フランス・マルセイユにて第6回世界水フォーラムが開催されています。
世界の水問題を話し合う場で閣僚宣言が発表されます。
しかし、これはおもに水企業が作ったNGOが主催するフォーラムであり、
企業の利益優先で水問題を解決しようとすることで問題が多く指摘されています。
※世界水フォーラム開催2日目にして発表された閣僚宣言の全文
世界水フォーラムに対抗して、世界中の水問題に関わるNGOが集まって行われているのが
「オルタナティブ水フォーラム」(FAME)です。
日本の水道労働組合の方たちと共にAMネット理事の堀内葵がこれらのフォーラムに参加しています。
まずは1日目の報告です

2012年3月14日(水)
午前中、市内中心部のマルセイユ・サン・シャルル駅前の大階段にて、水の民営化やダム建設に反対する多くのグループによるアクションが行なわれました。特に若者グループによるダムと水を模したパフォーマンスは、大人数であることと鳴り物を使った派手なもので大きな注目を集めていました。
私たちも東京水道労組が用意したバナーを持ち、さっそくアクションに加わることにしました。「水の商品化・水道民営化反対」と書かれたバナーには、事前に労働組合員の方から寄せ書きを頂いていました。日本語のバナーは珍しいため、多くの人が写真を撮ってくれました。
また。イタリアのNGOやフランスのユースグループなどにインタビューを受け、日本の水道民営化や商品化の問題についてお話しました。
「世界水フォーラムは企業の利益に迎合している」と書いた英・ガーディアン紙の記者もアクションを取材しており、メディアの注目ぶりが伺えます。
http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/mar/12/world-water-forum-corporate-self-interest
http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/mar/14/world-water-forum-declaration-human-rights
19時からは「オルタナティヴ水フォーラム」の開会式が市内北部のDOCK DESSUDSにて開催されました。世界中から集まった2000人以上の市民活動家/NGO・労働組合・農民・先住民組織・研究者たちは、国連が水への人権を承認したことを祝い、商業主義的な世界水フォーラムを批判し、オルタナティヴな解決策が多く集まる「人々による水フォーラム」の開催を宣言しました。これから3日間に渡って50近くのワークショップが行なわれます。
開会式で特に注目を浴びていたのは、2011年6月に国民投票によって水の民営化に反対の声を上げたイタリアの人々です。国民投票に至るまでに各地で対話集会を開いたり、国会議員に提言したり、メディアが取り上げるよう働きかけたりと、数々の努力を重ねてきたことが伝えられました。
水への人権に関する世界的な活動家であるモード・バーロウ氏(カナダ人評議会、元国連議長への水に関する上級顧問)による、企業のトレードショーと化した世界水フォーラムの正当性を疑問視する声や、ボリビア・コチャバンバの「水戦争」において市民の抵抗運動の中心を担ったオスカル・オリビエラ氏による「一人や一つの地域だけでは変化は起こせない。みなが集まることによってそれは可能になるのだ」というスピーチは大きな拍手を持って迎えられました。
パリ市水道局のアン・ル・ストラ氏は、「このオルタナティヴ水フォーラムには多くの女性が参加していて心強い。世界水フォーラムは男性ばかりが集まり、技術や効率性について話し合っているが、私たちは責任を共有することや貴重な資源を共有すること、人間性について話し合っている」と、オルタナティヴ水フォーラムの意義を強調しました。パリ市水道局は2010年1月に民営から公営に戻され、水道事業の再公営化の事例として大きな注目を浴びています。
国連水と衛生に関する独立専門家のカタリーナ・デ・アルブケルケ氏は「世界水フォーラム内部でも話す機会がありました。今回の閣僚宣言が、2010年に国連が承認した人権決議よりも大幅に後退していることを懸念している、と伝えました」と話していました。カタリーナ氏は一昨年(2010年)の7月に日本で水と衛生に関する政府の実施手段や責任について調査を行なっており、その際AMネットおよび大阪市水道労働組合と意見交換の場を持ちました。
オルタナティヴ水フォーラム(FAME)の開会式の様子は下記のUstreamチャンネルから視聴することができます。明日以降のセッションも部分的に中継されます。
http://www.ustream.tv/recorded/21103423
(堀内)
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