2018年05月22日

【拡散希望】イギリス・ヨーロッパの会計監査院がともに「PFIは割高で透明性悪化。使うべきでない」とレポートする中、今国会でPFI法を改正していいのか?

英国会計検査院(NAO)、ヨーロッパ会計監査院(ECA)が続けて、発表したレポートで

「PFIでの入札価格は40%割高であり、コスト削減効果もなく、透明性も悪化」
「問題点が改善するまで、PPPを広い分野で集中的に使うべきではない」

と勧告する中、今国会において、「水道民営化」を加速させる「PFI法改正」が通ろうとしています。


英国会計検査院(NAO)、ヨーロッパ会計監査院(ECA)のレポートについて、岸本聡子さんより、超特急での報告をいただきました。
以下、ぜひご覧いただき、拡散いただけますようお願いいたします。


<以下、岸本聡子さん(トランスナショナル研究所(オランダ)によるレポート>

英国の官民パートナーシップ(PPP)請負企業カリリオンが2018年1月に倒産した直後、国家機関で財政の監査役である英国会計検査院(NAO)がPPPの仕組みを克明に報告するレポート「PFI and PF2」を発表した。

「PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法である。英国ではPFIが用語として一般的に使われている。

PPPはより広義で、PFIは、PPPの代表的な手法の一つである。

折しも日本ではこの5月に、コンセッション方式の導入を推進するPFI法改正案が衆議院本会議で賛成多数により可決され参議院に送付された。


英国会計検査院はPFIの対費用効果と正当性を調査し、コスト削減の効果があるか検証した。

英ガーディアン紙は「納税者は先25年、£200 billion(約29兆円)をPFI契約に支払うことに」とする記事(1月18日)で英国会計検査院のレポートの主要な内容を掲載した。

レポートはPFIが公的な財政にプラスであるという証拠が乏しいと結論した。

さらに多くのPFIプロジェクトは通常の公共入札のプロジェクトより40%割高であると報告。

NAO(英国会計検査院)は、英国が25年もPFIを経験しているにもかかわらず「PFIが公的財政に恩恵をもたらすというデータが不足」と報告した。


現在英国では716のPFIプロジェクトが進行中で資本価値は£60 billion(約8兆7878億円)、年間の支払い額は2016-17で £10.3 billion(約1兆5084億円)。
新しいPFIプロジェクトが全くなかったとしても、2040年までの支払い金額は £199 billion(約29兆14520億円)に達する。

折しも英政府は、カリリオン(英国PPP請負企業)の£2.6mポンド(約3.8億円)の株を所有して主要なPFIプロジェクトに参画している。
カリリオンが倒産したことで、この公的な資金は危機にさらされている。

英国下院、公的会計委員会議長ののメグ・ヒラ―氏は
民間の負債を相殺するだけの恩恵がないことを25年間のPFIの経験は示した。今多くの自治体は変更に膨大な費用のかかる柔軟性のないPFI契約で鎖でつながれた状態である」
とPFIスキームを痛烈に批判した。

「財務省は指摘された問題に対処しないままPF2という新しいブランド名でPFI を続行しようとしている。学校や病院にもっと投資が必要であるのに、間違った契約で結局は納税者が過剰な支払いをすることになる。」


PF2はPFIの批判を受けて、前ディビット・キャメロン首相のときに導入された。

支払ったお金に見合う価値があるかどうか (value for money)と透明性を高めるというのが主な趣旨であるが、PF2の6つのプロジェクトを精査した結果も懐疑的である。

レポートによると総体的に公的に資金調達されたプロジェクトよりPFIスキームは高くつき、学校建設の分析では政府が直接ファイナンスするよりも40%割高である。

主要なPFIプロジェクトを公的な所有に戻す場合、未払いの債務に加えて追加で£2 billion(約2929億円)が必要であり、これは未払い債務の23%に相当する。

労働党と労働組合は、この非常にリスクの高いPPP・PFI の停止を訴える。
「PPP・PFI企業は追い出されるべき。私たちに必要なのは公的な倫理と確かな管理のもので公務員によって提供される公共サービスである」
と党首のジェレミー・コービン氏は言う。

GMB(全国都市一般労組)の書記長レアナ・アザム氏は
「会計院のレポートはPFIが納税者のお金の破壊的な無駄づかいだであることを証明した。カリリオンは公共サービスを利益の最大追求の企業に任せたときにどうなるかを示す最新の例の一つでしかない。」
と批判した。

これに対し
「道路や学校や病院といった重要なインフラはPFI や PF2で支払われているし、これは経済を活性化させ雇用を創出している。私たちはPF2を通じてPFI 契約の透明性を高めvalue for moneyを改善している。納税者のお金は、建設と長期維持管理のリスクが民間セクターに移譲するPFI や PF2を通じて守られている」
と保守党のスポースクマンは語った。


これに続き、ヨーロッパ会計監査院(ECA)もNAOに準じるレポートを発表

ECAは欧州連合が共同出資する12のPPPプロジェクトを分析。
短所と限られた費用効果が広く観察され、€1.5 billion(約1924億円)が無駄で非効率的に使われた。
支払ったお金に見合う価値があるかどうか (value for money)と透明性は広く悪化した。不明確な政策と戦略、不十分な分析、PPPの債務が公的なバランスシートに現われないこと(オフバランスシート)、政府と民間企業のリスク分担が不公平であることが特に問題である」と結論。

ECAはEU委員会とEU加盟国は指摘された問題点が改善するまでPPPを広い分野で集中的に使うべきではないと勧告

2010−2014年の間、EUは €5.6 billion(約7189億円) を84の PPPプロジェクトに提供した。
プロジェクトの全体の資本価値は, €29.2 billion(約3兆7480億円)である。監査は.フランス、ギリシャ、スペインの道路、交通、情報テクノロジー分野の12のプロジェクトを調査。プロジェクトの総額は€9.6 billion(約1兆2318億)で、うち EU が €2.2 billion(約2822億)を提供。

PPPs は公的機関に大規模なインフラを一つの手続きでまとめての発注を可能にするが、これによって競争効果はなくなる。受注者同士の競争がないうえに、ひとつにまとめることで発注者への依存度が高まり、発注者の公的機関は交渉において弱い立場になる。

「さらに調査対象のPPPプロジェクトの大半(9のうち7)が建設期間中、相当な非効率と、無駄が見られ、プロジェクトの遅れ(最長で52か月)による損失総額は€7.8 billion(約1兆7億円)に上った。」

「スペインとギリシャで高速道路を完成させるために約 €1.5 billion(約1924億円) の追加の公的資金は必要になった。その 30 % (€422 million−約541億円) はEUから拠出された。 」

レポートを担当したヨーロッパ会計監査院 のオスカー・へリックス氏は
「潜在的な経済的利益を得る手段として非効率」
と結論した。


posted by AMnet at 20:54| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北海道通信〜この先の『食と農と環境』の取り組みへvol.11 (食の「安全・安心」編)

AMネット会報LIMより転載

北海道通信 〜この先の『食と農と環境』の取り組みへvol.11
食の「安全・安心」編

白川 博

○ 【遺伝子組み換え「てん菜」(GMてん菜)】について


 平成29年3月に、日本農学アカデミーは、「遺伝子組み換え作物(GM作物)の実証栽培に関する提言」を公表しました。

その内容は、日本で頻発する自然災害などの様々な農業環境の変化に対応するため、海外の遺伝子組み換え作物の利点を生かした「実証栽培」を全国各地で行うことなどを提言するものでした。

 その中で、北海道を中心に栽培される寒冷地作物「てん菜」についても除草剤耐性のある『遺伝子組み換えてん菜(GMてん菜)』の栽培試験を行うよう、国と道庁に求める提言が含まれており、内外関係者に大きな波紋を及ぼしました。


 これまでも、遺伝子組み換え作物(GM作物)の安全性や一般作物との交雑問題は、全国的な問題として取り上げられてきました。

しかし、対象となっていた作物は、「稲・麦・大豆」などで、砂糖や甘味原料の加工用途が中心の「てん菜」には遺伝子組み換えの商業メリットがないとされてきました。そのため、上記の提言により生産者はもとより、糖業者(北海道には、系統・商系含め8工場が点在)にもGMてん菜原料の受け入れ拒否などの動きが生まれました。



○ 【農薬・グリホサート剤】の残留基準問題について

 北海道が主産地形成を担う「てん菜」は、栽培特性上、春先の種まきから晩秋の取り入れまでの生育期間が長く、草取りなどの過重労働が兼ねてより課題となっています。

 ここに、前述の遺伝子組み換え「てん菜」ならば、「ラウンドアップ」に代表されるグリホサート剤への耐性があるとの提言内容が出たことの意味を考える必要があります。

農薬・グリホサート剤とは、商品名「ラウンドアップ」・「タッチダウン」などに代表される除草剤で、欧米ではすでに環境保全や発がん性の影響などから使用禁止されている農薬です。

平成29年3月下旬に、厚労省の「薬事・食品衛生審議会」において、農薬・グリホサート剤などの残留基準値が大幅改正されました。これは、食品安全委員会が査定する「食品健康影響評価」の結果を踏まえ、国際基準(コーデックス規格)に合わせたものとされます。

同剤の残留基準値が緩和された原料作物は、小麦などの穀類、小豆などの豆類、そして、問題となる「てん菜」でした。

 一方、同提言に対しては、農業団体はもとより、糖業者など関係団体も強く反発しています。食の「安全・安心」が担保できないことも大きな要因ですが、てん菜の過重労働は、草取りなどの「管理作業」だけが課題なのではなく、生育ステージ総体の問題であるからです。


○ 当面する対策運動と消費者理解の醸成などについて

 このような課題に対し、北海道庁では平成17年3月に、通称『北海道GM基本条例』を公布しました。同条例により、北海道では遺伝子組み換え作物を栽培する場合には知事の「認可」が必要となっています。

 この法的根拠に基づき、JAグループ北海道は、今年3月に、改めて『食の安全・安心宣言』を行い、農畜産物の安定供給を目的に、遺伝子組み換え作物の「栽培・集荷・販売」を行わないことを徹底し、交雑汚染のリスクに対しても、万全の対応を行う予定ということです。

 他方、消費者庁の有識者会議も1月31日に会合を開き、食品表示における「GM混入率5%以下」より、混入率がほぼ「ゼロ」となる検出限界値まで引き下げる方針を発表しました。

これまでも、5%までは遺伝子組み換えが事実上、容認されていたことから、消費者が誤解を招くことなどを求めていたことに応えたもので、今年度中に新表示基準を盛り込んだ「報告書案」が政府に提出される見通しです。

『北海道発信』においても、遺伝子組み換え「てん菜」栽培を北海道の一部の生産者が望んでいる実態を地域住民に話題提供しながら、遺伝子組み換え作物がもたらす、様々な脅威やリスクなどを共有し、食の「安全・安心」をしっかりとお伝えしていきたいと思います。■


posted by AMnet at 20:19| 北海道通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする