

【要点】米国の医薬品知財提案がTPPで導入されれば、ベトナムがエイズ治療薬(抗HIV薬)にアクセスする能力は半減するだろう、という研究結果が出された。この研究は豪州と米国の研究者の手によるもので、11月下旬にシドニーで開催された国際会議で発表された。研究によれば、ベトナムがエイズ患者に投薬治療を施せる割合は、現在の患者全体の68%から30%に低下するだろう。その理由はエイズ治療薬の値上がりであり、治療費用は現在の1人当たり127ドルから501ドルに上昇するだろう。この研究を手がけた専門家(オーストラリア国立大学のHazel Moir准教授)によれば、このような事態をもたらす医薬品知財のルールは「特許保護期間の延長」や「データ独占権」ではなく、いわゆるエバーグリーニング(既存薬の新しい利用・方法に特許を付与する)だという。米国はダブルスタンダード(先進国には高い基準、途上国には一時的に低い基準)を提案しているが、エバーグリーニングは両者に共通しており、途上国にもすぐさま適用される。このことが見落とされているのが、大きな問題だとしている。

Inside U.S. Trade
December 26, 2014

GENERICS, CONSUMER, LABOR GROUPS PRESS OBAMA TO CHANGE TPP DRUG RULES

【抄訳】12月16日に米国の5団体がオバマ大統領に書簡を送り、TPPの医薬品にかかわる米国提案を撤回するよう求めた。この5団体とは、ジェネリック医薬品協会、AFL-CIO、全米退職者協会(AARP)、国境なき医師団(MSF)、オックスファムである。これらの諸団体は、以前は個々に反対を表明していたが、今回、初めて共同行動をとった。彼らの利害関心は一致しているわけではないが、TPPが医薬品のアクセスに与える懸念を共有している(ただし、TPPにすべからく反対、という表明をしているわけではなく、改良を主張する団体も含まれる)。彼らが反対しているのは、@バイオ医薬品に12年のデータ独占権を与えること、Aエバーグリーニング、B特許リンケージ、C医薬品の附属書(政府の公的薬価制度に介入する)、DISDS(新薬メーカーによって利用される恐れがある)、等である。AARPは影響力のある団体であり、ロビー活動を強めているようだ。彼らは、オバマ大統領が予算提案で、バイオ医薬品のデータ独占期間を12年から7年に短縮するとしていたこととの矛盾を突いている。また、MSFとオックスファムは、米国が提案しているダブルスタンダードでさえ、その低い(途上国向けの)基準はこれまでの米国のFTA(ペルー、コロンビア、パナマ)や「5月10日合意」のレベルを上回っていると指摘する。特に、エバーグリーニングの問題である。彼らはこの点を「複数の国の交渉官と認識は一致している」と自信をのぞかせており、また、米国提案による先進国/途上国を区分する基準についても、反対する国が多いことを知っているようだ。


【環境】
「環境」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)よりさらに要約抜粋。
・多国間環境協定や保全、生物多様性をめぐる対立が解けず、交渉は泥沼に。複数国が3協定(絶滅危惧種、海洋汚染、オゾン)に限定し、協力メカニズムを主張。米国は7協定、紛争解決を提案。


◆「環境」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】
Inside U.S. Trade
December 12, 2014
TPP ENVIRO TALKS GET BOGGED DOWN OVER MEAS, CONSERVA-TION, BIODIVERSITY

【要点】12月7〜12日に開催されたワシントン交渉会合は5つの作業部会を設定し(市場アクセス、原産地規則、環境、国有企業、リーガルの5つ※)、環境分野で大きな進展を見込んでいたものの、多国間環境協定や保全、生物多様性をめぐる対立がとけず、交渉は泥沼にはまってしまった。米国は7つの多国間環境協定が規定するオブリゲーションをTPPに導入し、これをTPP協定に共通の(つまり特別なものではない)紛争解決に服することを提案していた。しかし、複数の国が3つの協定に限定するよう主張した模様である(絶滅危惧種、海洋汚染、オゾンの3協定)。さらに、その3協定に限った場合でも、米国が提案する紛争解決に服するのではなく、複数の国が「協力メカニズム」を主張した模様である。
※この他に繊維の作業部会が開かれたとの情報もある。また、国有企業と投資は作業部会が開かれず、二国間もしくは首席交渉官会合で議論された模様。


【国有企業】
概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)よりさらに要約抜粋。
・例外扱いの国有企業の数を減らすことが焦点。将来新たに設立される国有企業は、例外扱いにはならない。ネガティブ・リスト方式で、将来の政策余地を限定する。
米国とベトナムで進展あり。

◆「国有企業」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】
Inside U.S. Trade December 19, 2014
TPP SOE PRINCIPLES WOULD PREVENT EXCEPTIONS FOR FUTURE ENTITIES: SOURCES

【要点】国有企業分野の議論は、例外扱いとする国有企業の数を減らすことに焦点を当てている。これは、すでに合意された原則(10月のシドニー閣僚会合で合意された7つの原則)にもとづいて作業が進められている。その原則によれば、将来新たに設立される国有企業は、例外扱いにはならない。原則のひとつによれば、各国は、国有企業の国別附属書において、例外扱いとする国有企業を具体的に記載することになっている。つまり、ネガティブ・リスト方式であり、この方式はそもそも、将来の政策余地を限定するものである。12月7〜12日に開催されたワシントン交渉会合では、例外扱いとする国有企業の数を減らすことにおいて、良い進展があった(特に米国とベトナム)。例外扱いとする国有企業の選定にあたって、そのセクターやカテゴリーは考慮されていないが、もしもすべての参加国が特定のタイプの国有企業(例えば輸出信用機関)を例外扱いに指定するならば、それは国別の約束表から外れてテキスト本文に盛り込まれ、将来設立されるそのタイプの国有企業も例外扱いとなる可能性がある。

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「TPA」交渉概要:12月以降IUST記事より北大東山先生解説&さらに要約抜粋

12月以降IUST記事より「TPA」概要(北大東山先生)よりさらに要約抜粋しました。

・TPPdaketunisakidati TPA法案の議会承認が必要との認識。
・来年2・3月早い時期に新TPA法案を完了させるべく、民主党ワイデン議員と共和党ライアン議員のが共同で作業。
・TPP諸国は完了済チャプターのリーガルチェックを始めている?。妥結前に始めるのは通常とは違っており、スムーズに進める意図。
・USTRのテキスト開示レベルが上がり、議会がTPP協定を評価する作業が進むとみられる。
・USTRフロマン代表は来年妥結する見通しと、年内に批准してほしいと要望。


◆「TPA」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】

Inside U.S. Trade
December 26, 2014
WHITE HOUSE OFFICIAL SIGNALS ADMINISTRATION WANTS TPA PRIOR TO TPP DEAL

【要点】ホワイトハウス高官は12月18日、TPPの妥結に先立ち、TPA法案を議会が承認することが必要だ、との認識を示した。このような認識は、TPPを妥結することが、TPA法案の成立に勢いをつけるとしていた、以前の認識とは異なっている。

Inside U.S. Trade
December 19, 2014
HATCH SAYS TRADE, INCLUDING TPA RENEWAL, FIRST ON FINANCE AGENDA IN 2015

【要点】共和党のハッチ上院議員(財政委員会の次期委員長)は12月15日、新たなTPA法案を成立させることが、来年1月からの新議会での重要な課題になる、と発言した。この点は、共和党のマコネル上院議員(上院の次期院内総務)も共有している。現在、民主党のワイデン上院議員(財政委員会の現委員長)と、共和党のライアン下院議員(歳入委員会の現委員長)は共同で、TPA法案の改訂作業を進めており、来年の1月か2月のできるだけ早い時期に、新TPA法案の作成を完了させたいとしている。しかし、これは野心的な日程かもしれない。

Inside U.S. Trade
December 19, 2014
TPP COUNTRIES INTENT ON STARTING LEGAL SCRUB PRIOR TO REACHING AGREEMENT

【抄訳】TPP諸国は、すでに完了しているチャプターのリーガル・チェックを始めようとしている模様である(すでに始めている、と見る向きもある)。リーガル・チェックは、交渉が妥結して以降、署名するまでの間に行われ、これには数ヶ月を要するのが一般的である(米韓FTAでは3ヶ月かかった)。交渉が妥結する前にリーガル・チェックを始めるのは、通常の進め方とは異なる。その目的は、TPP協定の批准手続きを速やかに進めるためである(米国内では、夏の終わりまでにTPP履行法案を議会に提出する可能性も囁かれている)。しかし、リーガル・チェックを早めたからといって、それだけが署名までの時間を短縮するわけではない。米国では、TPAに定められた手続きとして、署名の90日前までに協定の内容を議会(両院の議長)に通告することになっている。また、同じく署名の前に、ITC(国際貿易委員会)が影響評価を行うことも定められており、これには通常、最大90日を要する(なお、2014年1月のTPA法案では、この期間を105日に延長していた。また、ITCの前責任者は、TPPの評価には最低5ヶ月かかると発言したことがある)。ただし、ITCは必ずしも完成した(リーガル・チェックを経た)協定の内容に基づいて、評価を行う必要はないのかもしれない。
TPPを2015年前半に完成させるのであれば、4月1日前後に協定の内容を議会とITCに伝える必要があるということになるが、来年1月以降に提出されるTPA法案では、議会への通告とITCによる影響評価という要件を修正する可能性もある。

Inside U.S. Trade
December 12, 2014
USTR ALLOWS TRADE COMMITTEE STAFF TO VIEW TPP TEXTS WITH HIGHLIGHTED CHANGES

【抄訳】USTRはこの2〜3週間で、TPPのテキストを開示するレベルを上げている。開示が認められているのは、議会で通商交渉を担当する委員会(上院は財政委員会、下院は歳入委員会)の認められたスタッフのみであるが、以前はテキストの最新バージョンを閲覧できるだけであった。しかし、今度からは「レッド・ライン版」と称されるテキストが閲覧できるようになっている。このバージョンでは、変更点が明確になっている。知財のテキストなどは優に100ページを超えており、最新のテキストを提供されても変更点を特定するのは困難であった。閲覧できるテキストにはブラケット(括弧)付きのものを含むが、各国のポジションの部分は削除されている。これにより、議会がTPP協定を評価する作業が進むとみられている。

Inside U.S. Trade
December 5, 2014
FROMAN SEES TPP DEAL IN 2015; KIND SAYS WHITE HOUSE LINKING TPA, TAA

【要点】USTRのフロマン代表は12月3日、下院で通商協定を指示している民主党議員のグループに対し、TPPは来年妥結するという見通しを伝え、年内に批准して欲しいと要望した。また、議会がTPPを審議する前に、TPP法案を成立させる必要があると訴えた。

Inside U.S. Trade
December 5, 2014

IN TWO SPEECHES, OBAMA SAYS HE WILL MAKE CASE FOR TPA TO CONGRESS

【要点】オバマ大統領は12月3日のビジネスラウンドテーブル(財界のロビー団体)の席上で、TPA法案の成立の必要性を、議会の共和党・民主党の指導層に訴えた。また、この問題について、議会と積極的に共同で作業するつもりであることを伝えた。

Inside U.S. Trade
November 28, 2014

TRADE NOT PART OF TAX BILL TALKS, LIKELY DELAYING GSP RENEWAL UNTIL TPA

【要点】TPA法案は、2015年の早期に動き出すと見る向きもある。上院財政委員会の現委員長であるワイデン議員は、その推進の先頭に立っている。TPPの妥結に先立ち、議会がTPA法案の成立に向けて早期に動き出すという方針は、非公式なかたちではあるが、オバマ政権によって承認されている考え方である。新たなTPA法案を推進する鍵を握るのは、上院財政委員会の次期委員長と目される共和党のハッチ議員だろう。
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