2019年01月02日

北海道通信「下町ロケットから考える〜最新技術とコミュニティ編〜この先の『食と農と環境』の取り組みへ」vol.14

AMネット会報LIM89号より

北海道通信「下町ロケットから考える〜最新技術とコミュニティ編
〜この先の『食と農と環境』の取り組みへ」vol.14


北海道の白川 博です。今号でも【北海道で農業をやること】のテーマに特化し、具体的な事例も交えお伝えできればと思います。まず、農村地域のコミュニティについて報告していきたいと思います。


○ 最新鋭の【農業技術】が抱えている課題

 政府や農水省では兼ねてより、『超省力型農業』の一環として、ICT及びGPSなどの高性能機器をトラクターや作業機に搭載し、作業効率化を図る「スマート農業」を進めています。しかし、その歯止めがかからない農業人口の減少を加速化させる、皮肉な状況を生んでいます。


決して、最新鋭の技術革新そのものを否定はしません。一方で、高額な農作業機器であるGPS機能に対応できる高性能トラクターや作業機の購入は、国の助成があっても農家には結果的に大きな負担となります。また、晴天の日だけを選ぶことができない生産現場では、どうしても過酷な条件で農作業機械を使う場面もあり、実際の機械の更新期間は早まることも、農家負担を助長しています。


 地震により、北海道全域がブラックアウトし、最新設備を導入している酪農家が搾乳できないなど多大な被害が出ました。最新設備を入れれば入れるほど、災害時に弱く、復旧も困難であることも念頭に置くべきです。


○ 下町ロケット「無人トラクター」で課題解決?

 最近では、TBS系ドラマ「下町ロケット」でも話題となっている「無人トラクター」ですが、北海道で購入する場合の最大のネックは前述の購入費に加え、通信衛星から『受信途絶』する可能性が上げられます。


 北海道の様に広大な農地では、人工衛星や電話網などの「通信受信エリア」がカバーされていない農地が散見されます。また、地図上でカバーされていても、実際の農地の真ん中で、『受信途絶』がおきるケースもあります。


 政府や農水省が推奨する「スマート農業」の中心軸は、人工衛星「みちびき」からの受信する『誤差2〜3cm』とも言われる極めて精度の高いGPS測量にあります。
 北海道でもGPSを搭載したトラクターや作業機を導入する動きがあることから、今後は各自治体の山間部などに「地上基地局」を設置し、人工衛星からの受信カバー率を上げる動きも出てきています。これも、設置費用が個人農家で賄える金額ではないため、JAや基礎自治体が連携して除雪車などにもGPS機能を搭載し、冬場の主要幹線道路の除雪作業に対する効率化も複合的に検討しています。


農業で食べられないから、人がいなくなる。人口減少に対応するために無人トラクターで作物は作る。が、人手は不要なので、地域に人がいなくなる。その無人トラクターにも、多額の税金投入が必要であり、補助金漬けと将来揶揄されるのでは?「農業政策」はあっても「農村政策」は無い一例です。


○ 【農村地域の「コミュニティ」】対策について

 北海道は、政令指定都市・札幌に人口集中が進む一方で、「地域の良さ」を再認識する動きも、札幌市で取り組んでいます。甚大な被害をもたらした北海道胆振東部地震の影響により開催が危ぶまれた『さっぽろオータムフェスト』は、札幌 大通公園で開催される国内最大級の食の祭典です。記念すべき10回目は会期を順延しながら、延べ約200万人の来場者に対し震源地の厚真・安平・むかわ3町を応援するブースを設置し、秋の味覚を楽しんでもらうフードイベントとなりました。


また、私の故郷・清里町では農村地域の「コミュニティ」の大切さを体感するため、毎年9月の繁忙期に収穫感謝祭を開催するとともに、栃木県佐野市との提携で旬のナシを格安販売するなど、農村地域ならではの「手作りの良さ」を町民全体で共有する取り組みを継続展開しています。


北海道から【農業をやること】の意義は、近年多発する自然災害に翻弄されながらも、農村地域の「コミュニティ」の元気を毎年、全国発信することで都府県でともに頑張っている農業生産者や消費者ともつながり合う「絆」であると感じています。そのために、食と農と環境を大切にしていくことを皆さんと何度も共感できればと思います。■

posted by AMnet at 22:17| 北海道通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする