2012年03月19日

【プレスリリース】進む日本の水ビジネスと問題点


進む日本の水ビジネスと問題点


オルタナティヴ水フォーラム(FAME) 2012
マルセイユ(フランス)


 私たち、日本の市民社会組織/NPOと労働組合は、水への人権の実現させるための国際連帯を強力に推進します。水の商品化・水道民営化に反対する人々の声と力を結集させる取り組みとして、NGOと労働組合による協働作業、すなわち、政策提言をはじめ国際協力を行なうNGOへの人的・技術的支援を計画しています。そのために、水道労働者が国際的に連帯する必要性を強く感じています。国や水道事業体の公公連携だけではなく、民衆の立場での公公連携です。


 しかし、日本国内の状況は違います。以下に、日本の水道事業の実態がまったく逆方向に進んでいることを報告します。


 2009年1月に政権与党であった自民党は「水の安全保障戦略機構」を発足させました。この機構は、水を戦略資源と位置づけ、「チーム水・日本(Team Water Japan)」として官民一丸となり、世界に進出することを目的にしています。特にアジア地域に焦点を絞り、開発援助だけでなく、水道事業の技術・運営・管理などにも進出し、公営企業にも関わらず水ビジネスにおけるアジアの盟主を狙うナショナリズムを基調としていいます。その一例が、2009年12月、政権を握った民主党が閣議決定した「新成長戦略」です。自由貿易の拡大を進め、鉄道・水・エネルギーのインフラ輸出によるアジア市場の開拓と意図しています。2012年6月にタイ・バンコクで開催予定の第2回アジア太平洋水サミットにおいても、水インフラ輸出が進められようとしています。


 政治の動きに合わせて、産業界も世界の水ビジネスに照準を定めました。2008年3月にあるシンクタンクが、急拡大する世界水ビジネス市場へのアプローチを含む報告書を作成しました。日本企業の進出すべきモデル地域の検討や水メジャーの動向の研究などを行なっています。例えば、日本企業は、素材や機器などの製品分野では世界のトップクラスですが、運用分野でのノウハウが不足しているこが指摘されています。


 これには理由があります。日本の水道事業は、水道法のもと、公営原則で運営されています。そのため、民間企業に水道事業のマネジメント能力が備わりませんでした。そこで、2008年10月、水道産業ロビーも水道産業活性化プランの報告書を作成しました。この報告書では、日本の水道普及率が97%と高く、ほぼすべての人が水道水を得られる環境にある一方で、水道事業の経営環境の厳しさを指摘しています。そして、その解決策として、民間資金の活用、事業の広域化、官民連携の推進を掲げているのです。水道事業を民間企業が担うことにより、水道産業を活性化させ、同時に海外における水ビジネスにも優位性を持って進出できるとしています。この官民連携とは、これまで官が担ってきた水道事業の技術や運用などのノウハウを民間企業に移転することを目的にしています。


 私たちは、官民連携のもとで、国・水道事業体・水道産業界がシンジケート化し、国策による水メジャーを目指していることを危惧しています。公共サービスとしての水道事業は非営利原則であるべきです。


 私たちは、日本の水道事業が民営化と水メジャー化していることを批判し、水の公共性と公共サービスを求めるあらゆる人々・団体と連帯し、公共サービスの維持と公公連携の推進を求めて活動を続けます。


2012年3月14日

特定非営利活動法人 AMネット
特定非営利活動法人 水政策研究所
全水道 大阪市水道労働組合
全水道 東京水道労働組合 浄水委員会


連絡先:
堀内 葵 aoihoriuchi [@] gmail.com

特定非営利活動法人 AMネット
〒531-0064 大阪市北区国分寺1-7-14 国分寺ビル6F


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2012年03月17日

【世界水フォーラム関連ニュース】マルセイユ現地報告vol.4

【世界水フォーラム関連ニュース】マルセイユ現地報告vol.4


(1)
ボリビア政府は「世界水フォーラム閣僚宣言」に署名しないことを表明しました。
提案されている解決策が民間投資に偏っており、水への人権に関する法律制定などがないことが理由です。

ボリビア政府「閣僚宣言の内容は当初議論されていたものと違い、自分たちの提案が反映されていない」。カナダ人評議会は「カナダ政府が文書の変更を推進し、国連による水への人権承認とは大幅に異なる内容になった」と述べています。

http://ow.ly/9DX48


(2)
バングラデシュ、ブラジル、クロアチア、エジプト、フランス、ドイツ、モルディヴ、モロッコ、スロベニア、スペイン、ウルグアイの11カ国の政府は、第6回世界水フォーラムの全ての参加者に対して、国連および人権理事会が決議した「水と衛生設備への権利」について法的枠組みを整備することを提案しました。

この11カ国は「ブルー・グループ」と呼ばれています。こうした声は、世界水フォーラムの閣僚宣言の中で不一致が起きていることの現れです。閣僚宣言自体は水と衛生設備への人権について重要な言及を行なっていません。

ただし、これらの国々は宣言に署名しています。唯一、ボリビア政府だけが署名を拒否しました。ドイツ、スペイン、ウルグアイ政府は市民社会組織との会合に出席し、その立場をオルタナティヴ水フォーラムに伝えてきました。

http://ow.ly/9GQE7 (宣言文PDF)


(3)
フランスのオルタナティヴ水フォーラムは水の私営化に反対を表明。国際通信社IPS。
→French Alternative Water Forum Says ‘No’ to Privatisation
http://t.co/mvjXzqem


(4)
国連水と衛生に関する独立専門家のカタリーナ・デ・アルブケルケ氏「世界水フォーラムでは水と衛生設備への人権が脇に追いやられている」
→Independent UN expert warns on sidelining right to water and sanitation
http://ow.ly/9DVRr


(5)
英・ガーディアン紙「世界水フォーラムは企業の利益に迎合している」
→World Water Forum will pander to corporate self-interest, say critics
http://ow.ly/9DVNG


(6)
英・ガーディアン紙「世界水フォーラムの閣僚宣言は水への人権を十分に達成していない」
http://t.co/H8XlJQWC


(7)
フランス・マルセイユで12日から6日間の日程で開催される「第6回世界水フォーラム」に合わせて発表されました
→「世界で水不足が深刻化、節水努力が急務 国連報告書」
http://ow.ly/9ARbB


(堀内)

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【世界水フォーラム@フランス】マルセイユ現地報告vol.3(2012.3.16)

2012年3月16日(金)

マルセイユの空は朝から曇り模様で、気温もあまり上がらず肌寒く感じました。
ですが、「オルタナティヴ水フォーラム」(FAME)で大きな収穫を得た一日でした。

世界中の市民団体や労働組合、草の根運動家や研究者が集まる「オルタナティヴ水フォーラム」(FAME)は、世界水評議会が主催する第6回世界水フォーラム(WWF)への具体的な代替手段を作成することを目的に開催されています。

水の保全と市民による水の管理のための運動は、オルタナティヴ水フォーラムや世界社会社会フォーラムなどのプラットフォームやキャンペーンを形成してきました。これらは、共有資源である水を再分配するために人々が連帯しようというものです。

水と衛生設備への人権を実現し、商業主義的な「民営化」ではない解決策を話し合う場であるFAMEは、次のような手段でそれらを追求する、と宣言しています。

・エコロジーや民主的な価値に基づいた水管理の代替ビジョン作成を推進すること
・世界的な水危機の解決策を見つけるために研究を続けること
・水の運動を持続可能なものにすること


昨日お伝えした通り、世界水フォーラムは企業主導で民間資本の注入によって水問題を解決しようというものであり、水資源や大気、土地、鉱物、動植物などにあらゆる自然を商品化しようとする「グリーン・エコノミー」を推進するものだとして批判されています。

FAMEが提案する代替策の中心となるのが「水と衛生設備への人権」と「公公連携」です。

「水と衛生設備への人権」については、多くのセッションで2010年7月と9月に国連総会および人権理事会で採択された決議案への言及がありました。こうしたオルタナティヴ水フォーラムに参加する人々が長い間運動を続けてきたことの結果である、として祝福されています。

もう一つの「公公連携」については、午後から二つのセッションが開催され、会場が満員になるほどの盛況ぶりでした。「公公連携」とは、公営企業同士が技術やノウハウ、資金、人材などを支援しあうという考え方のことで、国内での連携や、国境を越えた連携、開発援助の側面を持つ連携(南北協力)があります。

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<公公連携に関するセッション>


アメリカのNGO「Food and Water Watch」などが主催するセッションでは、世界人口の88%が公営企業による水供給や下水サービスを受けており、そうした公営企業を支援することがより良いサービスにつながることが強調されていました。ウルグアイとペルー、ワシントン(アメリカ)とクラビ(タイ)など、世界中で公公連携が広がっているとのことです。

「Food and Water Watch」が最近発表したリポート「公公連携:公営水道事業体の能力を活用するオルタナティヴ・モデル」では、公公連携が水道事業だけでなく、電力や建設など他の公共セクターにも活用できることが示されています。
http://www.foodandwaterwatch.org/reports/public-public-partnerships/

「気候変動の文脈における水と土地:公正な解決策に向けて」と題されたセッションでは、今年6月に迫った地球サミット「リオ+20」において水資源の管理が重要な議題となるという共通の認識のもと、世界水フォーラムやリオ+20で推進されている「グリーン・エコノミー」への批判と、現場で活動している人々こそが解決策を知っている、という提言がなされました。農民団体「ヴィア・カンペシーナ・フランス」の活動やフィリピンを中心に活動する「ジュビリー・サウス」、南アフリカのコミュニティ開発NGOの活動紹介がなされ、世界的な課題と地域での文脈と引きつけることの重要性を確認しました。


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<「気候変動の文脈における水と土地:公正な解決策に向けて」のセッション>

日本国内の運動はグローバルな課題をローカルな文脈と引きつけられているか、再確認する必要があると感じました。
この点はもう少し時間をかけて考えていきたい内容です。


明日はFAMEの最終日です。

閉会式の後は、水という人類共有の財産を祝福するために、
マルセイユ市内を歩くパレードが計画されています。

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<FAME会場の様子>

(堀内)


<参考>

「オルタナティヴ水フォーラム」(FAME)概要

 日程:2012年3月10日(土)-18日(日)
 場所:フランス・マルセイユ「Dock des Suds」
 主催:オルタナティヴ・フォーラム実行委員会(80を越える団体による運営)
 参加費:無料
 URL:http://www.fame2012.org/


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2012年03月16日

【世界水フォーラム@フランス】マルセイユ現地報告vol.2(2012.3.15)

2012年3月15日(木)

マルセイユは地中海に面した港湾都市で、常に多くの観光客で溢れています。
日本と比べると気候も穏やかで、日中の最高気温は19度に達します。


そんな陽気なマルセイユで開催されている世界水フォーラムは、世界各国の政府関係者・閣僚や国際機関、水関連企業から2万人以上が集まり、水問題について話し合われる「世界最大の場」と言われています。

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しかし、その主催者は、世界銀行や巨大な多国籍水企業が出資する「世界水評議会(World Water
Council)」であり、国連が主催しているわけではありません。つまり、地球全体の生態系や天然資源、そして私たちの生活に大きな影響を及ぼす水について話し合われる場であるにも関わらず、民間企業の思惑が大きく働いているのです。象徴的なのは高い参加費。OECD諸国出身者は6日間で700ユーロ(約5万8000円)、その他の国からの参加者は350ユーロ(約3万8000円)を支払わなければ会議に参加できず、そのために多くの発展途上国の人々が意思表明をする場を奪われています。


企業主導の水問題解決策は多くのNGOから疑問視されています。例えば、ヨルダンなど水が希少な地域では海水淡水化が有効、と提案されています。
http://www.worldwaterforum6.org/en/news/single/newspage/1/article/desalinisation-is-the-solution
企業が自社の製品を宣伝するエキスポ(見本市)ではこうした最新技術の売り込みが行なわれています。しかし、淡水化プラントには多くのエネルギーや電気を必要とし、その建設費用や維持費用は発展途上国が容易に払えるものではありません。
世界水フォーラムがNGOメンバーから「Commercial Forum(商業主義的なフォーラム)」と称されるのはこうした背景があるからです。

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現在、世界では1年間に800万もの人が水に由来する病気で亡くなり、10億人以上が飲み水へのアクセスを欠いています。そして、24億人もの人々が衛生設備へのアクセスがありません。こうした状況の中で、昨日お伝えした世界水フォーラム閣僚宣言は、すでに多くのNGOから「具体策がなく、国連が承認した水への人権に十分に配慮していない」と批判されています。


「閣僚宣言は問題を指摘するだけで、水の希少な地域に住む人々が最も基本的な人権である水をアクセスする権利を得るためのロードマップや手法を提供していない。単に、水への権利を促進・強化する、と呼びかけているだけだ」と、Green
Cross InternationalのAlexander Likhotal氏と述べています。
http://climate-connections.org/2012/03/14/africa-world-water-forum-ministerial-declaration-fails-to-respond-to-water-sanitation-crises/


今日は午前中から午後にかけて世界水フォーラムのセッションに、夕方からはオルタナティヴ水フォーラム(FAME)に参加しました。マルセイユの公共交通機関は地下鉄(メトロ)、路面電車(トラム)、バスが整備されており、どちらのフォーラムも市内中心部から簡単に移動できます。


世界水フォーラムでは各国の議員が集まる会合に参加しました。2日間かけて、議員宣言(Parliamentarians Statement)を準備する場です。

内容は、国連による水と衛生設備への人権決議(原文PDF)を受けて、各国政府に安全な水をすべての人に保障するための行動を促すというものでした。英語とフランス語で書かれた原案をもとに、段落ごとに意見を受けつけ、その場でパソコンとプロジェクターを使って修正するという進め方でした。

興味深かったのは、ベネズエラの議員が「経済発展が水や天然資源の搾取を招いている」と発言したり、ブータンの議員が「水質だけでなく水量も考えなければならない。また、世界的に進んでいる民営化についても懸念を持っているので、『安価で入手可能な』水を提供する、というように修正してほしい」という発言です。
各国それぞれの事情があるなかで、一言一句に至るまで丁寧に議論している様子が伺えました。ただし、これも閣僚宣言と同じく、法的拘束力がなく、あくまでも各国議員による各国政府への提案に留まります。

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夕方からFAME会場へ移動し、「水への人権を実現させるには」と題されたセッションに参加しました。冒頭、カナダ人評議会議長のモード・バーロウ氏が国連による水と衛生設備への人権決議に関してスピーチを行ないました。

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(1)先ごろ発表された「国連ミレニアム開発目標を前倒して達成した」という国連の宣言には注意する必要がある。

「2015年までに安全な飲料水にアクセスできない人の数を半減させる」という目標に対して、国連が行なったのは敷設された水道管の数であり、実際には何人に水が行き届いているかを調べたわけではない。また、そうした水道管から出てくる水が清潔かどうかもわからない。また、水道水の料金負担にも触れておらず、供給主体が民間なのか、公営なのかもわからない。
一方で国連は水が不足していていると主張している。2030年には水需要が増大すると言っている。


(2)国連の決議は「ガバナンス(統治)」に関するものである。
しかし、ガバナンスを取り戻するための方法が「市場に委ねる」というものであれば問題だ。
料金全額回収(フル・コスト・プライシング)や民営化という手段は、お金を支払える人にのみ水が行き渡ることになる。私たちはこうしたことに反対しなければならない。そして、政府が行動計画を作成する責任があることも主張して行かなければならない。
水への人権に関して、政府には3つの義務がある。尊重する義務、保護する義務、遂行する義務の3つだ(注:詳細は『私たちが持つ水への権利:国連による水と衛生設備への権利の採択に関する人々へのガイド』に書かれている)。


(3)国連の決議という絶好の機会を私たちは有効に活用しなければならない。

国連という長い間西洋に支配されてきた場で、人権とは何なのかを考える政治的な機会である。国連は先住民の権利を承認しているので、集団的な権利に関する議論が重要である。


モード・バーロウ氏の後にも、アジアでの水の人権実現に取り組む動きや、EU危機のなかで国が「植民地」と化してしまったギリシャの事例など(ギリシャ第2の都市テッサロニキの水道事業が民間資本に売却されようとしており、全世帯が平等に負担することで民営化を阻止しようと活動している人々)の動きが紹介されました。


明日16日は全日FAMEに参加する予定です。

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(堀内)
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2012年03月15日

【世界水フォーラム@フランス】マルセイユ現地報告vol.1(2012.3.14)

現在、3月12日から17日の日程で、
フランス・マルセイユにて第6回世界水フォーラムが開催されています。
世界の水問題を話し合う場で閣僚宣言が発表されます。

しかし、これはおもに水企業が作ったNGOが主催するフォーラムであり、
企業の利益優先で水問題を解決しようとすることで問題が多く指摘されています。

※世界水フォーラム開催2日目にして発表された閣僚宣言の全文

世界水フォーラムに対抗して、世界中の水問題に関わるNGOが集まって行われているのが
「オルタナティブ水フォーラム」(FAME)です。

日本の水道労働組合の方たちと共にAMネット理事の堀内葵がこれらのフォーラムに参加しています。
まずは1日目の報告です晴れ


2012年3月14日(水)


午前中、市内中心部のマルセイユ・サン・シャルル駅前の大階段にて、水の民営化やダム建設に反対する多くのグループによるアクションが行なわれました。特に若者グループによるダムと水を模したパフォーマンスは、大人数であることと鳴り物を使った派手なもので大きな注目を集めていました。

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私たちも東京水道労組が用意したバナーを持ち、さっそくアクションに加わることにしました。「水の商品化・水道民営化反対」と書かれたバナーには、事前に労働組合員の方から寄せ書きを頂いていました。日本語のバナーは珍しいため、多くの人が写真を撮ってくれました。
また。イタリアのNGOやフランスのユースグループなどにインタビューを受け、日本の水道民営化や商品化の問題についてお話しました。

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「世界水フォーラムは企業の利益に迎合している」と書いた英・ガーディアン紙の記者もアクションを取材しており、メディアの注目ぶりが伺えます。
http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/mar/12/world-water-forum-corporate-self-interest

http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/mar/14/world-water-forum-declaration-human-rights


19時からは「オルタナティヴ水フォーラム」の開会式が市内北部のDOCK DESSUDSにて開催されました。世界中から集まった2000人以上の市民活動家/NGO・労働組合・農民・先住民組織・研究者たちは、国連が水への人権を承認したことを祝い、商業主義的な世界水フォーラムを批判し、オルタナティヴな解決策が多く集まる「人々による水フォーラム」の開催を宣言しました。これから3日間に渡って50近くのワークショップが行なわれます。

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開会式で特に注目を浴びていたのは、2011年6月に国民投票によって水の民営化に反対の声を上げたイタリアの人々です。国民投票に至るまでに各地で対話集会を開いたり、国会議員に提言したり、メディアが取り上げるよう働きかけたりと、数々の努力を重ねてきたことが伝えられました。


水への人権に関する世界的な活動家であるモード・バーロウ氏(カナダ人評議会、元国連議長への水に関する上級顧問)による、企業のトレードショーと化した世界水フォーラムの正当性を疑問視する声や、ボリビア・コチャバンバの「水戦争」において市民の抵抗運動の中心を担ったオスカル・オリビエラ氏による「一人や一つの地域だけでは変化は起こせない。みなが集まることによってそれは可能になるのだ」というスピーチは大きな拍手を持って迎えられました。

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パリ市水道局のアン・ル・ストラ氏は、「このオルタナティヴ水フォーラムには多くの女性が参加していて心強い。世界水フォーラムは男性ばかりが集まり、技術や効率性について話し合っているが、私たちは責任を共有することや貴重な資源を共有すること、人間性について話し合っている」と、オルタナティヴ水フォーラムの意義を強調しました。パリ市水道局は2010年1月に民営から公営に戻され、水道事業の再公営化の事例として大きな注目を浴びています。


国連水と衛生に関する独立専門家のカタリーナ・デ・アルブケルケ氏は「世界水フォーラム内部でも話す機会がありました。今回の閣僚宣言が、2010年に国連が承認した人権決議よりも大幅に後退していることを懸念している、と伝えました」と話していました。カタリーナ氏は一昨年(2010年)の7月に日本で水と衛生に関する政府の実施手段や責任について調査を行なっており、その際AMネットおよび大阪市水道労働組合と意見交換の場を持ちました。


オルタナティヴ水フォーラム(FAME)の開会式の様子は下記のUstreamチャンネルから視聴することができます。明日以降のセッションも部分的に中継されます。
http://www.ustream.tv/recorded/21103423

(堀内)
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2009年10月21日

世界水フォーラムの問題点と公共の水を守るネットワーク


TNI(トランスナショナル研究所、オランダ)の岸本聡子さんへのインタビューです。

今年3月にトルコで開催された第5回世界水フォーラムの何が問題なのか、そして、公共の水を守るネットワークはどういった活動をしているのかを、こちらの映像をぜひご覧下さい!





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2009年10月20日

パブリック・パブリック・パートナーシップ(公公連携)とは


トランスナショナル研究所(TNI、オランダ)の岸本聡子さんのインタビューです。

近年、公共の水を守るキャンペーンのなかで頻繁に取り上げられている「パブリック・パブリック・パートナーシップ(Public-Public Partnership)」について詳しく語っています。





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2009年10月19日

世界水フォーラム・スライドショー





↑今年3月に開催された第5回世界水フォーラムおよびもう一つの水フォーラム参加時のスライドショー




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2009年04月17日

「世界中で進む水道私営化 〜生活の基本、公で管理を〜」(京都新聞掲載)

4月10日付の京都新聞朝刊第6面に掲載された『私論公論』を転載します。イスタンブールでのNGOの動きや主張をまとめました。
↓の記事をクリックすると拡大されます。

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世界中で進む水道私営化 〜生活の基本、公で管理を〜


堀内 葵(NPO法人AMネット事務局長)


 3月16日から22日にかけてトルコ・イスタンブールで開催された第5回世界水フォーラムと並行して、約70カ国から集まった水問題に関心を寄せる市民、NGO、労働組合、研究者たちが「もう一つの水フォーラム」を開催した。企業主導の世界水フォーラムとは異なり、人々による「オルタナティブ・フォーラム」である。2003年の第3回(京都など)、2006年の第4回(メキシコ)を経て、今回の「オルタナティブ・フォーラム」のために各国から集結したNGOに共通していたのは、不採算を理由に水道事業を私営化するのではなく、既存の公営水道を改善・強化することで「公共の水管理」を実現するべき、という主張である。財政面・技術面・人材面で公営水道の管理運営が立ち行かなくなった地域にヨーロッパに本拠を持つ巨大水企業の参入が相次ぐ中、当初の約束とは裏腹に料金の値上げを続けたり、杜撰な管理によってコレラなどの病気を蔓延させたり、入札に関わる不正が繰り返されたりと、この15年ほどの水道私営化プロジェクトは失敗に終わっている。水道事業以外にも、ダム建設やボトルウォーター産業など企業が水管理を独占しようとする動きは世界中で広がっている。


 こうした動きに対し、NGOたちは、(1)水は人権である。清潔で十分な水へのアクセスと衛生設備の確保はすべての人々に保障されるべき(2)世界の水問題を議論するために国連中心の開かれたフォーラムを新たに作るべき、という主張を繰り広げた。現在の世界水フォーラムは私企業によって牛耳られており、高額の参加費を支払わなければ議論に加わることも出来ない。日々の生活用水を欠く人々の声は無視されたままである。「オルタナティブ・フォーラム」ではこうした貧しい人々の声を聞き、公共水道の重要性やそれをいかにして立て直すかが議論された。その答えの一つが、地域コミュニティー内での水道管理である。巨大な施設は効率良く水を供給できるかもしれないが、ひとたび採算が合わなくなると給水停止や最悪の場合撤退という事態も懸念される。しかし、地域内での資材や技術を用いてコミュニティーの人々が水源管理や水供給に参加できるようになれば、全体の管理運営のどこに問題があるのか、どう改善すべきなのかを民主的な議論を経て決定することができ、人々の間にも「自分たちの水道」という意識や責任感が生まれる。食料や医療と並び人間生活の基本的要素である水は、それを使う人々によって管理され、意思決定されなければならない。


 特に注目すべきなのが、「水は人権である」という条項を憲法に加えたウルグアイやエクアドルをはじめとするラテン・アメリカ諸国の動きである。NGOや労働組合と共に、政府組織も「水への権利」を保障すべく運動に関わっており、まさに水を守る運動の最先端を突き進んでいる。私たちもこうした動きに学びつつ、「オルタナティブ・フォーラム」をきっかけにアジアでのネットワーク作りを進めてきた。「水を公共の手に!」が合言葉だ。

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2009年04月09日

【4/10掲載】京都新聞

明日、4月10日付けの京都新聞に、イスタンブールでのNGOの動きをまとめた小論が掲載されます。AMネット事務局長が執筆しました。

京都近辺に在住の方、明日京都へ出張の予定がある方など、ぜひお買い求めの上、お読みください!

http://www.kyoto-np.co.jp/

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