(以下、九大磯田先生コメントより)
『TPP妥結・「批准」後も米国だけは都合良く譲歩を迫る恐ろしい武器を持っている』
「承認手続き」というのは,1988年以来,アメリカが締結した通商協定の実施法にことごとく含まれている条項です。
TPPに即して言えば,大統領はTPP協定が「発効」する旨の書簡を(議会や業界の意を受けた)アメリカ政府(USTR)は,他の締結国に勝手に送ってはなりません。
TPP合意事項を、他の締結国が米国の解釈通り「遵守」するため,国内法,規制,制度,政令を変更や新設した、とアメリカ政府・議会が承認(certificate)するまで発効する書簡を送れず,そして、TPPが合意・署名され,他の国は勿論,アメリカ議会でも承認(いわゆる「批准」)がなされた後でさえ続きます。
これで,
@TPP協定(附属文書や譲許表も含む)について,アメリカの一方的な解釈にもとづき,アメリカが満足する(「遵守」)ように,他の締結国の法律,規制,制度,政令の変更や新設を事実上強制される。
Aアメリカの一方的な,自分に都合の良い「解釈」にもとづくので,事実上,合意されたTPP協定に「(少なくとも明示的には)書かれていない」ことまで,譲歩させられる。
B日本にあてはめれば,USTR『外国貿易障壁報告書』や『SPS報告書』などで執拗に圧力をかけている諸要求が,この「承認手続き」過程に持ち込まれ,譲歩させられる。
Cおまけに,日米2国間並行交渉の内容まで,この「承認手続き」の対象となる。
詳細は,以下の内田聖子さんブログからダウンロードして,邦訳本文をお読み下さい。とてつもなく恐ろしいメカニズムです。
http://uchidashoko.blogspot.jp/
註が英文のままですが,近日中に註を邦訳したバージョンも公表される予定とのことです。
なお原文はジェーン・ケルシー教授,サニア・スミス第三世界ネットワーク法律顧問・上級研究員,邦訳は内田さん,東山さん,磯田,そして法律用語等の監修はSTOP TPP!!市民アクションに結集している関係者が担当しました。
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