2017年06月19日
骨太の方針 広域化は目標設定へ
政府は9日、第10回経済財政諮問会議と第10回未来投資会議の合同会議で「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針)と「未来投資戦略2017」について議論し、同日に閣議決定した。
公共インフラについては、引き続き経済・財政一体改革の一環としてPPP/PFIや広域化、公営企業改革などを促進する。また、経済成長の基盤として効果的かつ効率的な投資を進める方針を示した
http://www.suido-gesuido.co.jp/blog/suido/2017/06/ppp_11.html
<記事引用ここまで>
平成29年6月9日(金曜日)17時15分〜17時40分のわずか35分間、膨大な議題で実施された、平成29年第10回経済財政諮問会議・第10回未来投資会議合同会議。
ここでの議論を受けて(!)、骨太の方針が閣議決定されました。
<骨太の方針2017>
平成29年6月9日、「経済財政運営と改革の基本方針2017〜人材への投資を通じた生産性向上〜」(骨太方針)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定。
<うち、水道に関する記述>
D PPP/PFIの推進
上下水道等の経営の持続可能性を確保するため、2022 年度(平成 34 年度)までの広域化を推進するための目標を掲げるとともに、「未来投資戦略2017」及び「PPP/PFI推進アクションプラン(平成29 年改定版)」に基づき、コンセッション事業等をはじめ、多様なPPP/PFIの活用を重点的に推進する。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2017/2017_basicpolicies_ja.pdf
会議のポイントにも概要版にも、水道やインフラ、PPPについて議論した様子は全く伺えません。
が、これまた膨大な説明資料(なんと343ページ!)から、水道・インフラ輸出に関する部分を、メモ代わりに一部抜粋しましたので共有します。
▽会議情報
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0609/agenda.html
<以下、議事要旨より抜粋、貼付>
平成 29 年第 10 回経済財政諮問会議
第 10 回未来投資会議
議事要旨
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(開催要領)
1.開催日時:平成 29 年 6 月 9 日(金)17:15〜17:35
2.場 所:官邸4階大会議室
3.出席議員:
議長 安 倍 晋 三 内閣総理大臣
議員 麻 生 太 郎 副総理 兼 財務大臣
同 菅 義 偉 内閣官房長官
同 石 原 伸 晃 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
兼 経済再生担当大臣
同 高 市 早 苗 総務大臣
同 世 耕 弘 成 経済産業大臣
同 伊 藤 元 重 学習院大学国際社会科学部教授
同 榊 原 定 征 東レ株式会社 相談役最高顧問
同 高 橋 進 株式会社日本総合研究所理事長
同 新 浪 剛 史 サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長
臨時議員 塩 崎 恭 久 厚生労働大臣
同 加 藤 勝 信 働き方改革担当大臣
【未来投資会議議員】
松 野 博 一 文部科学大臣
鶴 保 庸 介 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)
山 本 幸 三 内閣府特命担当大臣(規制改革)
金 丸 恭 文 フューチャー株式会社 代表取締役会長
兼社長 グループ CEO
五 神 真 東京大学 総長
竹 中 平 蔵 東洋大学教授、慶應義塾大学 名誉教授
中 西 宏 明 株式会社日立製作所取締役会長 代表執行役
南 場 智 子 株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長
越 智 隆 雄 内閣府副大臣
中 曽 宏 日本銀行副総裁
(議事次第)
1.開 会
2.議 事
2
平成 29 年第 10 回経済財政諮問会議・第 10 回未来投資会議
(1)「経済財政運営と改革の基本方針 2017」(案)について
(2)「未来投資戦略 2017」(案)について
3.閉 会
(説明資料)
資料1 内閣総理大臣からの諮問第 37 号について
資料2 「経済財政運営と改革の基本方針 2017」
資料3−1 「未来投資戦略 2017」(ポイント)
資料3−2 「未来投資戦略 2017」(具体的施策)
(配付資料)
資料4 経済財政運営と改革の基本方針2017
人材への投資を通じた生産性向上 概要(内閣府)
資料5 成長戦略による変革後の生活・現場(Society 5.0)
資料6 「未来投資戦略2017」概要
資料7 未来投資戦略2017 Society 5.0の実現に向けた改革
<議事要旨ここまで>
■説明資料とされている「未来投資戦略2017」(具体的施策)より、以下関連部分を抜粋して転載します。
【資料3−2「未来投資戦略2017」(具体的施策)(PDF形式:3,175KB)より以下、抜粋部分】
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0609/shiryo_03-2.pdf
(P123〜)
4.公的サービス・資産の民間開放(PPP/PFI の活用拡大等)
(1)KPI の主な進捗状況
《KPI》10 年間(2013 年度〜2022 年度)で PPP/PFI の事業規模を 21兆円に拡大する。このうち、公共施設等運営権方式を活用したPFI 事業については、7兆円を目標とする。
⇒2013 年度〜2015 年度の事業規模(2017 年1月時点の数値)
・PPP/PFI 事業:約 9.1 兆円
・公共施設等運営権方式を活用したPFI 事業:約5.1 兆円
(2)新たに講ずべき具体的施策
公共施設等運営権方式については、公共施設等の運営に民間の経営
原理を導入することにより、厳しい財政状況の下での効果的・効率的な
インフラ整備・運営を可能とするとともに、民間企業に大きな市場と国
際競争力強化のチャンスをもたらすものである。こうしたことから、
「PPP/PFI 推進アクションプラン(平成 29 年改定版)」(平成 29 年6月
9日民間資金等活用事業推進会議決定。以下この節において「アクショ
ンプラン」という。)に掲げられた空港、水道、下水道、道路、文教施
設、公営住宅について、引き続きその進捗や数値目標の達成に努めるほ
か、新たに掲げられたクルーズ船向け旅客ターミナル施設及び MICE 施
設についても数値目標の達成に向けた取組を強化する必要がある。
そのため、公共施設等運営権方式が重点的に対象とする分野を、「空
港、文教施設、クルーズ船向け旅客ターミナル施設、MICE 施設など国
内外訪問客増加等による需要拡大に対応した分野(成長対応分野)」と
「水道、下水道、有料道路、公営住宅、公営発電施設、工業用水道など
人口減少による需要減少等に対応したアセットマネジメントの高度化
や新規事業開発が必要な分野(成熟対応分野)」に分類し、以下に掲げ
るそれぞれの分野特有の課題の解決を図る。
これにより、事業に不可欠な要素を官民間で移転させる仕組みを構
築し、納税者や利用者の立場に立って、公共サービス・資産の担い手を、
官と民から適切に選択されるようにすることが重要である。
そして、この仕組みは官とともに担い手となる民間企業からも信頼
され、その意見も踏まえて改善・精緻化していくことが重要である。そ
のためのガイドライン、改善メカニズムを含めた推進体制を整備し、運
用していくための施策も併せて実施する。
(略)
A)成熟対応分野で講ずべき施策
・地方公共団体による公共施設等運営権方式の上下水道事業への導入を
促進する観点から、一定の期間を設け、今後の横展開の呼び水となる
先駆的取組を通じ当該事業に有する債務を運営権対価で繰上償還す
る際に、補償金の免除・軽減により特例的に支援するため、PFI 法に
ついて、来年度から適用されるよう必要な措置を講ずる。
・水道法の一部を改正する法律案の成立後、改正後の水道法に基づき、
省令等に委任されているものや、民間企業が水道事業の運営に関わる
ことを前提にした料金原価の算定方法等に関する事項について、関連
する地方公共団体や民間企業、専門家の意見等を踏まえながら、必要
な措置を講ずる。
・水道事業において、先行案件を形成するために、公共施設等運営権方
式の国内における成果が確認される前に取り組む案件など一定のも
のに限って、交付金や補助金による措置等によって、地方公共団体の
新たな負担感を最大限なくす仕組みの導入について、平成 28 年度補
正予算の執行状況等も勘案しつつ検討する。
(略)
B)推進体制の整備・運用のための施策
・官民の適切なリスク分担を構築する上で、瑕疵担保の負担や運営権対
価の返金、契約満了時の必要な資産等の買取り等の際、契約において、
一定の条件を満たした場合に施設の管理者が運営権者に一定の支払
を約束することが可能となるよう、関係府省における本年7月末まで
の契約の在るべき姿の検討結果を踏まえ、内閣府は当該支払を管理者
が行う法的根拠の必要性を検討し、必要に応じ、次期通常国会までに、
PFI 法について所要の措置を講ずる。
・上下水道事業においては、一定の定義された範囲を超える物価変動が
生じた場合には料金への転嫁を可能とする仕組みとするため、本年内
を目途に関係府省において物価変動の定義と料金への転嫁に関する
計算式を明らかにし、関連するマニュアルや許可基準の中に規定する
など、活用を徹底する仕組みを構築する。これを踏まえ、内閣府にお
いてガイドラインを策定する。
・適切なマーケットサウンディングの方法(開示すべき情報・項目と対
話の方法等)について、関係府省による海外事例調査や関係者へのヒ
アリング等を通じた本年7月末までの検討結果も踏まえ、内閣府にお
いて、ガイドラインを策定する。
・管理者以外の有する既存事業の引継ぎを運営権者に求める場合には、
運営権者に過度のリスクを負わせて引き継がせることとならないよ
うにすることとし、これについて内閣府においてガイドラインを策定
する。
・運営権者を選定する審査委員会について、原則として議事録を公開す
るというルール化について、関係府省は今後の対応を検討し、内閣府
は本年7月末までを目途に民間事業者側への意向確認を行い、確認に
おいて問題がなければガイドラインを策定する。
・関係府省は、海外の事例や類似分野の取組等を参考に、本年7月末ま
でに「アクションプラン」に記載された観点からVFM(Value For Money:
支払いに対して最も価値の高いサービスを供給すること)の算定方法、
対価の支払い方、評価方法について検討する。その結果を踏まえ、内
閣府はガイドラインを策定する。
・運営権者への地方公共団体による出資や特定の企業による出資枠につ
いて、必要性が明確であり出資以外の方法ではその必要性に明確に応
えることができない場合を除いて、認めないこと、また、たとえ出資
を認める場合でも、出資額に対して過大な株主権限を要求することに
より入札参加者の資金調達必要額が不確定になるような条件を付さ
ないこととし、これについて内閣府はガイドラインを策定する。
・公共施設等運営権方式を活用した PFI 事業の推進に当たっては、以下
の「5原則」が必要であることから、内閣府の機能や権限、その権限
の行使のための組織の在り方(外部の中立的な専門機関の組成を含む)
について、諸外国の事例を踏まえて検討し、必要に応じ、次期通常国
会までに PFI 法について所要の措置を講ずる。
@ガイドライン化されたルールの運用と遵守徹底
分野を超えて公共施設等運営権方式が遵守すべきルールを、官民の議論を踏ま
えてガイドラインにまとめ、これを個別案件において徹底的に実施させる仕組
みであるべき。
A入口から出口までのハンズオン支援の実施
公共施設等運営権方式を初めて活用する地方公共団体など、ノウハウに乏しい
管理者に対してプロジェクトの「入口から出口まで」並走し、徹底的に支援で
きる仕組みであるべき。
B関係省庁との協議のワンストップ化
新たな分野やアプローチで公共施設等運営権方式に取り組む管理者が、複数の
関係省庁と協議する際に、管理者ができるだけワンストップで協議が可能な窓
口となる仕組みであるべき。
CPDCA サイクルの確立
全ての公共施設等運営権方式の案件で、運営権者の選定後に選定プロセス全体
を振り返って評価し、官民双方の立場から改善点を明らかにし、ガイドライン
等に常に反映させることができる仕組みであるべき。
D管理者と運営権者の間での調整・仲裁機能の確保
公共施設等運営権方式の事業開始後においても、運営権者からの改善要望を聞
き、これを管理者に伝えることで、新たな取組を常に生み出せる仕組みである
べき。
・これらのほか、アクションプランに掲げられた公共施設等運営権方式
に係る各取組について、関係省庁が連携しながら実行する。
・我が国の公共施設等運営権方式に関する制度や個別事業について、地
方公共団体に積極的に周知するとともに、国内外の主要都市において、
事業者や投資家向けの説明会を開催する。
(略)
(P165 〜)
@)我が国企業の国際展開支援
@ インフラシステム輸出の拡大
・インフラシステム輸出による経済成長の実現とともに我が国企業の競
争力強化のため、将来にわたり勝ち続けるインフラシステム輸出を目
指し、他の競合国と差別化を図るべく、「インフラシステム輸出戦略
(平成 29 年度改訂版)」(平成 29 年5月 29 日経協インフラ戦略会議
決定)における重点施策を、テロ対策を含む安全対策に十分配慮の上、
官民一体となって推進する。また、「自由で開かれたインド太平洋戦略」
の下での地域の連結性強化にも留意する。
・電力、鉄道、情報通信等の主要産業・重要分野において、IoT、AI 等
の高度な ICT の活用も念頭に、我が国インフラ輸出産業が将来にわた
る競争力強化に向けて進むべき方向性を示した海外展開戦略を策定
する。
・同戦略も踏まえたインフラシステム輸出の展開に向け、トップセール
スを推進し、また政策支援ツールを一層有効活用するとともに、次の
取組を行う。
-「質の高いインフラ投資」の概念を国際的に普及させつつ、インフラ
の「質」が正当に評価されるよう、相手国の入札制度改善・体制強
化等に向けた支援に引き続き取り組む。その際、適切なメンテナン
ス・更新の必要性に係る理解促進・情報共有に努める。
-「面的開発」(都市形成・改善、地域開発、回廊・拠点開発)の推進
をはじめ、「最上流段階」である開発計画の策定や既存計画の見直し、
法制度整備支援、人材育成等の推進や、新興国が選好する PPP 案件
への提案力・実行力の強化に取り組むことにより、我が国企業の受
注機会拡大を目指す。
- その他、ア)インフラ案件に関する相談窓口、法的側面支援等に関
する機能・体制の充実等の官民のコンサルティング機能強化、イ)
我が国企業が新たな市場に進出し一層の競争力強化を図るための
他国と連携した第三国への取組の推進、ウ)鉄道、空港、都市・住
宅、下水道等の分野で案件形成から完工後の運営・維持管理までを
公的機関・企業がより本格的に実施できるようにする制度的措置の
検討を含め更なるインフラシステム輸出を推進する体制構築を進
める。
A 経済連携交渉、投資関連協定、租税条約の締結・改正の推進
・自由で公正な市場を、アジア太平洋地域をはじめ、世界に広げていく
ため、我が国が締結した TPP 協定の発効に取り組むとともに、参加国・
地域の拡大について議論を進めていく。また、日 EU・EPA、RCEP、日
中韓 FTA などの経済連携交渉を、戦略的かつスピード感を持って推進
する。我が国は、自由貿易の旗手として、こうした新しい広域的経済
秩序を構築する上で中核的な役割を果たし、包括的で、バランスのと
れた、高いレベルの世界のルールづくりの 牽けん引者となることを目指す。包摂的でイノベーション志向の成長をアジア地域に実現し、また
質の高い RCEP を実現するための対 ASEAN 協力を具体化していく。
・「投資関連協定の締結促進等投資環境整備に向けたアクションプラン」
(平成 28 年5月 11 日公表)の下、2020 年までに 100 の国・地域を
対象とする投資関連協定(投資協定及び投資章を含む経済連携協定)
の署名・発効を目指し、体制を強化しつつ交渉に取り組む。現在交渉
中の協定を含めると合計 82 の国・地域をカバーする見込みであると
ころ、本年内に、相手国と協議の上、更に 13 か国との間で新規に交渉
を開始することを目指す。
・租税条約については、我が国との投資関係の発展が見込まれる国・地
域との間での新規締結や既存条約の改正を通じ、我が国企業の健全な
海外展開を支援する上で必要な租税条約ネットワークの質的・量的な
拡充を進める。
中短期工程表「公的サービス・資産の民間開放(PPP/PFIの活用拡大等)」@
中短期工程表「公的サービス・資産の民間開放(PPP/PFIの活用拡大等)」A
<ここまで>