2010年03月17日

「食は誰のものか?―錯綜する世界のフードポリティクス」(『農業と経済』2010.4臨時増刊号) #food


「食は誰のものか?―錯綜する世界のフードポリティクス」
(『農業と経済』2010.4 臨時増刊号、昭和堂)

標記の本が先日発売されました。

豪華な執筆陣で一読の価値はあります。

松平も執筆させていただきました。

購入希望の方にはメール便(80円)+定価でお送りします。

ご希望の方は、
kurodaira[@]rouge.plala.or.jp
まで連絡ください。

松平尚也(AMネット代表理事)

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食は誰のものか?―錯綜する世界のフードポリティクス

穀物・食料価格の高騰とそれに続く世界金融危機・同時不況によって、農業と食料をめぐる世界地図が大きく変化しつつある。国際的なフードポリティクス(=農業と食料をめぐる政治過程)の主要舞台であるWTO農業交渉は遅々として進んでおらず、食料危機対応の過程では、フードポリティクスの舞台として国連機関の役割(と限界)があらためて注目されている。

フードポリティクスの背後では、巨大な投機資金による農地争奪の過熱、また多国籍企業が政策形成過程で直接・間接に政治的影響力を行使し、あるいは 新たな市場環境や政策展開にフレキシブルに対応しながら一貫して強大な存在感を示している。
その一方で、問題領域ごと、あるいは領域横断的にネットワークを形成しな がら国際社会で発言力を高めている市民社会組織や小農運動の展開といった動きも無視できない。

 本特集の狙いは、この数年間の大きな情勢変化を整理するとともに、どうしても国内農業保護政策、貿易自由化交渉、それらに関連する限りでの食料安全保障政策に議論が集中しがちであった「フードポリティクス」の問題領域を広げ、農業と食料をめぐる多様な利害関係者の複雑で多層的な対抗関係を解きほぐすことにある。

目次:

I  食料危機と向き合う世界

1 食・農・環境をめぐるグローバル・ガバナンス―再編を迫られる世界枠組み(パラダイム・レジーム抗争) 古沢広祐
2 投機資金による資源・穀物市場の撹乱と国際的規制 毛利良一
3 開発途上国を中心舞台に過熱する農地投資 北林寿信
4 フードポリティクスと市民社会組織の可能性 佐久間智子
5 反グローバリゼーションから脱グローバリゼーションへ―ローカルからの発信と可能性 池上甲一
【コラム】
・変わる水産物の貿易構造と日本の食料戦略 山尾政博
・変わる青果物の貿易構造と食品企業の調達戦略 下渡敏治

II  食料をめぐる対立と調整

1 オバマ政権の新交渉方針とWTO農業交渉のデッドロック 服部信司
2 途上国農業開発をめぐる国際機関の役割 小山 修
3 WTO/SPS協定による食品安全性をめぐる国際調整の枠組み 藤岡典夫
4 知的所有権・遺伝資源をめぐる国際交渉―生物多様性条約の影響を中心に 今泉 晶
【コラム】
・穀物・資源価格高騰と多国籍アグリビジネス 松原豊彦

III 世界で力を増す市民社会組織

1 農産物貿易問題と市民社会組織の役割 松平尚也
2 バイオ燃料問題と市民社会組織の役割 満田夏花
3 遺伝子組み換え問題と市民社会組織の役割 アキコ・フリッド
4 アフリカの食料安全保障において市民社会組織が果たす役割―情報アクセス支援という課題 斉藤龍一郎
5 フードポリティクスを見据えた市民社会組織の新たな挑戦―オランダを中心に 久野秀二

IV バイオ燃料のフードポリティクス

1 アメリカにおけるバイオエタノール普及拡大をめぐる政策論争 大江徹男・坂内 久
2 ヨーロッパのバイオ燃料生産と政策の現状と課題―域内外に課題を抱える欧州連合(EU)のバイオ燃料生産事情 加藤信夫
3 ブラジルにおけるバイオ燃料ブーム 佐野聖香
4 東南アジアにおけるバイオ燃料問題―マレーシアのパーム・バイオディーゼルを中心に 岩佐和幸
5 アフリカにおけるバイオ燃料用作物の役割 ― ヤトロファはタンザニアにとって「奇跡の作物」か「新植民地システム」か 辻村英之・水野由康

posted by kurodaira at 11:24| 新聞・雑誌記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする