2020年10月20日

文字起こししました→副首都推進局職員に聞く!大阪市廃止/都構想勉強会(10/9開催)

2020年10月9日、中央区地域振興会さん主催で開催された、
「あなたの疑問に大阪市副首都推進局が答えます。
大阪市廃止/都構想勉強会」
https://www.facebook.com/events/2736879589919320



▼11月1日(日)まで公開!当日の動画はこちらからご覧になれます。



▼当日配布資料の大阪市に全戸配布された、説明パンフレット
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/cmsfiles/contents/0000513/513378/shiryou.pdf


AMネット理事武田が司会し、さまざまな質疑がされました。
副首都推進局の職員の方の回答で分かったことを、一部要約しご紹介します。
(注:は、AMネットで分かりやすくするため、書き込んでいます)


@大阪市は廃止される。
(注:大阪市役所がなくなるのではない。大阪市という自治体がなくなる)

A「今のサービスを維持する」というのは、特別区設置されるその瞬間まで。
それ以降は「維持するように努力する」が、決めるのは特別区。
特別区長・区議会が決める。

(注:今の住民サービスを維持するかどうか、今の大阪市は言う権利がない。言えるのは、特別区設置する瞬間まで)

設置の際.jpg

B今の24行政区にあった地区社協をどうするかは、社協が決める。

現在の社協は、法律に基づき、大阪市と行政区単位で設置されている。
特別区以降は、特別区に設置されるが、4特別区になるか、複数の特別区での設置になるか、社協が決める。
過去の市町村合併時、それぞれにあった社協を一つにし、支所・出張所といった形で維持するケースが多い。

(注:都構想後、どうなるか全く決まっていない。が、過去の事例から言えば、24区ある社協は合併され、維持されない可能性が高い)

C二重行政「等」の改革効果額の未反映分とされる、効果額の約半分は地下鉄民営化。
重複機能の統合、いわゆる二重行政の統合効果としてあげられた「港湾」は10月1日に、大阪市のままで実施済み。
残り二つの研究所等の統合は、実施済み。

(注:二重行政の無駄を削減と言われたが、実際の効果額としてはほとんどない。今回の財政効果額で計算されているのは、すでにやったものが、今後も効果を上げるだろうという予定の効果額)
※末尾に画像貼り付けています。

D大阪市の財産は、事務分担移行に伴い、事業の遂行に必要不可欠なものについて、大阪府へ移行。
大阪府に移行する主な財産は、府道、大規模公園、インテックス大阪国際見本市会場という、広域事務に必要な財産。
広域事業が終了すれば、特別区に承継することを「基本として」協議される。

(注:基本とか原則、というのは例外がある前提。もし大阪府が売却してしまっても、戻ってくる保証はないということ)

E経済効果の試算(P36嘉悦学園の試算)は、あくまで「参考資料」
特別区の財政が大丈夫という試算は、P33の財政シミュレーションのみ。
協定書の中身、法律上必要な項目は、42ページある説明パンフレットの@からJ(18ページから32ページ)のみ。

(注:住民投票の結果、どうなるか確定しているのは@〜Jのみ)
※末尾に画像貼り付けています。

F自治体運営に最低限必要なコスト(基準財政需要額)は、特別区への分割コストが反映されていない。
これまでの大阪市としてもらっていた地方交付税相当額が、特別区へ配分される財源となる。

(注:スケールメリットが期待された市町村合併と違って、大阪市が勝手に分割。
今後も、分割コストを算定した増額モデルでは計算されず、国からも大阪市のスケールメリットあったままで計算された、基準財政需要額からの交付金しかもらえない。)


G財政シミュレーションの税収の伸びは、国の成長モデルの伸び率を使ったもの。
都構想によるものではない。
大阪市の粗い試算が元。特別区の導入は試算されていない。
ただし、移行・人員増によって増えるコストは、これまでのAの改革効果額の未反映分で吸収できるから大丈夫という試算。

※この部分のみ、職員の方の回答を以下抜粋
「ベースとなっております財政局の出してる、いわゆる粗い試算と言ってるものは、現在の大阪市をベースに作った将来推計でございます。それにこれまでの改革効果額で、粗い試算の中に未反映のものについては、今回の財政シミュレーションに加えております。それに加えまして、組織体制の影響額、すなわち人件費であったり特別区の設置コストなどをもりこんだ結果、特別区全体では収支見通しでマイナスになることはない、というのがこの資料の定義」

※末尾に画像貼り付けています。

H一人当たりの裁量経費
絶対に支払ねばならない義務的支出は変わらない。それにプラスする市民サービスができるかどうかは、この自由裁量の経費があるかどうかで変わる。

各特別区役所の裁量経費というのは、だいたい200億から207億という形で算定。それを人口で割りますとこの金額になる。
(1人あたりの裁量経費、中央区は35,012円。淀川区34,851円、天王寺区31,376円、北区32,721円)

他都市との比較では、箕面市の9万円台、少ないところ4万円台前半。

裁量経費.jpg

■実際の書き起こしはこちらからご覧いただけます。
https://drive.google.com/file/d/1zaGDb7M7IowjPPlvuRXXScnlWgkWwph4/view?usp=sharing

※書き起こしを読み返すと、司会 武田の理解不足で、職員の方の回答とちぐはぐになっているところがあります。
申し訳ございません。ご了承ください。


<以下参考画像>

C二重行政「等」の改革効果額の未反映分
改革効果額1.jpg改革効果額2.jpg改革効果額3.jpg

E経済効果の試算(P36嘉悦学園の試算)は、あくまで「参考資料」
経済効果.png


G財政シミュレーションの税収の伸びは、国の成長モデルの伸び率を使ったもの。
都構想によるものではない。
財シミュ.jpg
posted by AMnet at 15:44| 大阪問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月14日

水道民営化はどうなっているか、そして大阪市の水道は大阪都構想でどうなるか?



水道民営化はどうなっているか、そして大阪市の水道は大阪都構想でどうなるか?


全国の水道があぶないといわれる中、水道を民営化(PFI/コンセッション)すれば問題解決されるかのように言われてきました。

そんな中、大阪では大阪都構想の住民投票が近づいています。都構想で大阪市がなくなれば、大阪市の水道事業はまるごと「大阪府に移管」されるため、大阪の水道事情は一気に変わります。


■全国の水道民営化。今、どうなっているか

2018年8月のPFI法改正、201910月の水道法改正により、「水道事業全体」の民営化が進められる一方、「切り売りの民営化」も進められています。


内閣府PPP/PFI推進室は、2017年「コンセッション導入に向けた働きかけ(トップセールス)リスト」が発表され、全国19事業体が対象となっていました。

しかし現在、「水道事業全体の民営化」は、議会で否決、または民営化の条例提出までたどり着けないケースが多くあります。

現在、民営化が実際に進んでいるのは宮城県と大阪市のみであり、全体としてさほど進んでいるとは言えなません。

つまり、水道民営化したほうが良い、と判断した自治体はごく「少数派」ということです。


宮城県は、宮城県の上水道・下水道・工業用水のすべてまとめて一括で民営化が現在進行形です。
※宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)。

浜松市は下水道民営化後、水道事業(上水)民営化が進んでいましたが、市民の反対が大きく浜松市長選以降、保留となっています。


ただし、民営化の重点分野として、「水道」「下水道」は今も設定されています。

「水道事業全体」の民営化がだめとなれば、大阪市のように「切り売りの民営化」が今後一層進むのではないでしょうか。


水道職員の技術継承が大きな課題と言われています。

公務員減らしが進み、民営化までいかずともすでに、どの自治体も民間委託が進んでいることが大きな原因です。
民間に依存すればするほど、現場を失い技術継承が困難となります。

チェック機能も働かなくなり、企業の言いなりになるしかありません。

その中でも、民営化は契約年数も長く、課題解決から遠のくことは海外事例からも明らかです。



■大阪市の水道の今

大阪府と大阪市の水道は、長年いずれも水余り状態でした。

橋下知事以降、二重行政の象徴とされ、さまざまな議論を経たのち、2017年、水道事業(上水道)全体の民営化が廃案となったことで、水道事業全体の民営化はストップしました。
(維新:賛成、自民:継続審議、公明・共産:反対。いずれも過半数なく、審議未了のまま廃案)


しかし「水道事業全体」の民営化をストップしたにもかかわらず、その後、大阪市で進んでいるのは水道事業の「切り売りの民営化」です。


2020年23月市議会において、大阪市の「管路更新事業」「工業用水」の民営化が議会で可決しました。
(いずれも賛成は維新・公明、反対は自民・共産・市民第一)

下水道はすでに、大阪市の職員を転籍させクリアウォーター鰍ェ設立され、包括委託されています。
最終的に「公共施設等運営権制度(混合型)の導入をめざす」とあり、将来的には民営化(コンセッション)の方針です。


■水道民営化?大阪市の水道の将来を「決めるのは大阪府」

大阪都構想は、「大阪市を廃止し、4つの基礎自治体として特別区を作る」というものです。

大阪市が一括で実施してきた事業は、「大阪府」「特別区」と、4つの特別区が共同で設置・運営する「一部事務組合」に仕事が分かれます。


水道・下水道は共に、「大阪府」に移管されることとなっています。

大阪府が事業継続するため、大阪市水道局(下水道も)の資産すべてと職員は、大阪府に移管されます。

しかし決まっているのは、ここまでです。

水道料金をどうするか、水道を民営化するのかなど、「大阪府が決める」と決まっているだけで、何も決まっていません。

大阪市民の水道にも関わらず、大阪市民が水道の将来を決められなくなるのです。


■水道料金で築いた資産が、全て大阪府のものに

大阪市水道局は約4723億円の資産を持ち、現金預金だけで約530億円にもなります。

水道料金が、全国の大都市および大阪府下でも一番安いにもかかわらず、年間の利益は年間100億円超という、安定の黒字です。


大阪都構想が成立すれば、土地・建物、現金預金や基金など、

これまで“大阪市民が払った水道料金”で作り上げた、これらすべての資産が、大阪府に移管(無償譲渡)されます。

大阪市が水ビジネスを海外で展開、などと言われたのは大阪市水道局の職員のスキルが高いからですが、

これら職員も、「大阪府にただであげる」ことになります。


■大阪市のままなら、水道料金値上げは必要ない

「将来の水道料金値上げは避けられない」。

これは、これまでの設備更新費用を先送りしたツケであり、全国的な傾向であることは間違いありません。


2040年度までに、全国の約90%の水道事業者が水道料金の値上げが必要というレポートが全国ニュースで流れました。その値上げ率は全国平均で36%、中には料金がおよそ5倍になる自治体もあります。

一方、大阪市の必要値上げ額は「0円」です。

つまり、大阪市のままであれば、当面値上げの必要はありません。※


しかし、特別区になれば水道料金があがる可能性は、非常に高くなります。

大阪市の人口は府域の3割しかなく、特別区選出の議員が一致団結しても、大阪府議会では少数派です。

大阪府議会で「料金を上げる」と決めれば上がります。

また、水道の広域化の将来像は、水道会計の一本化です。

大阪府域で1番安い、大阪市の水道料金は、「上がる」しかないのです。



■大阪市の水道の役割

大阪市の水道事業は、大阪市域をしっかりと守ることを最優先したうえで、大規模自治体として近隣自治体の支援をするべき立場です。

大阪府下にバラバラになっては、その力すら発揮できません。

大阪市の水道をなくすことは、大阪市民の水道を不安定にするだけでなく、周辺市に住む人々にとっても大きなダメージを追うものなのです。

文責:AMネット事務局


posted by AMnet at 21:54| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする