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イスタンブール 2009年3月19日
水の公正を求めるグローバルな運動における重要なステップであった2006年のメキシコシティを経て、我々は世界水フォーラムに異議を唱えるためにイスタンブールに集結した。我々は、企業主導の誤った世界水フォーラムの正当性を解体し、グローバルな水の公正を求める運動のポジティブな課題に関する声を挙げるためにこの地にやって来た。
トルコにいるという事実から、この国が破壊的な水管理政策により広範囲に影響を与えている強大な事例であることを無視するわけにはいかない。トルコ政府は水サービスと水源の両方を私営化し、この国のすべての川にダムを建設しようとしている。4つの破壊的でリスクの高いダムは、Ilisu、Yusufeli、MunzurそしてYortaniのダムである。この10年間で、ダムの影響を受ける人々はこのプロジェクトに対して猛烈に反対してきた。特に、Ilisuダムは南東アナトリア・プロジェクト(GAP)と呼ばれる灌漑とエネルギー生産の大規模なプロジェクトの一部である。Ilisuダムは、世界中で最も批判されているダムのひとつであり、中東における国際政治に関して特に複雑で問題を引き起こしている。ダムは、未だに解決されていない人権侵害が発生しているクルド人居住地域に建設されている。トルコ政府はクルド人の生活に負の影響を与えるためにGAPを利用し、彼らの文化的・政治的権利を抑圧している。
運動体としての我々は、ここに水危機への解決策を提示し、国連総会が次のグローバルな水フォーラムを組織することを要求する。国連関係者が我々のミーティングに参加していることは、何らかの変化が起こっている証拠である。正当性に関する象徴的な変化がある。すなわち、世界水会議と民間企業が営利目的により運営する公式フォーラムから、農民や先住民、活動家、社会運動、労働組合、NGO、ネットワークを含むグローバルな市民社会によって運営される人々の水フォーラムへの変化である。こうした市民社会は、世界中で水とコモンズ(共有物)の領域を守る闘いを行なっている。
我々は、国連とその加盟国がグローバルな多元的フォーラムの正当なメンバーであるという義務を果たし、国家の義務であると同時にグローバル・コミュニティーへの責任に結びつけられる水に関するフォーラムへ正式に参加することを要求する。
我々は、企業によって管理されている第5回世界水フォーラムに参加するすべての組織と政府に、今回を最後のフォーラムにすることを要求する。世界は、国連のプロセスを経てその加盟国によって支援される正当的で、説明責任があり、透明で、民主的な水フォーラムを必要としている。
世界水フォーラムの非正当性を再び確認し、我々はその閣僚宣言を非難する。なぜならば、それは水が普遍的な人権であることを認めておらず、グローバルな貿易協定から除外することもしていないからである。さらに、その解決策の草案は、水の私営化ではすべての人々に水へのアクセスを保障することにはならないという事実を無視しており、ヨーロッパ議会が不十分ながらも提案した解決策を考慮に入れていない。そして、閣僚宣言は、水を水力発電ダムによるエネルギー生産の目的で使用し、穀物からの燃料生産を増大させることを推進している。これらはともに不平等と不正義につながるというのに。
我々は、2006年のメキシコシティ宣言で表明された条文を再び承認し、それを補強する。水は地球上のすべての生命体にとって基本的な要素であり、決して取り去ることにできない権利である。現在と将来の世代に渡る連帯が保障されることを支持し、いかなる形態の私営化にも反対する。水の運転管理は、公的で、社会的で、協調的で、参加型で、公平で、非営利でなければならない。我々は民主的で持続可能な生態系の管理と、水源と環境の保護と適切な管理による統合的な水サイクルの保全を要求する。
我々は、公共の水と衛生サービスの私営化、商品化、企業化を進める支配的な経済・財政モデルに反対する。コスト全額回収や前払い式メーターの使用を迫られる貧しい人々を前に、我々はこのような破壊的で非参加型の公的セクター改革に対峙する。
2006年のメキシコ以降、グローバルな水の公正を求める運動は、水に利益を追求する企業による管理に一貫して反対し続けてきた。その成果とは、私営化された水道施設を再び公営に戻し、パブリック・パブリック・パートナーシップ(公公連携)を導入し、ボトル・ウォーター産業を減益に追い込み、「青の10月」や「グローバル行動週間」への多くの活動家を参加などである。我々はいくつかの憲法や法律において水への人権が承認されたことを祝福する。
同時に、我々は経済的・生態的危機についても議論する必要がある。我々はそのような危機に対して代償を支払いはしない!我々は、公的負債に投入された説明不可能な民間の投資へとつながる、腐敗した持続不可能なモデルを救うことはしない。また、水とコモンズを商品化し、すべての天然資源を公の場で廃棄するモデルも同様である。
水と気候変動の基本的な相互関係は、科学者集団の間でも認められており、気候変動に関する国家間パネル(IPCC)でも強調されている。それゆえ、エネルギー・セクターに危機を引き起こした論理とまったく同じものを、気候変動においても適応することを許容するわけにはいかない。この論理はダムや原子力発電を基礎とした水や生命を押し付ける。我々は、2009年12月にコペンハーゲン(デンマーク)で開催される国連気候変動会議においてこの懸念を表明し、提案をするつもりである。
さらに、集約的で工業的な農業という支配的なモデルは、水源を汚染し破壊すると同時に、食料主権を破壊する。これは生活と公衆衛生に対して多大な影響を及ぼす。ベレン(ブラジル)における世界社会フォーラムの実りのある経験から、我々は水運動と土地、食料、気候を求める運動との間における戦略的な同盟関係を強化していく。
我々また、ネットワークと新たな社会連帯を構築し続け、共通財である水を守り、すべての人と自然に水への権利を承認する地方自治体と議会を巻き込んでいく。そして、すべての公共水道事業者を支援し、国家連合や地域ネットワークを実現させる。
我々はこうした成果を祝福し、世界中で協力関係を続けていくことを望む!
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(翻訳:AH)
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