2019年12月25日

SDGs達成に貢献する万博にするための意見書を、大阪市・博覧会協会に提出しました。

SDGs達成を目的として開催される、大阪・関西万博。


なのですが、環境アセスメントの方法書を見ても、SDGsの文字がどこにもありません。。。残念過ぎます。

加えて、会場が「夢洲」であることで、SDGs達成から、逆に遠のくのでは?というのも、私たちの大きな懸念です。

本日12/25、大阪市と日本博覧会協会を訪問し、夢洲懇談会の一員として、今回は6団体で一緒に意見書を提出しました!

よりよい万博にするため、市民が意見を言える機会が今。

「こんなことを調べて欲しい」「これが心配」といった、
いろんな意見を受けて、これからどんな環境アセスメントになるか、が決まります。

2019年1月6日〆切で、大阪市・博覧会協会が、環境アセスメントへの意見を受付しています。

AMネットが提出した意見書は
「SDGs達成のための万博にするために、説明してほしい」というもので、要旨は以下の3つ。

@環境アセスメントにSDGsの視点を。開催前〜開催後・跡地利用も念頭に。

Aなぜ夢洲なの? 逆に、持続可能な開発目標であるSDGsと大きくずれるのでは?
懸念する8つの視点から「他候補の6会場より、夢洲がSDGs達成に貢献できる」具体的理由を説明して!

B上下水道の整備、計画も決まってないけど、送水ルートが限られており、いざという時どうなるの?

よろしければ参考にしていただき、多くの方の提出をお願いいたします。

☆AMネットが提出した意見書はこちらからDL可能です。【Wordファイル】


<提出先>
■公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
環境影響評価方法書の公表及び意見の受付について

■2025年日本国際博覧会環境影響評価方法書等の写しの縦覧並びに意見書の受付について


<以下、AMネットとして提出した意見書です>

1、SDGsの観点を、環境アセスメントに取り入れるべきです。

方法書・立候補申請書に事業の目的として記載され、「2025年万博基本構想検討会議」整備等部会部会長も発言している通り、日本は万博開催でSDGs達成に貢献すると、世界に約束したも同然です。

そもそもこの方法書にSDGsに関する記載がなく、その視点をもつ全体像・具体策もありません。SDGsの精神に則り、アセスメントを実施してください。

開催中は当然として、万博前および万博後・跡地利用に関しても、どのようにしてSDGs達成に貢献するのか、明示してください。


2、なぜ夢洲を会場としたのか、明確に説明ください。

夢洲を会場とすることで、逆に持続可能な開発目標であるSDGsと大きくずれるのではないかと懸念します。なぜ夢洲なのか。どのようにしてSDGs達成の貢献につなげるのか、他候補の6会場より、夢洲がSDGs達成に貢献できる、具体的理由を説明してください。

特に以下項目について、最低限、他6会場との比較検討の結果を明示すべきです。


@目標1. 貧困をなくそう

大阪府知事・大阪市長が「万博とカジノはセット」と度々明言されています。

「持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」SDGsとIRカジノは矛盾しないか。考え方、立ち位置をしっかりと説明すべきです。


A目標11. 住み続けられるまちづくり

京都議定書同様、日本の地名が冠になった国連防災世界会議で採択された2030年までの国際的な防災指針「仙台防災枠組20152030」が、SDGsにも取り入れられています。

「仙台防災枠組20152030にそって、災害リスク・防災の観点から、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う(ターゲット11.b)」。

夢洲は、汚染土壌、汚染水、軟弱地盤、台風、高潮、地震、液状化、護岸沈下、津波、コンビナート火災、避難経路、避難先の受入れ状況等、多くの懸念が寄せられています。SDGsの観点からも、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施に関するリスクアセスメントを自主的に実施し、明確にすべきです。


B目標12. 作る責任、つかう責任

海面には限りがあり、私たちが使える海は残りわずかです。大阪市民が今後、1020年使えるごみの最終処分地に、税金を使って購入した土砂で埋め立てる理由および、新島フェニックスとの関係を説明ください。


-1 埋立の回避、埋立必要規模の最小化

夢洲を会場とすることでの、ごみ処理および埋立地の喪失等、影響について回答ください。


「大阪湾フェニックス計画に参画し、長期的展望に立った最終処分地の確保を図っている。(2.2.10 廃棄物(1)一般廃棄物 P46)」との記載がありますが、フェニックスは、近畿24168市町村を受け入れる重要な処分地です。瀬戸内法、瀬戸内海環境保全基本計画、瀬戸内海の環境の保全に関する大阪府計画にある「埋立ての回避、埋立て必要規模の最小化」の趣旨からも、夢洲を処分地として延命化を図るべきだと考えます。


-2 大規模災害等に備えた災害廃棄物の処分地の確保

大規模災害時、早期の復旧・復興のためには、災害廃棄物の迅速かつ計画的な処理が必要であることは過去の災害からも明らかです。


大規模災害等に対し、仮置き場および最終処分地の重要性からも、夢洲を開発して良いのか。加えて「近畿ブロック大規模災害廃棄物対策行動計画」への影響はないか回答ください。


「瀬戸内海環境保全基本計画(5廃棄物の処理施設の整備及び処分地の確保)」「瀬戸内海の環境の保全に関する大阪府計画(35-3)」の「廃棄物の処理施設の整備及び処分地の確保」にも、「廃棄物の海面埋立処分に際しては、環境保全と廃棄物の適正な処理の両面に十分配慮するとともに、当該処分地が地域で果たす役割や大規模災害等に備えた災害廃棄物の処分地の確保に対する社会的要請の観点から、整合性を保った廃棄物処理計画及び埋立地の造成計画によって行うものとする」とされています。


また、南海トラフ巨大地震により、近畿ブロック全体で災害廃棄物が約7,900万トン、津波堆積物が約900万トン、合計で約8,800万トン発生すると推計されています(中央防災会議防災対策推進検討会議による同地震の被害想定)。



-3 埋立てに当たっての環境保全に対する配慮

「瀬戸内海環境保全基本計画」「瀬戸内海の環境の保全に関する大阪府計画」にある通り、沿岸域の環境の保全、再生及び創出に関する目標である、「海面の埋立てに当たっては、環境保全に十分配慮することとし、環境影響を回避・低減するための措置が講ぜられていること」「特に藻場・干潟等は、一般に生物多様性・生物生産性が高く、底生生物や魚介類の生息・生育、海水浄化等において重要な場であることを考慮するものとする。」とあります。これらに対し実施する措置を回答ください。


加えて、夢洲を会場とすることで「2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成(ターゲット12.2.)」と矛盾しないか、説明すべきです。


C目標13. 気候変動に具体的な対策を

 気候変動について、会場内での温室効果ガスの排出抑制等しか検討されておらず、あまりに不十分です(P81)。

地球温暖化により「今のペースで温室効果ガスの排出が続けば、今世紀末に海面上昇が1メートルを超える可能性がある」と、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2019年9月に「海洋・雪氷圏特別報告書」の政策立案者向けの要約版を公表したばかりです。

高潮や津波等、今の想定のままでよいのか。「気候関連災害や自然災害に対する強靭性及び適応の能力を強化(ターゲット13.1)」できるのか。

「海洋・雪氷圏特別報告書」を踏まえ、地球温暖化の影響および対策も検討すべきです。



D目標15. 陸の豊かさを守ろう

夢洲は「大阪府レッドリスト2014」において生物多様性ホットスポットAランクに指定されています。「自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し…緊急かつ意味のある対策を講じる。(ターゲット15.5)」と矛盾しないか、説明すべきです。


E会場決定プロセスへの懸念

他候補会場とどのように比較検討され、夢洲に決定されたのか。パート―ナーシップおよび市民参加型プロセス、議会の関与等、決定までのプロセスを具体的に明示してください。


2025年万博基本構想検討会議」での検討がされたと方法書に記載がありますが、議事録・資料からも6会場を候補とし検討を始めたにも関わらず、夢洲が候補地にあがったとたん、夢洲が決定したかのように、第1回から夢洲ありきで議論が進んでいるように映ります。


F5つのP、パートナーシップの強化

 調査・予測・評価・事後調査において、情報公開と市民参加を促進し、幅広い市民および市民団体との連携し、協働する手法を提示し、確実に実施すべきです。


G持続可能性アセスメント・防災に関するリスクアセスメントを実施すべきです。

SDGs前に開催されたミラノ博において、SDGsへの寄与を謳った持続可能性アセスメントが実施されています。大阪万博はSDGs達成を目的として開催する万博であり、SDGsゴールの5年前、2025年というタイミングで実施する重要な位置にあります。

大阪万博では、2、@で前述の通り、防災に関するリスクアセスメント及び、ミラノ万博よりもさらにヴァージョンアップした持続可能性アセスメントを、自主的に実施すべきです。



3、上下水道の整備、災害時

20181月、山口県周防大島町において、橋の送水管の破断事故が発生し、数日間水道が届かなくなりました。夢洲への送水計画は不明ですが、送水ルートが限られていることは明らかです。同様の事態が起こった際に、15〜30万人規模の命に係わる事態となります。


そもそも、夢洲まちづくり計画の詳細も決まっていない中で、アセスメントを実施すべきではありません。

非常時、どのような計画・体制になるのか。上水・下水ともに、どのように整備計画を立てるのか。通常時のみならず、災害時を含めた整備計画を決定し、説明すべきです。

posted by AMnet at 18:03| 大阪問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする