2017年03月28日

団体賛同しました「日EU経済連携協定に対する市民社会による共同声明」

「日EU経済連携協定に対する市民社会による共同声明」にAMネットも団体賛同しました。

http://uchidashoko.blogspot.jp/2017/03/eu.html

日本と欧州の市民社会団体である私たちは、日EU経済連携協定(JEFTA)に対する深い懸念をここに表明します。

 EUや日本では、貿易協定に関する公開性と説明責任の欠如が、国民の不信感を強めています。

 しかしながら、2013年3月以降、欧州連合(EU)と日本政府は、世界のGDPの3分の1をカバーする包括的な貿易協定を交渉してきています。2016年12月、東京で開催された第18回交渉会合が東京では交渉は近々妥結するかもしれないとされたが、EU側では交渉者に与えられた権限は公表もされておらず、また日本においては交渉については完全な秘密の状態です。 市民社会や労働組合などの団体によって提起された多くの正当な懸念に反して、交渉についてほとんどのことが知らされていません。

 EU側が出した交渉に関する要約に含まれるごくわずかな情報に基づけば、この協定は公共サービスの民営化をもたらす可能性があります。また巨大な外国投資家が、並行的な裁判制度を通じて政府を提訴できる特権を持つこともあり得ます。小規模農家に打撃を与えることや、プライバシーとデータ保護の権利などの基本的権利に対して悪影響を与える危険もあります。行きすぎた知的財産権を元に戻そうとするEUおよび日本の措置が制限されることもあります。政策決定プロセスにおける企業ロビイストの役割を強化することによって、規制当局に追加的な負担を与えかねません。

 EU加盟国と日本の国会議員のほとんどだけでなく、欧州と日本における市民社会組織や労働組合の人々も、交渉されている内容を知りません。協定の草案を見たことも、相談を受けたことすらありません。私たちはこのような不透明性を非難します。

 今日、市民社会の広範なセクターは、労働者や公衆衛生、民主主義、公共サービス、環境に貿易・投資協定が与えるであろう悲惨な影響を非難するために結束しています。TPPやTTIP、CETA、TiSA、RCEPなどの貿易協定の有害性と秘密主義を批判するために、このように数多くの多様な組織がグローバルなレベルで終結したことはこれまでありません。

 欧州と日本において農民や市民、労働者からの信頼を取り戻すために、本声明に署名した組織は、欧州委員会と日本政府に対し、貿易交渉における権限を開示し、すべての交渉文書を公表し、日EU経済連携協定が、多国籍企業の特権を優先するのではなく、人々と環境の保護を第一義とすることを求めます。


【署名団体】

Advocacy and Monitoring Network on Sustainable Development (Amnet): AMネット, Japan
AITEC, France
ALEBA Luxembourg, Luxembourg
Attac Austria, Austria
Attac Finland, Finland
Attac France, France
Attac Ireland, Ireland
Both Ends, Netherlands
Confédération Paysanne, France
Corporate Europe Observatory, Belgium
CRASH – Coalition for Research and Action for Social Justice and Human Dignity, Finland
DIEM25 Finland, Finland
Ecologistas en Acción, Spain
Emmaus Aurinkotehdas ry, Finland
Entrepueblos/entrepobles/entrepobos/herriarte, Spain
Food & Water Europe, Belgium
Friends of the Landless, Finland
Government: 市民と政府のTPP意見交換会・全国実行委員会, Japan
Greenpeace, International
Katholische ArbeitnehmerInnen Bewegung Erzdiözese Wien, Austria
Les Amis de la Terre, France
MAMADEMO (The group to lift up voices of young mothers): ママデモ, Japan
Milieudefensie, Netherlands
Mouvement Ecologique, Luxembourg
National Committee for the Dialogue on TPP between Citizens and the Government, Japan
Natur&ëmwelt a.s.b.l., Luxembourg
New Wind Association, Finland
Pacific Asia Resource Center (PARC), アジア太平洋資料センター(PARC)Japan
People’s Action against TPP: TPPに反対する人々の運動, Japan
Platform Aarde Boer Consument, Netherlands
PowerShift e.V, Germany
Seattle to Brussels Network, Europe
Stop TAFTA Luxembourg, Luxembourg
STOP TPP Action in KANSAI: STOP! TPP緊急行動・関西, Japan
TPP Citizen Coalition: TPPを考える市民の会, Japan
TPP Osaka Network for Citizens: ほんまにええの?TPP大阪ネットワ−ク, Japan
Transnational Institute (TNI), Netherlands
TTIP Network Finland, Finland
Umanotera, Slovenia
War on Want, United Kingdom

※英文サイトはこちら
http://www.s2bnetwork.org/statement-eu-japan/
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2017年03月23日

【大阪市水道民営化・市会での議論C】「水道事業の経営形態見直しについて〜収支シミュレーションは信頼できるのか?いびつな案になっていないか〜

【大阪市水道民営化・市会での議論】
@「水道法改正での制度」と「現行プラン」と、どう違うのか?
http://am-net.seesaa.net/article/447934673.html

A「これまでの水道統合協議は、どのような経過で進んできたのか?維新へのブーメラン」
http://am-net.seesaa.net/article/448019152.html

B「水道事業の経営形態見直しについて〜水道民営化を推進する唯一の会派、維新の質疑から」
http://am-net.seesaa.net/article/448069081.html



今回の報告はC「水道事業の経営形態見直しについて〜収支シミュレーションは信頼できるのか?いびつな案になっていないか〜です。

経営形態見直しについて、以下2人の市議が質疑されました。

杉山幹人委員(東淀川区選出:維新 副委員長)
武 直樹委員(生野区選出:OSAKAいくの 会派代表者)

賛成の維新の杉山市議質疑(報告B)の次は、武議員を見ていきます。

主な主張は
1、料金値上げを回避するための経営形態変更というが、収支シミュレーションでみても数年しか変わらない。

2、そもそも収支シミュレーションの算定条件、30年間もの長期間の予想を信頼できるのか?

3、公共性を求めるあまり、経営自由度がなくがんじがらめ。民営化のメリットが失われ、いびつな形に。

4、「経営形態変更」することが目的へと、問題が矮小化している。



<以下、市会での議論の概要>
C「水道事業の経営形態見直しについて
〜収支シミュレーションは信頼できるのか?いびつな案になっていないか〜

【収支シミュレーションは信頼できるのか】


武:経営形態変更の質疑への応対のために、これまで膨大な手間とコストがかかっており、そろそろ結論を出すべきだ。

経営形態の見直しの必要性は
「給水収益の減少が続くが、災害対策などコストは増大する見込み。経営の効率性・生産性を向上させ、料金値上げを回避する」
とある。

しかし、経営形態を変更しても、トレンドは同じ。30年間の収支シミュレーション期間直後の平成60年以降赤字となるのでは?
結局、料金改定の時期が延びるだけで、避けられないのでは?


局:運営権の活用により、相当期間、料金値上げを回避できることは大きな意義がある。



武:とにかく市民にとっては「数年でも黒字期間がのびればよい」ということか。
運営会社に変えれば、今後もずっと黒字が続くというのであれば考慮に値するが、数年しかない。

収支シミュレーションを見れば、この先赤字になることが明らか。
赤字転落直前で、シミュレーション期間がうまいこと切れている。これはたまたまなのか?作為的なのか?

そもそも収支シミュレーションはあっているのか?
例えば、収支シミュレーションの算定条件は平成27年度の黒字77億円だが、実際の決算は145億円と2倍近く違っている。
この数字で算定し直せば、赤字転落時期はさらに先に延びるのでは?
大阪市の予算でも毎年10年の粗い試算がされているが、毎年かなり変わっている。本当に信頼できるのか?

局:専門家のアドバイスの元、収益・費用も極力盛り込んでいる。ただし30年間の長期のため、経営環境の変化によって変わる。

しかし、運営会社の収支は、民間的経営手法の導入により、コスト削減効果が発生するため、公営企業との比較でいえば収支上もコストメリットの差が継続的に続く。

武:30年先までは、やはりわからない。
それなのに、「30年先に赤字にあるから今決めろ」と。それほどメリットがないのに、なぜ急ぐ必要があるのか。



【管路更新のペースアップは実現できるか】

武:更新が必要な管路がたくさん残っている。
平成27年度末での管路耐震化率は26.2%、現行プラン案では、30年後約2200`を更新し70%を目指すとある。

平成24年度までは年間55q、近年は年間70qのペースを、運営形態の変更で年間80qにするとあるが、どんな手法なのか。

局:民間手法の活用により「工期の短縮」と「工事費用の削減」で、管路耐震化ペースアップを実現する見込み。


「工期短縮」…請負者トン協力体制の構築、長期契約に基づく指示書方式を採用。工事発注の弾力化・手続きの効率化により短縮。加えて、単価契約方式を採用。設計・積算業務の効率化を図る。

「工事費用の削減」…小規模工事のまとめ発注や、柔軟な価格交渉が可能な比較見積もり方式の導入による競争性の促進


武:その手法は、公営企業のままでもできるのではないか?経営形態を変更する決断の根拠は、これでできるのか?

公営・運営会社ともに、管路耐震化は80`でシミュレーションされているが、現状、公営企業は70`。
70`で算定すると黒字期間が伸びるのでは?


局:公営企業では70`が上限だが、運営会社では80`できると考える。
シミュレーションは、比較のため、同条件で算定している。70`で計算すると赤字転落は5年程度先送り予想。耐震化は約300`遅れる。


武:シミュレーション、5年先送りだと平成58年、運営会社だと60年くらいと2年しか変わらない。

複雑なスキームを作っても、この程度のメリットしかない。


【まとめ】

武:「公共性の担保」を目指せば目指すほど、株式会社化することでの経営メリットを失っている。
目的が、「経営形態を変更する」ことに矮小化されている。


常に大阪市の管理下にあり、料金改定の権限すらない会社に経営努力が生まれるのか?こんな自由度のない案でいいのか?
こんな自由度のない会社に転籍し、公務員の身分を失う職員のモチベーションは上がるのか?何を糧にがんばれるのか?


公共性を目指せば目指すほど、重要視されるあまり、経営の自由度が極端に制限されたいびつなものになっているうえに、「えいや」といけるものすごいメリットもない。

だから結論も出ない。しかし、大阪市水道局は、このままの公営企業のままでいいと思っておらず、むしろ公営企業のままでは未来はないのかと考える。

公共性と自由度のバランスのとれた経営形態の見直しは必要だが、今回の案には賛成できない。


(コメント)
水道事業に「公共性の担保」が特に重要であることは、どの会派も異論がありません。

しかし、武議員指摘の通り、
「公共性を目指せば目指すほど、重要視されるあまり、経営の自由度が極端に制限されたいびつなものになっているうえに、「えいや」といけるものすごいメリットもない」
に尽きると思います。


そもそも「公共性の担保」と「経営の自由度」は両立できるのか。

相反するからこそ、維新の杉山議員の言われる通り
「これ以上、水道局が汗をかけるところがない」
にも関わらず、メリットがない案にしかならない。

メリットがないのに、経営形態を変更する意味がどこにあるのか?


水使用量の減少による収入減の一方、水道管更新など老朽化でのコスト問題は、全国共通です。

数十年後の将来、経営が厳しくなることは、まず間違いありませんが、民営化は
「自力で水道事業をやることを行政があきらめる」ことであり、行政の責務を放棄することだと言えます。

水がなくては生きていけません。
将来、公営・民間関わらず、経営が苦しくなると予想するのであればこそ、行政が責任もってやるべきではないでしょうか。



※武議員配布資料

@大阪市水道局作成の経営収支シミュレーション及び算定条件
http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu260/live/pdf/20170313take1.pdf

A「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?」 全国事業体ごとの推計結果」より大阪市ページを抜粋
http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu260/live/pdf/20170313take3.pdf
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2017年03月17日

【大阪市水道民営化・市会での議論B】「水道事業の経営形態見直しについて〜水道民営化を推進する唯一の会派、維新の質疑から」#水道民営化

【大阪市水道民営化・市会での議論B】
「水道事業の経営形態見直しについて〜水道民営化を推進する唯一の会派、維新の質疑から」#水道民営化



【大阪市水道民営化・市会での議論】
@「水道法改正での制度」と「現行プラン」と、どう違うのか?
http://am-net.seesaa.net/article/447934673.html

A「これまでの水道統合協議は、どのような経過で進んできたのか?維新へのブーメラン」
http://am-net.seesaa.net/article/448019152.html



平成29年3月13日交通水道委員会では、経営形態見直しについて、以下2人の市議が質疑されました。

杉山幹人委員(東淀川区選出:維新 副委員長)
武 直樹委員(生野区選出:OSAKAいくの 会派代表者)

まずは、「水道民営化」を推進してきた唯一の会派、維新の杉山市議から見ていきます。


<以下、市会での議論の概要>

【経営形態見直しについて】

杉山:(これまでの議論で、水道民営化の現行プランに対する)市民の誤解・不安・反対意見について、そのような懸念には及ばないと確認できた。

水道法改正内容は)自治体サイドからの要望もあり、市に事業認可を残すことで、大災害など不測の事態に際し、水道運営に対する市の公共的役割や責任を担保することがねらいと考える。

一方、運営会社が事業認可を取得する、大阪市の現行プランは、
水道事業の公共性を確保する点は、優先度の高い価値観として、既に十分考慮された形になっているものと理解しているが、その点について局の見解は?


局:(公開資料に記載済みの、これまで通りの答弁)

水道事業は、市民生活に密接に関わる事業。水道事業の公共性については、引き続き確保していくことを大前提として、制度設計を進めてきた。

新たに設立する運営会社:国から事業認可を得た水道事業者として、平常時の事業運営については全面的に責任を負い、運営は、市との実施契約や要求水準に従う。

市に設置するモニタリング部署:履行をチェックするとともに、必要があれば、運営会社に対し、業務改善等の指示を行う。


水道料金:現在の料金水準をそのまま、上限として条例で定める。運営会社は、自らの裁量だけで値上げをすることはできない。
市との協議や常設する外部有識者機関の意見具申等を踏まえるとともに、最終的には、議会の議決を要する。


平常時は運営会社が責任を負うが、地震等の大規模災害により、国庫補助の対象となるような水道施設の損壊が生じた場合には、市は水道施設の所有者として、主体的に施設の復旧等、必要な措置を講ずることとしているなど、今回の経営形態見直しプランにおいては、水道事業の持つ極めて高い公共性に鑑み、市の果たすべき役割、責任等についても、詳細に定めている。


杉山:事業の公共性を確保するという点では、すでに十分留意したプランになっている。



【海外事例について】

杉山:これまで、フランスやドイツ、イギリスでの、特に失敗事例といわれるものを具体的に取り上げてきた。

今回、局として、改めて、海外事例について詳細な検証を進めた、その検証結果について、現在の市の経営形態見直しプランとの比較等も含めて、局の見解は?


局:昨年8月の内閣府の調査を参考に、当局としても独自に、外部専門家への調査委託も行い、主に、フランスのパリ市やドイツのベルリン市、イングランド ウェールズ地方の事例について、詳細に検証。

パリ市・ベルリン市は「再公営化」と言われる事例。

両市に共通する背景に水道料金の上昇への市民の不満。

加えてパリ市は事業会社への管理監督業務を、事業会社にも出資している民間事業者に委譲。
監督する側・される側が利益相反の関係に。

ベルリン市は、市と民間事業者の間で非公開の協定が締結、民間事業者に高い利益率を保証していたことなど。

イングランド事例。
事業の公共性を確保するため、国により事業会社に対する管理・監督を行う組織が設置(オフワット)、料金の規制や経営モニタリングを実施。

市のプランでは、運営会社による事業運営について、客観性、透明性の確保に努める。


杉山:つまり、パリ市・ベルリン市の失敗した理由を研究し、そうならないように、また、イギリスのオフワットもうまくいっているいい事例として、取り入れればいい。

現行プランは、日本で先行事例のない初めてのケース。

国の成長戦略に、大阪市は名指しされており、国との協議・調整も完了。税負担の軽減要望も前向きな回答を得ている。

実際、厚労省の担当に「大阪市が汗をかけることはまだ何か残っているのか?水道局ができることはまだあるのか」と聞いたら、大阪市はよく勉強している。他検討中の自治体と比較しても進んでおり、大阪市のできることはない、と褒められた。

つまり、後は議会で懸念事項を詰めることしか残されていない。
現行プランは、クリアすべき点はすべてクリアされていると理解している。局の見解は?


局:現行プランは先行事例がなく、懸念等、関係省庁と一つ一つクリアにしてきた。

例えば、災害復旧時の国庫補助については、公営と同様にその対象となる
法人税等の新たな負担の軽減措置を要望し、日本再興戦略の中で「交付金や補助金による措置等によって、新たな負担感を最大限なくす仕組みの導入を検討する」と前向きかつ具体的に明記された。

これまでの市会での議論等を踏まえ、運営会社の人材確保に資するため、事業期間の延長も可能など修正をしてきた。
局として、考えられる課題解消に向け、最大限務めている。

杉山:本当に水道局は頑張ってくれている。

水道料金が減少し続ける厳しい経営環境の中、市民の大切なライフラインである水道を、将来にわたり持続・安定させていくためには、水道事業において特に留意すべき「公共性」は損なうことなく、さらなる運営基盤の強化、効率化を図ることが不可欠。

運営権制度を活用した経営形態の見直しは、これらの課題をクリアする極めて有効な手法であり、わが会派としては、以前から申し上げているとおり、市民メリットの実現を図るため、できるだけ早期に、議会での賛同を。

<ここまで>



(コメント)

▽「懸念に及ばないと確認できた」と 冒頭、 杉山市議は言われました。
しかし、これまでの市議会での議論や公開されている資料を、いくら見ても懸念は募るばかりです。

▽例えば、市に設置する「モニタリング部署」。
現場をなくした職員が、どうやってモニタリングするのか?
そもそも、大阪市が作るという運営会社への要求水準自体、いつまで作成できるのか?非常に疑問です。


▽「事業の公共性を確保」
十分に留意されたといいますが、民間マインドを持つ=ビジネスの論理で動く、ということ。

公共性と利益が同じ方向であればいいのですが、常にそうではありません。
公営企業であれば、水道で得た利益はすべて水道のために使われますが、民間会社になれば、株主 配当・ 利益の確保が必要になります。


例えば「節水」
限りある水資源のため、「節水シール」で市民に節水を促す場面はよく見られます。しかし、民間会社からすれば、売り上げが下がること。

例えば「漏水への対応」
漏水は貴重な水資源であり市民生活にも影響するため、 さまざまな調査や工事を、かなりのコストをかけて行っています。

「漏水対策に使うコスト」と「漏水で失う利益」のどちらが大きいのか?
「未然の漏水対応するより、事故が起こってから対応する方が安いのでは?」といった、 そろばんをはじくことになるのではないでしょうか。




▽水道料金の本当の問題。「将来、値上げを断れるのか?」

民間委託会社に対し「そんなんまだいらん」「高すぎる」と、コストダウンさせるのはよくあること。
それができるのは現場を知ればこそ、ですが、現場を知る大阪市の職員は、民営化すれば将来いなくなります。

現場を持たない大阪市が、運営会社からの値上げ要求を本当に断れるのか?断る根拠を持てるのか?

海外事例でも民営化後、水道料金が高騰するケースは多く、公営の今よりも料金が高騰するのではないかと心配です。


※参考:水道民営化で、逆に「水道料金があがる」不安
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1087767437928895/?type=3&theater




▽海外での失敗した理由を研究し、対応しているから大丈夫?

現行プランは、日本で先行事例のない初めてのケースです。
しかし海外では似たような事例が数多く存在します。

海外では失敗ばかりでも、大阪市だけは成功する…?

民営化し、ビジネスマインドを持つことが、水道に適しているのか?
公共性と利益の相矛盾するものを、本当に将来にわたって、公共性が担保できるのか?

しかも、公共性を担保する主体の大阪市が、都構想で、なくなるかもしれないのに…?


▽税負担の軽減措置

今回、上下分離方式で、大阪市が資産を持つことで固定資産税は不要ですが、民営化すると、当然、法人税がかかります。

現在、大阪市は政府に対し、法人税の免除を要請しており、
「交付金や補助金による措置等によって、新たな負担感を最大限なくす仕組みの導入を検討する、と前向きかつ具体的に明記された。」
とあります。

しかし、民営化された日本郵政は法人税を支払っています

税の公平性の観点からも、「未来永劫、水道の運営会社だけ、交付金や補助金などの措置を受ける」ことが、本当に可能なのでしょうか?

公営企業であれば不要の法人税は、国・大阪府など、多くが大阪市外に流出することになります。



▽水道料金の改定は?

杉山市議自身が
水道料金が減少し続ける厳しい経営環境の中…」と言われています。

言われる通り、今後の人口減少や節水を考慮すれば、水道料金収入は、このままだと下がると予想されます。

一方、通常の民間会社であれば、まずは「売り上げの増加」を考えますが、「民営化でコストダウン」ばかりが議論の中心となるのは、なぜなのでしょうか?

実は、大阪市の水道料金設定は、98%の世帯が、「水の原価」より安く、水を買っています。

大阪市はすでに大都市で一番水道料金が安く、大阪府内でも一番安い基準。
他都市では値上げする自治体もでていますが、大阪市では、20年間値上げされていません。


--水道を民営化せねばならないほど、経営環境が悪化する…。

そうであれば、将来世代のためにも、これほど安い、原価割れの水道料金システムを続けてもいいのか。

料金値上げありきではなく、今の課題・懸念を解決するにはどのような形が最適なのか。


議案提出以降、維新の市議は
「極めて有効な手法」「市民メリットの実現を図るため早期実現を」
と言いますが、本当に、それ以外の手法、それぞれのメリットデメリットをきちんと検証したのか、非常に疑問です。
(ちなみに、料金改定した場合の、収支シミュレーションはされていません。)


※参考:大阪市水道民営化すれば、「市民負担が軽くなる?」
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1084644201574552/?type=3&theater



▽そもそも、競争原理や、経営の自由度を高めることが民営化のメリットのはずです。
しかし地域独占の水道は、競争がありません。
公共性の高い、命の水を維持しようとすると、どうしても自由度が低くなります。

大阪市水道局の説明は非常に分かりやすく、頑張っていることは確かです。

しかし、これほどの公共性を、民間企業に求めることが、そもそも困難なのではないでしょうか?



※参考@
・水道局独自の調査は公開されていない模様(2017年3月16日現在)。
・内閣府資料
「フランス・英国の水道分野における官民連携制度と事例の最新動向につい 2016年8月」
http://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/houkoku/report/pdf/h28kaigai_suidou.pdf


<この質疑の動画はこちらから>
http://www.gikai-web.jp/moviefile/w_h29/20170313kousu2.html
posted by AMnet at 20:53 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月16日

【大阪市水道民営化・市会での議論A】「これまでの水道統合協議は、どのような経過で進んできたのか?維新へのブーメラン」#水道民営化 #水道法改正


【大阪市水道民営化・市会での議論@】※「水道法改正での制度」と「現行プラン」と、どう違うのか?

【大阪市水道民営化・市会での議論A】「これまでの水道統合協議は、どのような経過で進んできたのか?」

大阪知事に橋下氏就任、2008年以降始まった水道事業の府市統合協議。
現在は吉村市長提案の水道民営化の現行プランが、大阪市会で議論されています。

直近の話題として、「水道事業の府域一元化」をめぐり、竹山市長・吉村市長の「企業団との統合」への発言、「(企業団の)水道事業を大阪府に戻したい」という松井知事の発言も出ており、複雑なものになってきました。

松井知事の言うように「水道事業を大阪府に戻す」ことは可能なのか?
これまでの大阪市の水道事業の議論・経緯はどうだったのか?

平成29年3月9日交通水道委員会において、多賀谷俊史委員(住吉区選出:自民党)の質疑で、その整理がされています。


<以下、市会での議論の概要>

【第1期:橋下知事・平松市長時代】

多賀谷:副首都推進本部会議などで、松井知事、竹山市長が水道の府市統合について発言している。
当時の橋下知事と平松市長の間での水道統合協議が、なぜ実現しなかったのか、その経緯は?


局:平成20年2月〜22年2月:当時の大阪府水道部と大阪市水道局と統合協議を行った。

大阪市の提案は、コンセッション型の指定管理者制度。
「府に資産や用水供給料金の決定権を残したまま、
府の用水事業そのものを、大阪市が受託する」もの。

平成21年9月:当時の橋下知事と平松市長でいったん合意。

しかし、
・合意した指定管理者制度への府議会の関与の形骸化
・府内42市町村の意見反映の担保

などの意見から、42市町村の理解が得られず

平成22年1月:府内42市町村の首長会議で、指定管理者制度を選択せず、「企業団方式」を選択。

平成23年4月:府の用水共有事業を承継し、府営水道事業は廃止。
府内42市町村での「大阪広域水道企業団」が設立、竹山市長が企業長に就任。


多賀谷:橋下知事と平松市長でいったん合意した案が、どうしてダメになったか。
大阪市が何かしたように言われるが、知事も了解しており、それは違う。

大阪市は協力する立場だが、市町村と直接契約し、広域行政として所管している大阪府が、第一義的な説明責任があり、大阪府に責任がある。

橋下知事が当時、42市町村をまとめきれなかったのが原因。



【第2期:松井知事・橋下市長時代】

多賀谷:その後、橋下市長が、企業団と大阪市の水道事業を統合する方針をだしたが、実現せず。この経過は?


局:平成24年3月以降、企業団と42市町村で協議を重ね、統合案について平成25年4月、大阪市含む府内43市町村の首長会議で承認。

大阪市会で統合案の議案提出するも、「市民にメリットがない」と、平成24年5月否決。

主な懸念事項

・市水道局の資産を、全て企業団に無償譲渡

・市域水道事業会計と企業団の用水供給事業会計の分離と、本市の水道料金維持が、制度的に担保されていない

・統合後における企業団議会の定数37名のうち、本市配分枠が7名と少ない

・企業団が市水道局の技能職員及び外郭団体を引き受けない

・統合後の水ビジネスの推進が明確でない

・本市以外の市町村と企業団との統合について期限を切らず、府域一水道の促進につながらない


府内43市町村での統合案と、市会との隔たりがあり、企業団との統合協議を一旦中止。


【第3期:松井知事・吉村市長時代】

多賀谷:その後、運営権制度の活用に舵を切り、現在に至っている。(※下記補足参照)

現行プランには、運営会社が府内の市町村からの業務を受託する「運営の一元化」も目指していくとある。



【松井知事の直近の発言を踏まえて〜企業団の解散〜】
多賀谷:「用水事業を府に戻したい」と、松井知事が発言。どのような手続きが必要か。


局:
@一部事務組合である大阪広域水道企業団の解散手続き
大阪府による用水供給事業の開始の手続き。

A大阪広域水道企業団、その構成団体である42市町村、及び大阪府の間で、解散後の財産処分や企業団職員の処遇など、事業承継に関する事項を定める(想定)

B地方自治法に基づき、企業団の構成団体である42 市町村すべての議会の議決

C大阪府議会において、大阪府における用水供給事業の設置条例を制定し、併せて広域的水道整備計画の変更

D水道法に基づき、厚生労働大臣による企業団としての事業廃止 許可及び、大阪府への事業開始認可


多賀谷:42 市町村すべての議会の議決が必要。松井知事のいう「水道事業を府に戻す」のは、現実的でない。


【副首都推進本部会議での直近の議論を踏まえて〜府域一水道〜】

多賀谷:これまでの経緯を踏まえ、副首都推進本部会議での直近の議論から。
企業団の竹山市長が「府域一水道実現のため、水道事業統合を再検討してほしい」と発言。

これに対し、吉村市長は「かつて否決されたものと、同じもので再度やっても無理」と発言★。
その通りだ。
都構想も、前の案と同じでは無理。吉村市長自身が同じことを言っている。


また、松井知事は「竹山市長が企業団を一つにまとめないと(ダメ)」
「大阪府は水道部を企業団に渡したので、水道をコーディネートする権限がない」と言っているが、本当にそうか?


局:府営水道が廃止され、市町村と直接契約関係はないが、府域水道を把握する部署はあると聞いている。
(なぜか職員が言いよどむ。多賀谷委員は「事前通知したのに」と)


多賀谷:府域水道の事業認可するのは大阪府。
森友と同じく、権限がないと言いながら、本当はある。
竹山市長に責任を押し付けている。


<ここまで>


(コメント)
▽「水道を、大阪府に戻したい」という松井知事の言葉にどれほど現実味があるのか?

2016年末、副首都推進本部会議(※参考)で松井知事は、

「まずは企業団という形に駒を進めたけど、今となっては一元化に向けては、やっぱり一歩あそこでとまっといたほうがよかったなと。

今やったらできるんでね。だからあれ企業団から返してもらわれへんかな、もう。

企業団に渡して、あのとき渡さんかったらよかったというのをずっと思うんでね。」

と発言しています。

「今やったらできる」という発言も、この答弁で「現実的にほぼ不可能」であることがあきらかになりました。

「今となっては、あそこで止まっといたらよかった」
「あの時渡さんかったらよかった」
と今さら言われても、戻せないものは戻せません。


▽囲み取材でも、松井知事は
「今の企業団、竹山さんやる気ない。(前のプランのままの)竹山さんの案☆では、大阪市内の水道料金上がる形になる。大阪市民が納得しないし、議会も通らない。
そんな無理難題で言うなら、やる気がないということ。やる気ないなら大阪府に戻してもらいたい。今ならできる」

旨、発言しています。

しかし、42市町村の自治体は、水道料金・自己水源・資産状況等々、まったく状況が違います。そもそも、そんな簡単に統合できるわけがなく、竹山市長への批判は的外れと言わざるを得ません。

そもそも、第一義的な責任をあった、橋下知事自身が説得できなかった。(上記の区分けでの、第1期)

つまり、「橋下知事がやるといったのに、出来なかったこと」を、竹山市長のやる気の問題にすり替え、人のせいにしている、と言わざるを得ません。
堺市長選挙を睨んで、政局に使いたいがためではないか?と懸念します。


▽大阪市は全国の大都市で水道料金が安く、大阪府内でも一番安い基準。

竹山市長の案がどうこう言う前に、
府域一水道によって、大阪市以外の大阪府内の料金が下がることはあり得ても、
「大阪市の水道料金が上がらない案」は、現実的に可能なのか、そもそも疑問です。


▽竹山市長の「府域一水道実現のために、水道事業統合の再検討」への発言に対し、
松井知事が「前のプランのままだでは通らない。無理筋だ」☆
吉村市長が「かつて否決されたものと、同じもので再度やっても無理」★

と発言。(あれ…?ブーメランでは?)

これに対し、多賀谷市議は
「大阪市民にメリットがないからつぶれた話で、その通り」
「良いことを言われている。しかし、否決された都構想も同じこと。前と同じプランでは通らない。」
と指摘しました。



▽どんな水道が市民にとって、より良いものなのか。

選挙や政局に惑わされず、簡単に戻せないもの、なくては生きていけない重要な公共財だからこそ、もっと慎重に考えるべきです。



(※第3期の経過の概要補足)
平成25年6月大阪市戦略会議で「水道事業の民営化の検討」が発表
平成26年4月「水道事業民営化基本方針案」提示(パブコメ実施で反対意見が圧倒的多数)11月「実施プラン案」提示
平成27年8月「修正実施プラン案」が提示
平成28年2月吉村市長が「大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」を提出

平成29年3月現在、継続審議中


※参考
副首都推進本部会議≪第7回議事録≫
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/27077/00237658/281227_gijiroku.pdf

<この質疑の動画はこちらから>
http://www.gikai-web.jp/moviefile/w_h29/20170309kousu3.html

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2017年03月14日

【大阪市水道民営化・市会での議論】「水道法改正での制度」と「現行プラン」と、どう違うのか?#水道民営化 #水道法改正

【大阪市水道民営化・市会での議論】
「水道法改正での制度」と「現行プラン」と、どう違うのか?


今国会で議論されている「水道法改正法案」。
3月7日に閣議決定されましたが、詳細はいまだ不明です。

そんな中、平成29年3月9日交通水道委員会において、福田武洋委員(旭区選出:自民党会派代表者)の質疑が行われました。

「水道法改正での制度」と、「大阪市の水道民営化の現行プラン」と、どう違うのか?

<以下、市会での議論の概要>

福田:水道法改正の仕組みの概要を

局:今回の法改正では、地方公共団体が水道事業者としての位置づけを維持しつつ、厚生労働大臣の許可を受けて、水道施設の運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入

・厚生労働大臣の許可の申請
地方公共団体である水道事業者が実施計画書を提出し、
厚生労働大臣は、許可基準に適合していると認め許可

・実施計画書への記載事項
許可の対象とする施設や事業内容、運営権の存続期間のほか、事業の適正性や継続性を確保するための措置などは法律で定め、
更に省令でその他の事項や提出書類を定める

・許可基準
事業計画が確実かつ合理的であること、利用料金が要件に合致するかなどが法律で定め、
これらの基準適用に必要な技術的細目は、省令で定める


福田:つまり、市の事業認可をなくし、民間事業者に移すのが大阪市の現行プラン
厚労省の認可を受け、自治体に事業認可を残すのが改正案

市の責任・国の関与などはどう違ってくるか。

局:
【現行プラン】
水道事業者としての責任&国の関与:運営会社
要求水準達成・経営状況:市のモニタリング部署がチェック
水道料金改定:市・市会
災害時等:リスク分担を定め、市が主体的な役割を果たし、持続性の担保に責任を持つ仕組み


【改正案】
水道法上の最終責任:市
水道事業の全体方針の決定・全体管理:市
国の関与:市と運営会社双方
市に残すべき業務:個別の契約で、具体的に定める


福田:水道法改正法案が出されたばかり。
国会での審議・法案成立後に出る省令・ガイドラインを踏まえ精査する必要がある。


<ここまで>

(コメント)
災害時などの非常時やいざという時、将来世代への担保は、
「大阪市が主体的な役割を果たす」そうですが、
「大阪都構想」が実現し「大阪市がなくなった場合」はどうなるのでしょうか?


いざという時に真っ先に困るのが水。
将来にわたって安全で安価な水が「当たり前」でなくては困ります。

「自治体からの要望があったとはいえ、国自身も水道は、やはり公的関与をより残した形での官民連携だと感じる」と、福田市議も指摘。

報道でも「水道民営化」をやりやすくするための水道法改正と言われていますが、大阪市の現行の水道民営化プランは、公的関与を残さない形であり、そのさらに上を行っている、と言えます。

しかし、「公的関与があれば、民間の事業体でいいのか?」という疑問が残ります。

いずれのプランも通常の運営は民間事業者が行うが、「最終的な責任は市が負担」する形。

そもそも通常の運営をしない行政が、いざというときに、ノウハウ・人材はどうするのでしょうか?
どうやって責任を取るのでしょう?(…お金?)


いま議論されている官民連携の手法は「利益は民間に。リスクは行政に」と批判をうけているものです。

TPP以降、TiSA(新サービス貿易協定)など、他の貿易交渉も進んでおり、公共サービスは狙われています。
しかも、ラチェット条項やISDSで「後戻りが非常に困難」です。


民営化(の方向)へ行けば、短期的にはコストダウンするかもしれません。

例えて言えば「目の前の小銭を拾っている間に、後ろから札束を盗まれる」ことになりはしないのか、心配でなりません。


<この質疑の動画はこちらから>
http://www.gikai-web.jp/moviefile/w_h29/20170309kousu2.html
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