【農産物】
12月以降IUST記事より「農産物」概要(北大東山先生)よりさらに要約抜粋。
・ビルサック農務長官が、カナダの日米間決着を静観する態度に不満表明。「TPP交渉から外すとすれば日本でなくカナダ」と発言。農業界は「農産物市場アクセスに最大の恩恵をもたらす国は日本」、つまり最大のマーケットは日本だという認識共有。
・日米間の農産物協議で大きな進展。牛肉は評価すべき進展、コメは難航と説明。
米国米業界は関税撤廃を求めておらず、質(日本のエンドユーザーに直接販売)と量(関税割当量の大幅引き上げ)を希望。
・重要5品目以外でも顕著な成果があった。
◆12月以降IUST記事より「農産物」概要(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】
Inside U.S. Trade
December 26, 2014
VILSACK IMPLIES CANADA MORE LIKELY TO BE LEFT OUT OF TPP THAN JAPAN
【要点】ビルサック農務長官は12月9日、カナダのTPP交渉への態度に不満を表明し、もしTPP交渉から「外す」としたら日本よりもカナダだ、と発言した。カナダは、農産物市場アクセス交渉について、日米間が決着するまでは静観を決め込んでいるが、米国はそのことを苦々しく思っている。米国はカナダに対して、酪農品・家禽の追加的なアクセス拡大のオファーを出すよう求めてきたが、カナダは逆に、米国に政府調達の市場開放求めてそれに対抗している。日本は農産物市場アクセスの面で最大の恩恵をもたらす国と思われており、「外す」ことはあり得ないという認識を農業界は共有しているようだ。
Inside U.S. Trade
December 5, 2014
FROMAN SEES TPP DEAL IN 2015; KIND SAYS WHITE HOUSE LINKING TPA, TAA
【抄訳(部分訳)】12月3日、下院の民主党議員と密室の協議を行ったUSTRのフロマン代表は、日米間の農産物協議では大きな進展があったと語り、最もセンシティブな品目の扱いに関する最新情報を提供した。フロマン代表は、牛肉については前向きの評価をすべきものがあったとしたが、コメは難航しており、両国はタフな交渉に入っている、とした。米国のコメ産業は、日本に関税撤廃を求めているわけではないと以前から表明しており、単に日本市場へのアクセスを量と質の両面で改善して欲しいと要望している。量の面での改善とは、現在の関税割当量(68.2万トン、精米ベース)を大幅に引き上げることであり、質の面での改善とは、日本のエンドユーザーに直接販売することである(現在は政府機関との取引に一元化されている)。また、フロマン代表は、酪農品も良い方向で進展しているとした。最近の動向としては、米国の酪農団体(USDEC、NMPF、IDFA)が政権宛に書簡を送り、他の参加国(明らかに豪州・NZ)ではなく、米国の酪農産業が利益を得られるような協定とすることに焦点を当てるべきだ、と主張している。なお、フロマン代表は、日本との間では重要5品目以外でも顕著な成果があったとし、ナッツとワインのアクセス改善をすでに獲得している、と付け加えた。
【知的財産権】
「知的財産権」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)より要約抜粋。
・米国提案がTPPで導入されるとベトナムのエイズ治療治療薬は一人127→501ドルに値上がり、アクセスできる人が半減するとの研究結果。途上国にもすぐ適用される「エバーグリーニング※」ルールが原因だが見落とされていることが問題。
※既存訳の新しい利用・方法に特許を付与するルール
・影響力ある団体である全米退職者協会や国境なき医師団、オックスファムなど5団体がオバマ大統領に「米国提案の撤回」求める共同書簡。@バイオ医薬品に12年間のデータ独占権を与えることAエバーグリーニングB特許リンケージC公的薬価制度に介入DISDSを主張。
◆「知的財産権」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】
Inside U.S. Trade
December 26, 2014
STUDY CLAIMS U.S. TPP PROPOSAL WOULD CUT IN HALF ACCESS TO HIV DRUGS IN VIETNAM
【要点】米国の医薬品知財提案がTPPで導入されれば、ベトナムがエイズ治療薬(抗HIV薬)にアクセスする能力は半減するだろう、という研究結果が出された。この研究は豪州と米国の研究者の手によるもので、11月下旬にシドニーで開催された国際会議で発表された。研究によれば、ベトナムがエイズ患者に投薬治療を施せる割合は、現在の患者全体の68%から30%に低下するだろう。その理由はエイズ治療薬の値上がりであり、治療費用は現在の1人当たり127ドルから501ドルに上昇するだろう。この研究を手がけた専門家(オーストラリア国立大学のHazel Moir准教授)によれば、このような事態をもたらす医薬品知財のルールは「特許保護期間の延長」や「データ独占権」ではなく、いわゆるエバーグリーニング(既存薬の新しい利用・方法に特許を付与する)だという。米国はダブルスタンダード(先進国には高い基準、途上国には一時的に低い基準)を提案しているが、エバーグリーニングは両者に共通しており、途上国にもすぐさま適用される。このことが見落とされているのが、大きな問題だとしている。
Inside U.S. Trade
December 26, 2014
GENERICS, CONSUMER, LABOR GROUPS PRESS OBAMA TO CHANGE TPP DRUG RULES
【抄訳】12月16日に米国の5団体がオバマ大統領に書簡を送り、TPPの医薬品にかかわる米国提案を撤回するよう求めた。この5団体とは、ジェネリック医薬品協会、AFL-CIO、全米退職者協会(AARP)、国境なき医師団(MSF)、オックスファムである。これらの諸団体は、以前は個々に反対を表明していたが、今回、初めて共同行動をとった。彼らの利害関心は一致しているわけではないが、TPPが医薬品のアクセスに与える懸念を共有している(ただし、TPPにすべからく反対、という表明をしているわけではなく、改良を主張する団体も含まれる)。彼らが反対しているのは、@バイオ医薬品に12年のデータ独占権を与えること、Aエバーグリーニング、B特許リンケージ、C医薬品の附属書(政府の公的薬価制度に介入する)、DISDS(新薬メーカーによって利用される恐れがある)、等である。AARPは影響力のある団体であり、ロビー活動を強めているようだ。彼らは、オバマ大統領が予算提案で、バイオ医薬品のデータ独占期間を12年から7年に短縮するとしていたこととの矛盾を突いている。また、MSFとオックスファムは、米国が提案しているダブルスタンダードでさえ、その低い(途上国向けの)基準はこれまでの米国のFTA(ペルー、コロンビア、パナマ)や「5月10日合意」のレベルを上回っていると指摘する。特に、エバーグリーニングの問題である。彼らはこの点を「複数の国の交渉官と認識は一致している」と自信をのぞかせており、また、米国提案による先進国/途上国を区分する基準についても、反対する国が多いことを知っているようだ。
【環境】
「環境」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)よりさらに要約抜粋。
・多国間環境協定や保全、生物多様性をめぐる対立が解けず、交渉は泥沼に。複数国が3協定(絶滅危惧種、海洋汚染、オゾン)に限定し、協力メカニズムを主張。米国は7協定、紛争解決を提案。
◆「環境」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】
Inside U.S. Trade
December 12, 2014
TPP ENVIRO TALKS GET BOGGED DOWN OVER MEAS, CONSERVA-TION, BIODIVERSITY
【要点】12月7〜12日に開催されたワシントン交渉会合は5つの作業部会を設定し(市場アクセス、原産地規則、環境、国有企業、リーガルの5つ※)、環境分野で大きな進展を見込んでいたものの、多国間環境協定や保全、生物多様性をめぐる対立がとけず、交渉は泥沼にはまってしまった。米国は7つの多国間環境協定が規定するオブリゲーションをTPPに導入し、これをTPP協定に共通の(つまり特別なものではない)紛争解決に服することを提案していた。しかし、複数の国が3つの協定に限定するよう主張した模様である(絶滅危惧種、海洋汚染、オゾンの3協定)。さらに、その3協定に限った場合でも、米国が提案する紛争解決に服するのではなく、複数の国が「協力メカニズム」を主張した模様である。
※この他に繊維の作業部会が開かれたとの情報もある。また、国有企業と投資は作業部会が開かれず、二国間もしくは首席交渉官会合で議論された模様。
【国有企業】
概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)よりさらに要約抜粋。
・例外扱いの国有企業の数を減らすことが焦点。将来新たに設立される国有企業は、例外扱いにはならない。ネガティブ・リスト方式で、将来の政策余地を限定する。
米国とベトナムで進展あり。
◆「国有企業」概要12月以降IUST記事より(北大東山先生)
【最終更新2014/12/28】
Inside U.S. Trade December 19, 2014
TPP SOE PRINCIPLES WOULD PREVENT EXCEPTIONS FOR FUTURE ENTITIES: SOURCES
【要点】国有企業分野の議論は、例外扱いとする国有企業の数を減らすことに焦点を当てている。これは、すでに合意された原則(10月のシドニー閣僚会合で合意された7つの原則)にもとづいて作業が進められている。その原則によれば、将来新たに設立される国有企業は、例外扱いにはならない。原則のひとつによれば、各国は、国有企業の国別附属書において、例外扱いとする国有企業を具体的に記載することになっている。つまり、ネガティブ・リスト方式であり、この方式はそもそも、将来の政策余地を限定するものである。12月7〜12日に開催されたワシントン交渉会合では、例外扱いとする国有企業の数を減らすことにおいて、良い進展があった(特に米国とベトナム)。例外扱いとする国有企業の選定にあたって、そのセクターやカテゴリーは考慮されていないが、もしもすべての参加国が特定のタイプの国有企業(例えば輸出信用機関)を例外扱いに指定するならば、それは国別の約束表から外れてテキスト本文に盛り込まれ、将来設立されるそのタイプの国有企業も例外扱いとなる可能性がある。
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