枚方市の水道で、「切り売りの民営化」が始まっている。
資料を読むほどに、あまりに乱暴であること、
民営化のメリットがあまりに見えないこと、
枚方市民にも全く知られていないため、急遽まとめることにした。
ざっと資料を呼んだ感想は…
@浄水場だけと思いきや、枚方市の「水道施設のほとんどすべて」を丸投げ!!
Aなんのための民営化なのか、メリットなしで、まったく不可解
B企業はほぼノーリスクで運営可能
C事業範囲が膨大すぎて、受けられる企業が限られる=企業同士の競争すらない
D民営化の「効果」すら明確でない
というか、そもそも水道職員を減らしすぎ。
→平成8年の 230 人から平成 18 年に 144 人
事務の効率化や民間委託を進め、平成 24 年4月1日時点で 111 人
1996年〜2012年の16年間で、職員半減!!
もしかして…
職員減らしすぎて、運営できないから「民営化」⁈
「公務員減らしすぎて、職員だけでは運営できない…」
という理由で、民間委託・民営化が、進んでいいのか?
ほんと、公務員削減を評価するの、やめましょうよ。
人件費は削減出来ても、委託費に会計上変わるだけ。
官製ワープアができるだけ。
市民の資産を失うだけ。
市民にとって、いったい何のメリットがあるだろう?
以降、枚方市の資料を使いながらざっと説明する。
▼「中宮浄水場更新事業及び浄水施設運転維持管理業務等委託」
契約締結が2021年度中。
事業期間は2046年3月まで、と25年の計画だ。
民営化の実施方針。
その他、資料関連
@枚方市の「水道施設のほとんどすべて」丸投げ
給水原価も安めな自己水が8割!という優秀さなのに、丸投げ??
枚方市の水道職員は一体何人残るのだろうか。
枚方市の水道職員は一体何人残るのだろうか。
市のノウハウ喪失も心配。
(市にノウハウがないと、企業の言いなりに支払わざるを得ず、割高になる懸念)
▽事業名称は
「中宮浄水場更新事業及び浄水施設運転維持管理業務等委託」
「中宮浄水場更新事業及び浄水施設運転維持管理業務等委託」
ですが、事業の対象となる公共施設等の種類は
・中宮浄水場
・中宮浄水場高度浄水施設
・場外施設(29 施設)
※枚方市水道ビジョンでは「水道施設25施設」記載。
この一覧の施設すべてが、民営化される。
枚方市の水道関連施設は、一体何が残るのだろう…(本庁だけ?)
Aなんのための民営化なのか、まったく不可解
民営化の目的は
施設が古くなり限界だから、
「安定運営」と「さらなるコスト削減」のため、としか書かれていない。
民営化の大きなメリットとされるのは
「自治体にはお金がないからできないけど、民営化すれば、民間企業が資金調達する」
なのだが、資金調達するのは、枚方市!!!
そのメリットすらない。一体なんのメリットが??
(結局は水道料金で払うだけですが)
結局、
職員減らしすぎて、バンザイ(降参)した、という図式⁈
B企業はほぼノーリスクで運営可能
リスク分担表を見ると、
ざっくり、「事業者の責によるもの」以外は、枚方市の負担。
消費税の変更リスク、住民対応、追加コストの発生…
枚方市が費用を負担してくれる!
災害時も物価変動対応も、原則、枚方市持ち!
つまり、
普通の民間企業が企業負担しているものも、枚方市持ちです。
C受けられる企業が限られ、企業同士の競争すらない。
あまりにも事業範囲が広く、丸ごと民営化されており、これを実施できる企業はそうない。
そもそも、水道管は一つで地域独占が可能。
水道事業には企業間の競争がない。
水道事業には企業間の競争がない。
運営期間中も競争がない。
25年後、他の会社が受託できるか?
つまり、数十年単位で独占できる可能性大。
現時点で入札状況は公開されていないようだが、一社入札だった模様。
D民営化の効果すら明確でない
どのくらいコストカットできるのかも見る限り試算すら公開されていない。
ただただ「民営化すれば効率化できる」「民間にできることは民間へ」だけ。
ただただ「民営化すれば効率化できる」「民間にできることは民間へ」だけ。
世界中で「民営化しても効率化されない」ことが、この2・30年で結果出ているにもかかわらず、
それだけが根拠とは、理解に苦しむ。
民営化には手法が多くあり、
枚方市の民営化の手法は、DBOであり、PFIの一種だ。
「PFIやコンセッションは民営化ではない」などという方もおられるが、
欧米などで使われている民営化の手法の多くはPFIだ。
逆に、完全民営化された水道は、世界中にほぼない。
逆に聞きたい。
「民間にできないことってなんですか?」
「民間に渡し、営利目的にしてはいけないものがあるだけではないですか?」と。
大阪市の水道事業全体の民営化が廃案となった。
が、その後、大阪市は管路耐震化事業の民営化を進めている。
今後、「切り売りの民営化」に大阪は舵を切るだろう、と思っていたが、まさにこれが「浄水場版」の事例ではないかと想像します。
もし、
職員減らしすぎて、運営できないから「民営化」なのであれば、
かっこ悪すぎです。
【関連する記事】
- 水道民営化はどうなっているか、そして大阪市の水道は大阪都構想でどうなるか?
- 大阪市で検討が始まった「管路耐震化事業」の民営化(PFI)。管路耐震化の遅れは「..
- 水道民営化すると→プレイヤーが増え、より複雑に。想定外への対応が遅れる。競争がな..
- 「これ以上、行政は現場を失ってはならない」大阪市水道のPFI管路耐震化事業、下水..
- 【拡散希望】水道民営化導入の調査が全国自治体で始まっています。「ちょっと待って!..
- 可決した「PFI法」改正のどこが問題なのか?「水道民営化」とどう繋がるのか?
- 水道を民営化すれば、災害対策は遅れる。世界中の水道がなぜ「再公営化」しているのか..
- パリ市の水道再公営化時の水道局長アン・ストラ氏報告など「みらいの水と公共サービス..
- 【拡散希望】イギリス・ヨーロッパの会計監査院がともに「PFIは割高で透明性悪化。..
- 【パブコメ提出しました】(仮称)大阪市水道経営戦略(2018-2027)(素案)..