若間泰徳(AMネット)
2015年8月22、23の両日、福岡県太宰府市で「第22回 世界と地域を結ぶフォーラムin大宰府」(旧FTA NGOフォーラム)が開催されました。今回のフォーラムは、3つの講演を軸に、分科会や寸劇なども行われ、地元九州の大学生たちが運営の多くを担い、新鮮な印象が強く残るものとなりました。
基調講演@「TPPの本当の問題は?」
磯田宏准教授(九州大学農学研究院)
TPPの枠組みにおける経済規模は、全体の8割以上を日米が占めており、実質的には日米FTAと大差ない。日本にとってRCEP(東アジア包括経済連携協定)や日中韓FTAなどに比べてもその経済成長性は、明らかに小さいものでしかない。
そのような状況で日米がTPPに前のめりなのは、両国がモノの貿易ではなく、投資やサービス貿易による利益構造が出来上がっているからだ。TPPはこのような非関税分野での自由貿易を拡大させるものであり、さらに台頭する中国に対して、世界的なリーダーであり続けたいアメリカと、同じくアジアの強国であり続けたい日本の安倍政権による思惑が絡み、国民にとっての国益を損なうようなTPPが推し進められている。
このような現状において、市民社会の対抗軸としては、「憲法をまもり活かす、政治・社会・経済」が重要だ。
次の分科会では、4つのテーマ(@地域とは?ともに生きる「いのち」、Aサンドイッチから考える僕らの食生活、B新しい自分らしい「働き方を探る」、C食と農、シティファーマーの可能性)で、それぞれに活発な意見交換が行われました。
基調講演A「TPP時代の地域づくり」
NPO法人泉京・垂井 神田浩史副代表(AMネット理事)
TPPは、太平洋を越えてモノ、カネ、ヒトの移動をより一層盛んにすることを目的としている。その結果私たちは、「より遠くのモノを消費すること」、「より遠くのカネを使うこと」、「より遠くの人と競争すること」が出来るようになる。しかし、私たちは、本当にこれ以上、「遠くのモノを消費し」、「遠くのカネに影響され」、「遠くの人と競争する」ことを望むのか、現在はその大きな分岐点に立っている。
これからは、穏やかで豊かな“穏豊(おんぽう)”な社会を目指した取り組みが重要だ。そのためにらしさ≠活かした地域づくりやつながり≠キーワードにした取り組み、さらに流域単位≠ナ考えることが大切だ。
特別講演「平和は地域から」
池住義憲氏(元自衛隊イラク派兵差止訴訟の会代表)
安倍政権が成立を目指している安全保障関連法案は、明らかに違憲。TPPと同じく、国民の権利を損い、憲法体制の破壊につながる。現在、TPP交渉差止・違憲訴訟を行っており、9月7日には第一回口頭弁論が行われる。みなさんの賛同をお願いする。
その後の懇親会には30人ほどが参加、翌日も各地から集まった参加者がそれぞれの団体や地域での活動を紹介し、情報交換、交流を図りました。午後からは、オプションツアーが行われ、永利牧場、大刀洗平和記念館などを見学したのち散会となりました。
来年の次回フォーラムは名古屋。詳細はWEBなどで告知します。ぜひご参加ください。■