2022年01月29日

大きく変わった大阪IRカジノの計画&損害賠償などのリスク〜大阪IR公聴会で公述しました〜

大阪IRの区域整備計画について、公聴会で公述しました。
わずか5分と短く、以下5ポイントのみ指摘しましたので、ご紹介します。

大阪IRカジノ資料はこちらから ↓

<1/29公述概要>

1,「リスク分担」が明確でない。

カジノ実施方針・募集要項のリスク分担(※末尾参考参照)では「詳細は、実施協定で示す」とあるだけで、区域整備計画にリスク分担が書かれていない。災害時など被害が出た際に、「大阪市の責任」どこまで補償を求められるかも不明である。このような将来リスクが不明のまま、議決すべきではない。

実施協定は契約であり、リスク分担が確定したのち、リスクを議会で議論してから議決すべき。


2,「契約解除」の記載もない。

実質的に、IR事業者はいつでも撤退可能。

今予算で790億円予算措置したとしても、開業前の撤退も可能である。

一方、大阪府市は撤退させれば、損害賠償請求リスクがある、不平等な内容。 

契約解除の記載がないということは、そのリスクも試算できていないということだ。


3,「IR事業用地の適正確保」によるリスク

土地所有者としてのIR事業用地の適正確保(土壌汚染対策、液状化対策、地中障害物撤去)について、引渡し前に限るのか、将来に渡るのかすら明確でない。文脈としては将来に渡ると読める。また松井市長も「市の責任」と言いきり、市会で議決されば、大阪市の対応を期待してIR事業者は投資することとなる。となると、適正確保を大阪市が実施しないとなれば、ISDSの訴訟リスクにも直結する。


逆に大阪市がIR事業用地の適正確保を負担したとなれば、新たに、それ以前の土地売買等の契約者との不平等も起こり、訴訟となる可能性が起こる。つまりいずれにせよ、将来世代に訴訟のタネを残すこととなる。


4,「投資家の期待」を裏切った場合のリスク 〜ISDS条項〜

TPP等の投資協定による投資家対国家の紛争解決手続き、ISDSによるリスクを考慮されていない。

将来、カジノを止めると公約にあげての知事・市長が誕生したとしても、ISDSによって、多額の賠償請求が発生する可能性が高く、将来世代の選択を奪いかねない。

途中解約だけでなく、災害時の被害について、大阪市負担で改修する予算が通らないなどとなれば、ISDSの対象になりえるのではないか。


5,大阪IRは実質65年契約

大阪IR35年と非常に長く、さらに「事業の継続を前提として」30年間の延長を協議されるため、実質的に65年ものライセンスを認めている。

マカオの更新も20年から10年に変わるにも関わらず、なぜこれほど長いのか。

ほとんどの大阪市民は、松井市長の言った「lRには1円も使わない」という発言から、これほど費用が高騰していることも知らない。

夢洲にかかる財政リスクも、IR計画の縮小も知らない。

市民にこれらを周知し、住民投票で市民の意思を測るべきだ。

また4/28の国への申請期限ありきで進めていると懸念している。延期すべきだ。


<ここまで>



posted by AMnet at 20:52| 大阪問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月28日

大阪IRってどういうもの?2019年大阪IR基本構想と2021/12公開されたカジノ計画は別モノ。勉強会資料を公開します。

大阪IRの計画って、どういうもの?
勉強会用に作成した資料を取り急ぎ公開します。

カジノはあんまりかもだけど、IRは欲しいから。と賛成されていた方。

2019年12月に発表された大阪IR基本構想と、今回の大阪IRの区域整備計画(2021年12月23日に発表)は、別物になってしまっています。

この計画だとカジノのための税金投入
これまで賛成されていた議員も、思いなおすべきじゃないでしょうか。

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2・3月議会で、IRカジノの計画と、790億円の土地改良予算が議決されます。
その後、IRカジノの審議は大阪府に移るため、大阪市の判断は今回が実質的に最後です。

IRカジノはカジノの収益で、MICE(国際会議場・展示場施設)等の施設を運営しますが、
今回の計画は、カジノ以外の施設が縮小しており、当初の計画とは変わっています。
(今後も状況次第で、議会の議決なく、IR部分を縮小することも可能)


1,収支計画・施設計画など(区域整備計画より)

@初期投資額 約1兆800億円
経済波及効果 (建設時)約1兆800億円、(運営)約1兆5800億円/年

A総延床面積:100万u(2019年12月大阪IR基本構想)→77万u(区域整備計画)
宿泊施設:3000室→2500室
展示場:10万u→2万u
※インテックス大阪7万u

B年間売上 4800億円→約5200億円(うちカジノが約4200億円(約80%)

※大阪IR 掛金で約6兆円*。(年間1000万人が60万円掛ける計算)
 JRA 約3兆円、パチンコ 約15兆円(2018年)、セブンイレブン売上 約5兆円
 MGM(29施設) 掛金で約14兆円*。(*総粗収益(GGR)7%で計算)

・来場者数 1500万人→年間約2,000万人(国内約1400万人、国外約600万人)
※うち、1070万人がIRへ行く想定。2019年インバウンド約3,190万人
 (USJの来場者数は年間1450万人)

CIRからの収入 確定しているものは、土地賃貸料35年の875億円。
納付金・入場料(6000円)の府市合計は年間約1060億円と想定。(530億円づつ)

D事業期間 35年契約。事業期間終了後、「事業の継続を前提に」30年の延長を協議。
実質的に最低65年間のライセンス。※マカオのライセンスは20年→10年に変更。


2,大阪市の負担・リスク(大阪市の年間税収は7500億円)

@必要毎年の経費/先行投資(大阪府・市想定)
ギャンブル依存症対策 約14億円/4億円
警察力強化(340人体制) 約33億円/71億円
夢洲IR関連インフラ 約4億円/??
消防力強化(40人体制) 約4億円/20億円      合計約55億円/95億円+??

Aリスクに取り組む「役割分担」は決まっているが、「リスク分担」は未定のまま、今回の議決
損害賠償請求された時、大阪市がどこまで負担するのかが不明

B夢洲の土地改良費は、「土地所有者である大阪市の責任」と松井市長が発言。

C社会的コスト、経済損失は試算されていない。

D新型コロナ・国のIR税制(海外客の所得税免税など)の早期法制化・夢洲の課題、この3つの解決が「必要不可欠」であり、公民連携して取り組む。とあるが、ダメだったら?

→区域整備計画の府市議決→国に申請・認可→実施協定の締結=契約

E契約解除の規定がない。
IR事業者は実質的にいつでも撤退可能。
一方、大阪府市が撤退時は、莫大な損害賠償をせねばならない。


3,会場地「夢洲」のリスク
@夢洲は、大阪市が唯一持つ最終処分地。埋立終了後、物流拠点として土地売却。国際コンテナ戦略港湾として、関西の物流の中心拠点。ヤード面積不足でコンテナを高積みしており、コンテナ仕分けも非効率、周辺道路は渋滞、海も沖待ちが発生している。
※咲州・舞洲は80%以上売却済、投資もほぼ回収済

A最終処分地として数十年に渡り、高度成長期の浚渫土、アスベスト含む建築残土、一般廃棄物等を埋め立ててきた。土壌汚染だけでなく、地盤沈下、越波、津波・高波、液状化、地下水等、さまざまな対策が必要。
→商業地として、将来に渡り大阪市が負担するのか?の判断が問われる。

B開発すればするほど、夢洲はコストがかかる。夢洲に集客施設を作る=高層建築物を建設=最終処分地に埋めた汚染土壌を掘り返し、大阪市が土地改良費負担。軟弱地盤のため、50mの杭が必要。
(35年の賃貸料875億円も、すでに以下土壌改良費で支出。だが@Aの理由から、今後も想定外のコスト増が見込まれる)

<参考>(直近のコスト増報道のみ)
・土壌汚染の他、液状化、地中障害物撤去費で、790億円負担増が判明。(12/21報道)
・大阪メトロ延伸で250億円→346億円に増加(1/12報道)
軟弱地盤対応、メタンガスの防爆対策、地盤沈下、地中障害物の撤去等
・夢洲駅周辺のまちづくり 民間事業者の応募ゼロのため33億円+30億円(1/12報道)

posted by AMnet at 00:01| 大阪問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする