2018年07月01日

水道を民営化すれば、災害対策は遅れる。世界中の水道がなぜ「再公営化」しているのか?

▼水道の老朽管率がなぜこんな高いんだ!
民営化して水道経営を考えねば!

…みたいになってますが。

水道民営化すればコストは余計に上がる。

イギリス会計監査院の報告からも、世界中の事例からも明らか。

つまり、結論から言えば、
「民営化してコストカットし、そこから耐震化のコストをねん出する」

という、前提条件がそもそも壊れています。


→大阪北部地震:老朽水道管で被害相次ぐ 府で40年超3割
https://mainichi.jp/articles/20180630/k00/00m/040/144000c



▼再公営化が世界の潮流。

「民営化でコストが上がった」
「水道料金が上がった」
「職員削減しすぎてサービス悪化した」
「経営の透明性が悪化した」
等々…

水道を始め、世界中の公共サービスが「民営化が失敗」だったと、
「再公営化」している中、なぜ今さら日本が民営化せねばならないのか。

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▼水道民営化が成功と言われた、パリ市とイギリスその後。

パリ市は再公営化し、大幅なコストダウンと技術革新、水資源確保などに取り組み成功。

イギリスは世論調査で7割越える人が再公営化を要求。
会計検査院からも、PFIは高コストで透明性悪化で、課題解決まで使うなと言われたばかり。


民間企業は、どうしても短期的利益を求められるため、長期的視点をもてる公営が有利となる。

しかも、公営だと、株主配当も役員報酬もない。

水道で得た利益を、全て、水道に充てることができる。利益が流出しない。
結果、災害対策も進めやすいのです。



▼水道民営化・企業団・広域化が、今の「公営」に負ける、そのワケは?

▽民営化:料金高騰など、世界中で失敗が続く「時代遅れ」のやり方。
▽企業団統合:範囲が広すぎ、調整が大変。
▽広域化:そもそも大阪市には広域化のメリットがない(地域によっては広域化すべきだが)

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▼そもそも水道の耐震化が進んでないのは

適切な水道料金設定をせず、地味でコストのかかる耐震化を後回しにしてきたから。
イギリス会計検査院は「PFI(民営化の手法)の入札価格は40%割高でコスト削減効果もない」と報告。

大阪市だと、月200円水道料金上げるだけでOK。(一般家庭の場合)

優良自治体が、民営化を狙われる。


▼民間委託は効率化?

水道民営化だけでなく、民間委託が進みすぎているのも課題。

民間委託は「行政が現場を失う」こと。

今も、災害時は「早くて安い」から、職員が対応している。
でも現場を知らない職員だらけだと、いざという時、どう対応するの?

減災を言うなら、まずは直営を増やし、行政が現場を持つべきだ。

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▼浜松市の民営化は?

浜松市は市内処理60%を占める下水を、水メジャーのヴェオリア、日本のオリックス等出資の合弁会社で民営化すみ。
上水道も、民営化(同じく公設民営)を目指し中。

民間企業は経営悪化すれば撤退するが、
浜松市長は
「民間が破綻するより、このままでは自治体が破綻するリスクの方が大きくなる」と。


自治体が破綻するほどのリスクが本当にあるなら、民間企業が受けるのか?

民間破綻すれば、行政が責任を果たせるわけもない。

水がなければ地域崩壊。なんと無責任な。


→(平成経済)第4部・老いる国、縮む社会:5 身の丈にあうインフラとは 設備老朽化、人口減で収益悪化
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13565131.html


▼30年後の水道料金は1.6倍?

ついでに、朝日記事にもあるこの試算。

「日本政策投資銀行によると…30年後に今の料金を平均1・6倍に値上げする必要がある」は、
今のまま水道設備を維持すれば、が前提。

ダウンサイジングしなければ、いくらでもコストがかかるに決まっている。
広域化だけが処方箋じゃない。地域ごとに選択すべき。


※ツィッター投稿をまとめたため、文章が少しみづらいですが、ご了承ください。
https://twitter.com/amnetosaka/status/1013079753807413249
posted by AMnet at 16:00| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする