2017年03月16日

【大阪市水道民営化・市会での議論A】「これまでの水道統合協議は、どのような経過で進んできたのか?維新へのブーメラン」#水道民営化 #水道法改正


【大阪市水道民営化・市会での議論@】※「水道法改正での制度」と「現行プラン」と、どう違うのか?

【大阪市水道民営化・市会での議論A】「これまでの水道統合協議は、どのような経過で進んできたのか?」

大阪知事に橋下氏就任、2008年以降始まった水道事業の府市統合協議。
現在は吉村市長提案の水道民営化の現行プランが、大阪市会で議論されています。

直近の話題として、「水道事業の府域一元化」をめぐり、竹山市長・吉村市長の「企業団との統合」への発言、「(企業団の)水道事業を大阪府に戻したい」という松井知事の発言も出ており、複雑なものになってきました。

松井知事の言うように「水道事業を大阪府に戻す」ことは可能なのか?
これまでの大阪市の水道事業の議論・経緯はどうだったのか?

平成29年3月9日交通水道委員会において、多賀谷俊史委員(住吉区選出:自民党)の質疑で、その整理がされています。


<以下、市会での議論の概要>

【第1期:橋下知事・平松市長時代】

多賀谷:副首都推進本部会議などで、松井知事、竹山市長が水道の府市統合について発言している。
当時の橋下知事と平松市長の間での水道統合協議が、なぜ実現しなかったのか、その経緯は?


局:平成20年2月〜22年2月:当時の大阪府水道部と大阪市水道局と統合協議を行った。

大阪市の提案は、コンセッション型の指定管理者制度。
「府に資産や用水供給料金の決定権を残したまま、
府の用水事業そのものを、大阪市が受託する」もの。

平成21年9月:当時の橋下知事と平松市長でいったん合意。

しかし、
・合意した指定管理者制度への府議会の関与の形骸化
・府内42市町村の意見反映の担保

などの意見から、42市町村の理解が得られず

平成22年1月:府内42市町村の首長会議で、指定管理者制度を選択せず、「企業団方式」を選択。

平成23年4月:府の用水共有事業を承継し、府営水道事業は廃止。
府内42市町村での「大阪広域水道企業団」が設立、竹山市長が企業長に就任。


多賀谷:橋下知事と平松市長でいったん合意した案が、どうしてダメになったか。
大阪市が何かしたように言われるが、知事も了解しており、それは違う。

大阪市は協力する立場だが、市町村と直接契約し、広域行政として所管している大阪府が、第一義的な説明責任があり、大阪府に責任がある。

橋下知事が当時、42市町村をまとめきれなかったのが原因。



【第2期:松井知事・橋下市長時代】

多賀谷:その後、橋下市長が、企業団と大阪市の水道事業を統合する方針をだしたが、実現せず。この経過は?


局:平成24年3月以降、企業団と42市町村で協議を重ね、統合案について平成25年4月、大阪市含む府内43市町村の首長会議で承認。

大阪市会で統合案の議案提出するも、「市民にメリットがない」と、平成24年5月否決。

主な懸念事項

・市水道局の資産を、全て企業団に無償譲渡

・市域水道事業会計と企業団の用水供給事業会計の分離と、本市の水道料金維持が、制度的に担保されていない

・統合後における企業団議会の定数37名のうち、本市配分枠が7名と少ない

・企業団が市水道局の技能職員及び外郭団体を引き受けない

・統合後の水ビジネスの推進が明確でない

・本市以外の市町村と企業団との統合について期限を切らず、府域一水道の促進につながらない


府内43市町村での統合案と、市会との隔たりがあり、企業団との統合協議を一旦中止。


【第3期:松井知事・吉村市長時代】

多賀谷:その後、運営権制度の活用に舵を切り、現在に至っている。(※下記補足参照)

現行プランには、運営会社が府内の市町村からの業務を受託する「運営の一元化」も目指していくとある。



【松井知事の直近の発言を踏まえて〜企業団の解散〜】
多賀谷:「用水事業を府に戻したい」と、松井知事が発言。どのような手続きが必要か。


局:
@一部事務組合である大阪広域水道企業団の解散手続き
大阪府による用水供給事業の開始の手続き。

A大阪広域水道企業団、その構成団体である42市町村、及び大阪府の間で、解散後の財産処分や企業団職員の処遇など、事業承継に関する事項を定める(想定)

B地方自治法に基づき、企業団の構成団体である42 市町村すべての議会の議決

C大阪府議会において、大阪府における用水供給事業の設置条例を制定し、併せて広域的水道整備計画の変更

D水道法に基づき、厚生労働大臣による企業団としての事業廃止 許可及び、大阪府への事業開始認可


多賀谷:42 市町村すべての議会の議決が必要。松井知事のいう「水道事業を府に戻す」のは、現実的でない。


【副首都推進本部会議での直近の議論を踏まえて〜府域一水道〜】

多賀谷:これまでの経緯を踏まえ、副首都推進本部会議での直近の議論から。
企業団の竹山市長が「府域一水道実現のため、水道事業統合を再検討してほしい」と発言。

これに対し、吉村市長は「かつて否決されたものと、同じもので再度やっても無理」と発言★。
その通りだ。
都構想も、前の案と同じでは無理。吉村市長自身が同じことを言っている。


また、松井知事は「竹山市長が企業団を一つにまとめないと(ダメ)」
「大阪府は水道部を企業団に渡したので、水道をコーディネートする権限がない」と言っているが、本当にそうか?


局:府営水道が廃止され、市町村と直接契約関係はないが、府域水道を把握する部署はあると聞いている。
(なぜか職員が言いよどむ。多賀谷委員は「事前通知したのに」と)


多賀谷:府域水道の事業認可するのは大阪府。
森友と同じく、権限がないと言いながら、本当はある。
竹山市長に責任を押し付けている。


<ここまで>


(コメント)
▽「水道を、大阪府に戻したい」という松井知事の言葉にどれほど現実味があるのか?

2016年末、副首都推進本部会議(※参考)で松井知事は、

「まずは企業団という形に駒を進めたけど、今となっては一元化に向けては、やっぱり一歩あそこでとまっといたほうがよかったなと。

今やったらできるんでね。だからあれ企業団から返してもらわれへんかな、もう。

企業団に渡して、あのとき渡さんかったらよかったというのをずっと思うんでね。」

と発言しています。

「今やったらできる」という発言も、この答弁で「現実的にほぼ不可能」であることがあきらかになりました。

「今となっては、あそこで止まっといたらよかった」
「あの時渡さんかったらよかった」
と今さら言われても、戻せないものは戻せません。


▽囲み取材でも、松井知事は
「今の企業団、竹山さんやる気ない。(前のプランのままの)竹山さんの案☆では、大阪市内の水道料金上がる形になる。大阪市民が納得しないし、議会も通らない。
そんな無理難題で言うなら、やる気がないということ。やる気ないなら大阪府に戻してもらいたい。今ならできる」

旨、発言しています。

しかし、42市町村の自治体は、水道料金・自己水源・資産状況等々、まったく状況が違います。そもそも、そんな簡単に統合できるわけがなく、竹山市長への批判は的外れと言わざるを得ません。

そもそも、第一義的な責任をあった、橋下知事自身が説得できなかった。(上記の区分けでの、第1期)

つまり、「橋下知事がやるといったのに、出来なかったこと」を、竹山市長のやる気の問題にすり替え、人のせいにしている、と言わざるを得ません。
堺市長選挙を睨んで、政局に使いたいがためではないか?と懸念します。


▽大阪市は全国の大都市で水道料金が安く、大阪府内でも一番安い基準。

竹山市長の案がどうこう言う前に、
府域一水道によって、大阪市以外の大阪府内の料金が下がることはあり得ても、
「大阪市の水道料金が上がらない案」は、現実的に可能なのか、そもそも疑問です。


▽竹山市長の「府域一水道実現のために、水道事業統合の再検討」への発言に対し、
松井知事が「前のプランのままだでは通らない。無理筋だ」☆
吉村市長が「かつて否決されたものと、同じもので再度やっても無理」★

と発言。(あれ…?ブーメランでは?)

これに対し、多賀谷市議は
「大阪市民にメリットがないからつぶれた話で、その通り」
「良いことを言われている。しかし、否決された都構想も同じこと。前と同じプランでは通らない。」
と指摘しました。



▽どんな水道が市民にとって、より良いものなのか。

選挙や政局に惑わされず、簡単に戻せないもの、なくては生きていけない重要な公共財だからこそ、もっと慎重に考えるべきです。



(※第3期の経過の概要補足)
平成25年6月大阪市戦略会議で「水道事業の民営化の検討」が発表
平成26年4月「水道事業民営化基本方針案」提示(パブコメ実施で反対意見が圧倒的多数)11月「実施プラン案」提示
平成27年8月「修正実施プラン案」が提示
平成28年2月吉村市長が「大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」を提出

平成29年3月現在、継続審議中


※参考
副首都推進本部会議≪第7回議事録≫
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/27077/00237658/281227_gijiroku.pdf

<この質疑の動画はこちらから>
http://www.gikai-web.jp/moviefile/w_h29/20170309kousu3.html

posted by AMnet at 12:25 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする