先日、ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」を見に行ってきました。
この映画の舞台となったラダックは、インド北部にある標高3000メートルを超える山岳地帯にあり、チベット仏教や昔からの伝統文化が色濃く残る地方だそうです。
ラダックは、今から30年ほど前までは外国人が立ち入ることもない地域だったそうですが、
そこに外国人が入るようになり、さらに西洋の消費文化や様々な情報やモノが
入ってくるようになると、あっという間にそれまでの伝統的な生活スタイルが一変し、
人々は自然とのかかわりを見失い、人とのつながりも希薄化し、
ついにはアイデンティティーや伝統文化の誇りまでも失っていったと言います。
そして、その証拠に、昔はいきいきと目を輝かせて暮らしていたラダックの人々が、
「ここには貧しい人はいない」と言っていた彼らが、
いつしか「自分たちは欧米に比べて何も持っていない、貧しいんだ。だから援助が必要だ」
ということを訴えるようになってしまったと、この映画の中で語られています。
この映画では、欧米型の消費文化に翻弄されるラダックの人々を描き出すとともに、
その変化の波をこのラダックにもたらしたグローバリゼーションの負の側面を指摘し、
見る人に、本当の豊かさや幸せの在り処は、どこにあるのかと問いかけています。
そして、グローバリゼーションに対峙し、人々の暮らしやいきいきとした精神を取り戻すためには
ローカリゼーションが重要だと述べています。
日本でも地産地消や、さらに食だけでなくエネルギーやケア(医療、介護、福祉)も合わせた
地域としての自給、自立に目を向けた動きも出てきています。
ローカリゼーションを、何でもかんでも地域の中で完結してしまうもの、
というふうにとらえると、何だか僕には少し息苦しいもののように思えてしまいます。
しかし、このラダックだけでなく、地域という暮らしの足場をしっかり見据えて、
そこから人や自然とのつながりを再生し、より良い社会を作っていこうという
そういうムーブメントとしてローカリゼーションをとらえると、
そこには、いろんな発見や可能性があるのだと思います。
それにしても「幸せの経済学」って何だかとってもいい響きですね…。
(若間)