2016年11月25日

「より良い公営へ〜最新海外レポート」≪岸本聡子さん≫「ちょっと待って!その『水道』の民営化〜大阪の水のこれから 公共の可能性〜」開催報告

「ちょっと待って!その『水道』の民営化〜大阪の水のこれから 公共の可能性〜」開催報告

文責 AMネット 事務局

■講演2.「より良い公営へ〜最新海外レポート」
≪岸本聡子さん≫ 

本日は、国際的な視点も含めて議論の素材を提供できればと思っています。「民営化」「再公営化」さらに「公営」について考えるきっかけになればと思います。

国際機関でも民営化を疑問視
世界銀行は、公共事業の民営化という新自由主義に基づく政策を展開し続けてきました。しかし、その一方で、最近は民営化がうまくいっていないのではないか≠ニいう調査報告も行っています。

世界銀行は、2014年に442件の官民パートナーシップ(PPP:民間委託、指定管理者制度、PFI、民営化など)の検証を行い、そのうち「貧困対策に効果あり」としたのは9件しかなかったとしています。

また、国連経済社会局でも官民パートナーシップという枠組みが2030年の持続可能な開発目標に合致しているか≠ニいう検証を行い、「水」「道路」「エネルギー」「交通」など、効率的なサービスを供給するために導入されたにも関わらず、それに失敗している≠ニの結論を出しています。

国連機関や世界銀行は、もともと民営化推進の立場であるにもかかわらず、このようなレポートを発表していることは、大きな変化の現れであり、世界中で官民パートナーシップの失敗が無視できなくなってきていることを表しています。


再公営化は世界的趨勢
再公営化の動きは、2000年の時点では、たった2例しかなかったのですが、15年経ってその数は235にも膨らんでいます。しかも実際の再公営化は、この数字よりもさらに多いとことは確実です。

一方、再公営化したらそれで良い成果が出るのか、民主的な統治が行われるのか、と言えば必ずしもそうとばかりは言えません。実際のところ、理想的な住民参加や透明性確保がなされていると言えるのは、むしろ少数であり、運営や所有だけが移行したというケースも少なくありません。

しかし、こうした活動によって議会や市民参加が促進され、活発な議論を通して民主的運営が行われるきっかけになったことは、大いに注目すべきことだと思います。 


公公ネットワーク
フランスやスペインでは、公営企業がネットワーク作りを始めています。民営化の波を食い止めるためには、公営企業間の知恵や資源を結集して対抗していかなければならないからです。

例えばニースというフランス第5の都市で水道事業が最近再公営化され、先に再公営化したパリやグルノーブルが支援したという実例もあります。

ニースは、地理的に80%が山間地です。ニースに流れるバール川流域の49の市町村に適正にサービスを提供し続けるには、各自治体が民間企業と個別に契約している状態では、十分に対応しきれないというのが最大の理由となり、流域間の公的な連帯を作るために再公営が行われました。これは自治体間の公公パートナーシップが再公営化を支援できるということを示すものです。


「民営化」ではなく「民主化」を!
再公営化を考える上で、民主的な統治はとても重要です。公営でも民間でも透明性や効率性を高め、最低限の金額でより高いサービスを提供するための手段として、市民と自治体がいっしょに会社を作ろうという動きが進んでいます。

市民と自治体でつくったロンドンのエネルギー供給会社では、水道や電気料金を払えない貧困層の人々のために、貧困層でも支払い可能で、しかも自然エネルギーによる電力を供給するという提案が行われています。

これは市議会側からの発案ですが、市民側からも民主主義を公営企業のなかで、どう確立するのかという視点での提案も行われています。このロンドンの例は、新しいビジョン、そして本当の意味での公共を考えさせてくれるものです。

「民営化ではなく、民主化を」といった議論が大切です。これからも、そういった議論を皆さんと重ねていきたいと思います。

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posted by AMnet at 14:25 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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