2010年02月10日

入門講座「食と農をめぐるつながり」の報告


 今年はじめての入門講座となる「食と農をめぐる“つながり”」を1月23日(土)に開きました。

 当日は、発題者としてテーマに関連することについて色々な話をしました。

 現在、世界の人口は68億人余りと言われていますが、そのうち10億人以上が栄養不足の状態にあると、昨年FAO(世界農業食糧機関)は発表しています。ここ数年で飢餓人口は減るどころか増えているというのが現実です。

 更にFAOは、2050年には世界人口は90億人を超えるという予測を前提とし、それまでに現在の農地を70%拡大する必要があると指摘しています。人口の増加に加えて、肉類や乳製品、脂質のウェイトの高い欧米型への食の変化が多くの国で見られ、また気候変動や水資源の問題なども考え合わせると、今後世界的に食糧確保が益々難しくなると思われます。

 また今の日本の食の現実を改めて見直して見ると、世界中から輸入される食料の恩恵を私たちが享受している半面、それらの生産国側では、その食料生産のために環境破壊が起こっているケースや、大量の水を消費しているという実態、また、フードマイレージが世界最大という状況など、様々な問題も見えてきます。

 国内に目を転じても、40%という低い食料自給率をはじめ、農地面積の縮小、耕作放棄地の拡大、農業従事者の減少や高齢化など様々な問題が表面化しています。そういう現実を直視し、その上でもう一度、食と農について、またそのつながりについて考えることが必要です。

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 今日の社会の中で様々なつながりが希薄化し、そのために多くの問題が生じてきている、もう一度、つながりというものを意識し直してみよう、それが当日の話の中心的なテーマでした。

 食と農の問題について言えば、地産地消という地域の中でのつながりの再生を考える、あるいはもう1つの “知産知消”という、生産者と消費者が共に互いを知り、意識する-という取り組みを通じて、持続可能な食と農のあり方を考える、そういう課題や取り組みについても話をしました。

 社会構造の変化や個人の意識の変化の中で、希薄化してしまった様々なつながり、しかしその希薄化してしまったつながりは、人が生きていく上で、また社会が社会として機能していく上で、必要不可欠なものであると思います。

 今一度、そのことを再認識し、つながりの再生や現代という社会風土に合った新たな“つながり”を再構築していく、そういうことが今後益々重要になってくるのではないかと思います。

(若間)



posted by AMnet at 23:48| スタッフのつぶやき(若間) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする