2014年02月04日

=MDGsとTPPを考える=『TPP/日米並行協議に関するオープンフォーラム』@大阪

2/2(日)、毎年大阪で開かれる国際協力・交流イベント「ワン・ワールド・フェスティバル」で、TPPとMDGs"国際協力"を一緒に考えるオープンフォーラムが開催されました。参加者は常時30人ほど、のべ参加者数は40〜50人にのぼりました。

まず、龍谷大学の只友景士先生から、食品の安全基準が変更になるかもしれないこと、国民健康保険の財政がさらに危機的な状況になるかもしれないこと、ジェネリック医薬品などの安価な薬が普及できなくなるかもしれないこと、など、わかり易い説明をいただきました。国保の保険料は所得によって異なるので、高額所得者が安い保険料を求めて民間保険に移ってしまえば、国保の仕組みそのものがゆらぎかねない、それは国民皆保険の崩壊につながる危険が大きいと。

保険ってお互いにリスクを分け合って助け合う仕組みのはず。みんなが自分の損得だけで安い方へ走ったら、結局低所得者は医療を受けられなくなる。。ホントにそんな国でいいの?
只友先生が、「先進国のモデルってどういうものなんでしょうか? 途上国の人たちが、こんな国になりたいな、と思える国とは?」と投げかけておられたのが印象的でした。

弁護士の杉島幸生氏からは、TPPルールが国内法より効力が上になる、という、あまり一般には知らされていないショッキングな事実を、ISD条項を絡めて説明いただきました。ISD条項とは、投資家が国内法で重大な損害を受けたら、相手国政府に損害賠償を請求できる、というもの。たとえば環境保全のための法律が、ビジネスに影響して損害を受けたら、投資家が相手国を訴えることができる、というものです。これまでに実例もあり、問題視されています。

これって、欧米の投資家が、日本で遺伝子組み換え食品を自由に売れなくなって損したから日本を訴える!的な話ですよね。さらに、新しい法律は、TPPルールの範囲内でしか作ることができなくなる。。しかも、TPPの情報公開が進んでいないので、どんなISD条項になるのか、まだわからないそうです。
「突然TPPルールが頭のうえから降ってきて、私たちの生活が、国民主権から多国籍企業主権へ変わってしまう危険が大きい」と、指摘され、改めてその重大な事実を考えさせられました。

JVC代表の谷山博史氏からは、ラオスやタイ、モザンビークの例を挙げて、MDGsとTPPの関連性が示唆されました。MDGsは、国連ミレニアム開発目標で、貧困や飢餓の撲滅など8つの目標を掲げています。しかし、MDGs達成のためには経済成長が必要で、そのためには自由貿易の発展が必要、と考えられてきたけれど、本当にそうでしょうか? 海外資本が入り経済成長が進むと、人権侵害や土地収奪もおこるようになり、GDPは高くなるが貧困化は進むという現実があります。ラオスやタイでは、経済は活性化したが、農民所得は増えず、土地を持てない農民は倍に増えたのだそうです。

ここ日本でも、経済成長はどんどん進みGDPも十分高いはずなのに、格差は広がり非正規雇用は増えていく、本当にこれで豊かと言えるんだろうか。。
「「貧困」の指標となるものは、GDPや所得ではない、本当の指標となるものを考えるべき、大きな変わり目に来ている。経済成長の促進は限界ではないのか?」という問いかけが、耳に残りました。

コーディネータの神田浩史氏からは、途上国で共同の仕組みが崩れ、土地私有化が進んでいる現状を踏まえ、日本でも国家戦略特区などで水利権のような長年培ってきた共同の知恵が大きく変えられようとしている、それが全国化していく可能性も大きな懸念として指摘されました。

たった2時間のフォーラムでしたが、TPPを国際協力の観点からも考えることができ、とても中身の濃い時間だったと思います。質問も活発で、時間も足りなくなるくらい。TPPもふくめて、私たちを取り巻く様々な現象が、他人事や他国の話でなく、すべてつながっていることを改めて実感し、さらに考えるきっかけとなった2時間でした。
(渡里)
posted by AMnet at 16:48 | TrackBack(0) | AMネット主催イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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