2018年03月19日

ジケイジ・カフェ「医療ってこれからどうなるの!?編

ジケイジ・カフェ 『知ろう話そう 生活を変える一歩シリーズ』〜開催報告

身近なテーマを題材とした連続勉強会を、とAMネットが事務所を置かせていただいている自敬寺さんで「ジケイジ・カフェ」シリーズを企画。2017年11月12日(日)、2018年1月13日(土)の学習内容を、報告します。


医療ってこれからどうなるの!?編

 3回目は、兵庫保険医協会事務局の平田雄大さんに伺ったお話から要点をまとめました。

生活になくてはならない医療。
しかし、国会のたびに社会保障制度が改悪されています。年々上がる社会保障給付費は今や100兆円を超える一方、社会保険料収入は20年前から55兆円前後の横ばい状態が続いており、その差額は主に国や自治体の税負担で賄われています。

そんな状況の中、利害関係者が持つ様々な思惑を背景として、医療政策に影響が及んでいます。
その思惑をいくつか紹介すると、財務省は医療費を下げたい。
財界・経産省は、医療分野の規制緩和でビジネスチャンスを作りたい。
製薬会社は薬価を上げたい。
米国は、アメリカ企業を儲けさせたい。そのために「混合診療を解禁し、営利事業として参入したい」「日本の医薬審議会に米国の製薬会社を入れ、償還価格政策(薬の価格をいくらにするか)に物言いたい」。

さらに医療関連分野には、医療保険など民間企業のビジネスチャンスが多くあります。医療制度はこういった各界のさまざまな思惑の渦中にいるといえます。

 思うように改革できない政府は、結局国民に負担を課すことしかできないのかもしれません。今議論されている医療制度「改革」は、次のようなものになっています。

@75歳以上の窓口負担を現状の1割から2割負担へ。さらに現役並みの所得の人は3割負担に。

A現状の3割負担から、さらに定額負担上乗せする(500円予定)。

B現在、紹介状なし500床以上の大学病院等の窓口負担は、初診5000円以上、再診2500円以上。これを500床以下の病院に拡大させる。つまり「中級の規模の病院もちょっとやそっとのことで行かないで」という方向性。

C市販で買える薬を保険適用外に。病院で診療し薬を処方してもらえば、保険が利く上に病状に合った薬をもらえます。今後は処方される薬を値上げすることで、医者に診てもらわずにドラッグストアで購入させる方針。薬によっては28倍になるものも!

Dジェネリック薬品にしか保険が利かなくなり、先発医薬品を希望すると、差額は自己負担。

E入院時の食費と居住費の引き上げ。食費1380円、居住費370円/日になり、マイナンバーで、資産のある人はさらに引き上げ?

F国民健康保険の都道府県化。現在は市町村単位で運営され、税金投入し住民サービスの拡充を図る自治体が多い。都道府県化することで財政の格差が平準化される一方、市町村ごとの税金投入(法定外一般会計繰り入れ)がなくなれば、1人当たり年間3万円以上負担増になる都道府県もでてくる。

G全国で20万床ベッドを減らす。

H医師の数を増やさない。(今も医師不足は深刻で、過労死・自殺が絶えないのに!)


信じがたいことですが、ようするに「医療の自己負担を増やし、受診を抑制させる」「空きベッドを無くし、入院を減らす」「医者を減らし、手術もすぐできない」ようにして、医療費の抑制を狙っているといわれても仕方がない「改革」プランです。
病状が軽いうちに直しておけば安くすむものを、受診抑制の結果、病状も悪化しさらにお金がかかるのではないでしょうか。

国にお金はないから仕方がないのでしょうか?OECD諸国で見ても、高齢化率に比べて日本の社会支出は低く、社会保障費はもっと多くていいと考えます。井手英策慶応教授によれば「社会保障費と借金は、統計的に無関係」であり、「借金は歳入減が原因」です。

「社会保障の充実」「正規雇用の拡大」によって、「将来不安の解消」「国民の収入を増加・安定」させれば、「消費が活性化」→「国内市場の拡大・経済成長」し、「企業収益の安定的な増加」…その結果、「税収、保険料も増加」するという、『社会保障の充実で好循環』を図れるのではないでしょうか。
 
以上は私がまとめた平田さんお話の要点です。
私も病院で医療費が改正されました、といったポスターを見かけることがありましたが、このようにいろいろ改正されていることがよくわかり、今後も注視が必要だと改めて思いました。難しい内容を分かりやすく教えてくださいました平田さん、ご参加くださった皆さん、場所をいつも快く提供いただける自敬寺さん、ありがとうございました!

(報告者:日野るり子 AMネット)


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