TPPと並行して行われてきた日米交渉の書簡から。
「TPP断固反対」と選挙を戦った安倍政権が数ヶ月後に、TPP参加したことは周知の事実。
直後2013年4月に日米で交わした書簡にて以下記述がある。
「両国政府は,TPP交渉と並行して,保険,透明性/貿易円滑化,投資,知的財産権,規格・基準,政府調達,競争政策,急送便及び衛生植物検疫措置の分野における複数の鍵となる非関税措置に取り組むことを決定」
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2013/4/130412_syokan.pdf
それに基づき、これまでの交渉結果をまとめられたものが2016年2月にまとめられた書簡(サイドレター)は全33ページ。
うち、日本側は31ページ。
米国側は、2ページのみ。
そして双方2ページは定型的なもので、
日本側のみ29ページにわたって、米国政府に約束させられた内容が書かれ、米国側からの約束は一つもない。
■保険等の非関税措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/pdf/side_letter_yaku/side_letter_yaku21.pdf
「両国政府」が取り組んだはずの非関税措置への取り組み。
日本側のみこれほど約束させられた事実はどうみるのか。
米国に約束させることができたものはなにか?
政府側は何度も「法的拘束力はない」というが、
「こんなことまで要求するなんて、相手国に失礼でしょう。では、日本政府は他国政府に対して同様の約束を要求したのか」
という岸本議員の質問に対しても
「こういった交渉がされているのは日米のみ。これまでの経緯が違う」と岸田大臣。
これほど細かく、日本側だけ約束させられていることに政府として、問題意識はないようです。
このサイドレターでは、保険,透明性/貿易円滑化,投資,知的財産権,規格・基準,政府調達,競争政策,急送便及び衛生植物検疫措置について、非常に細かなことまで書かれていますが、これまで米国貿易障壁報告書で要求されてきた内容と非常に似ています。
(2016年から、外務省訳がなぜか概要のみなところも気になります)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/usakeizai.html
岸本議員の質疑やサイドレターで明らかになったものから少し列挙します(多すぎる)。
■衛生植物検疫措置では
・日本では禁止されている収穫後の防かび剤が、現在、米国からレモン・オレンジ等、輸入できなくなるため、(農薬なのに)食品添加物として認められている。
食品添加物のため、表示の必要があるが、これをなくせと米国から要求されているが、表示できなくなるのか?
→塩崎厚労大臣「表示をやめるわけではない」
・薬事・食品衛生審議会の審議を、厚労省の審議会である「農薬・動物用医薬品部会及び添加物部会が合同で審議を行う」と、日本政府がどこで審議するのかを決められている。
・ゼラチンコラーゲン
牛由来のゼラチンコラーゲンの食用の使用について、厚労省提案の管理措置を条件に、人の健康に対する危険性は無視できると結論。輸入規制を緩和した。
■投資(規制改革)
2020年までに外国からの対内直接投資残高を少なくとも倍増。
外国からの直接投資を促進、日本の規制の枠組みの実効性・透明性を高めるために、外国投資家他、利害関係者から意見・提言を求める。
定期的に規制改革会議に付託し、日本政府は規制改革会議の提言に従って必要な措置をとる。
■「保険」では
・民間の保険サービス提供者に対して、「日本郵政への販売網アクセス」を与えること
・郵政民営化法で、かんぽ生命保険との契約維持を要求しない
・総務省から金融監督庁に出向した場合、金融庁のみ報告する(つまり、総務省に報告し、かんぽに有利な扱いしないためだが、当然のこと)
・日本郵政鰍ェ連結損益計算書を年1回公表する(当然やっている)
■その他にも、「日本政府が当然やっていることを、いちいちピンポイントで約束させられていることの意味はなにか。
日本政府がどれほど信用されていないか。」
安倍総理は
「すでにやっていることだから、書いても問題はない」
と答弁。
しかし、「政府の立場として、これまでの文脈を考えても、日本は米国の奴隷なのかと思わせられる。」
といった岸本議員の指摘も追加します。
■岸本修平議員の動画は「TPPって何?」FBページの投稿からご覧いただけます。
https://www.facebook.com/groups/whatisTPP/permalink/1860467120840974/