2020年10月14日

水道民営化はどうなっているか、そして大阪市の水道は大阪都構想でどうなるか?



水道民営化はどうなっているか、そして大阪市の水道は大阪都構想でどうなるか?


全国の水道があぶないといわれる中、水道を民営化(PFI/コンセッション)すれば問題解決されるかのように言われてきました。

そんな中、大阪では大阪都構想の住民投票が近づいています。都構想で大阪市がなくなれば、大阪市の水道事業はまるごと「大阪府に移管」されるため、大阪の水道事情は一気に変わります。


■全国の水道民営化。今、どうなっているか

2018年8月のPFI法改正、201910月の水道法改正により、「水道事業全体」の民営化が進められる一方、「切り売りの民営化」も進められています。


内閣府PPP/PFI推進室は、2017年「コンセッション導入に向けた働きかけ(トップセールス)リスト」が発表され、全国19事業体が対象となっていました。

しかし現在、「水道事業全体の民営化」は、議会で否決、または民営化の条例提出までたどり着けないケースが多くあります。

現在、民営化が実際に進んでいるのは宮城県と大阪市のみであり、全体としてさほど進んでいるとは言えなません。

つまり、水道民営化したほうが良い、と判断した自治体はごく「少数派」ということです。


宮城県は、宮城県の上水道・下水道・工業用水のすべてまとめて一括で民営化が現在進行形です。
※宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)。

浜松市は下水道民営化後、水道事業(上水)民営化が進んでいましたが、市民の反対が大きく浜松市長選以降、保留となっています。


ただし、民営化の重点分野として、「水道」「下水道」は今も設定されています。

「水道事業全体」の民営化がだめとなれば、大阪市のように「切り売りの民営化」が今後一層進むのではないでしょうか。


水道職員の技術継承が大きな課題と言われています。

公務員減らしが進み、民営化までいかずともすでに、どの自治体も民間委託が進んでいることが大きな原因です。
民間に依存すればするほど、現場を失い技術継承が困難となります。

チェック機能も働かなくなり、企業の言いなりになるしかありません。

その中でも、民営化は契約年数も長く、課題解決から遠のくことは海外事例からも明らかです。



■大阪市の水道の今

大阪府と大阪市の水道は、長年いずれも水余り状態でした。

橋下知事以降、二重行政の象徴とされ、さまざまな議論を経たのち、2017年、水道事業(上水道)全体の民営化が廃案となったことで、水道事業全体の民営化はストップしました。
(維新:賛成、自民:継続審議、公明・共産:反対。いずれも過半数なく、審議未了のまま廃案)


しかし「水道事業全体」の民営化をストップしたにもかかわらず、その後、大阪市で進んでいるのは水道事業の「切り売りの民営化」です。


2020年23月市議会において、大阪市の「管路更新事業」「工業用水」の民営化が議会で可決しました。
(いずれも賛成は維新・公明、反対は自民・共産・市民第一)

下水道はすでに、大阪市の職員を転籍させクリアウォーター鰍ェ設立され、包括委託されています。
最終的に「公共施設等運営権制度(混合型)の導入をめざす」とあり、将来的には民営化(コンセッション)の方針です。


■水道民営化?大阪市の水道の将来を「決めるのは大阪府」

大阪都構想は、「大阪市を廃止し、4つの基礎自治体として特別区を作る」というものです。

大阪市が一括で実施してきた事業は、「大阪府」「特別区」と、4つの特別区が共同で設置・運営する「一部事務組合」に仕事が分かれます。


水道・下水道は共に、「大阪府」に移管されることとなっています。

大阪府が事業継続するため、大阪市水道局(下水道も)の資産すべてと職員は、大阪府に移管されます。

しかし決まっているのは、ここまでです。

水道料金をどうするか、水道を民営化するのかなど、「大阪府が決める」と決まっているだけで、何も決まっていません。

大阪市民の水道にも関わらず、大阪市民が水道の将来を決められなくなるのです。


■水道料金で築いた資産が、全て大阪府のものに

大阪市水道局は約4723億円の資産を持ち、現金預金だけで約530億円にもなります。

水道料金が、全国の大都市および大阪府下でも一番安いにもかかわらず、年間の利益は年間100億円超という、安定の黒字です。


大阪都構想が成立すれば、土地・建物、現金預金や基金など、

これまで“大阪市民が払った水道料金”で作り上げた、これらすべての資産が、大阪府に移管(無償譲渡)されます。

大阪市が水ビジネスを海外で展開、などと言われたのは大阪市水道局の職員のスキルが高いからですが、

これら職員も、「大阪府にただであげる」ことになります。


■大阪市のままなら、水道料金値上げは必要ない

「将来の水道料金値上げは避けられない」。

これは、これまでの設備更新費用を先送りしたツケであり、全国的な傾向であることは間違いありません。


2040年度までに、全国の約90%の水道事業者が水道料金の値上げが必要というレポートが全国ニュースで流れました。その値上げ率は全国平均で36%、中には料金がおよそ5倍になる自治体もあります。

一方、大阪市の必要値上げ額は「0円」です。

つまり、大阪市のままであれば、当面値上げの必要はありません。


しかし、特別区になれば水道料金があがる可能性は、非常に高くなります。

大阪市の人口は府域の3割しかなく、特別区選出の議員が一致団結しても、大阪府議会では少数派です。

大阪府議会で「料金を上げる」と決めれば上がります。

また、水道の広域化の将来像は、水道会計の一本化です。

大阪府域で1番安い、大阪市の水道料金は、「上がる」しかないのです。



■大阪市の水道の役割

大阪市の水道事業は、大阪市域をしっかりと守ることを最優先したうえで、大規模自治体として近隣自治体の支援をするべき立場です。

大阪府下にバラバラになっては、その力すら発揮できません。

大阪市の水道をなくすことは、大阪市民の水道を不安定にするだけでなく、周辺市に住む人々にとっても大きなダメージを追うものなのです。


文責:AMネット事務局


posted by AMnet at 21:54| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月02日

大阪市で検討が始まった「管路耐震化事業」の民営化(PFI)。管路耐震化の遅れは「民営化では解決しない」【陳情書を提出しました】

大阪市は、「水道事業全体」の民営化の条例は、廃案となりました。

今回、水道法改正を受けて、
次は「管路耐震化事業」の民営化に向けた、
新たなプランが2020年2月の議会で議論されることとなりました。

しかし、民営化で、管路耐震化の遅れは、解決できません。

そもそも管路耐震化で一番遅れている原因は、現場の「施工」。

「図面がない」「図面通りに布設されていない」
「地元調整が進まない」
「繁華街」や「狭小道路」など布設困難な場所が多い

などの課題があるからこそ、工事が進んでいないと考えられます。

民営化で
「マンパワー」が増えても、「まとめ発注」で効率化されても、
課題解決される問題ではありません。

今回の民営化プランも問題山積。

もっと詳しい内容は、以下をご覧ください!


<以下、陳情および、対象の資料画像を貼り付けました>

大阪市会議長 様


改正水道法の適用によるPFI管路更新事業と水道基盤強化方策について(素案)」に関する陳情書


【陳情趣旨】

これまでに発表された「改正水道法の適用によるPFI管路更新事業と水道基盤強化方策について(素案)」(以下「素案」という)について、以下の通り陳情いたします。


1、PFI手法導入によるシミュレーション結果(素案:第2章2-6-1、2-6-3)では、
「設計業務」で完成図書管理、「施工業務」で許可手続のみが、直営業務となっています。

しかし、水道局がほとんど工事に関与していない状態で、工事の適正な管理ができるのか疑問です。
また民間事業者が設計し、内容を知らない工事の認可手続きができるのでしょうか。


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2、リスク分担素案:第3章3-4)での、
「管路更新事業にかかるリスク」の「大阪市に起因する場合」とは何を意味するのでしょうか。

その増額分は、PFI事業導入効果額に含まれているのでしょうか。
大阪市の配水管は古く、図面に記載のない埋設管が多く存在すると考えられます。

これは契約時に想定できない事由として、大阪市がすべて負担することになり、大阪市の事業費が膨らむ結果となるのではないでしょうか。

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「経営上のリスク」での「民間事業者の経営努力でカバーできる範囲」は、どのように見極めるのでしょうか。

海外では運営会社のグループ会社に利益を移し、運営会社の利益を過小報告される事例も発生しています。
(パリ市では7%の利益率と報告されていましたが、再公営化後の調査で、実際には利益率が15〜20%であったと発覚しました)

また災害発生時、事業者も同様に被災している中で、復旧に当たる人材を確保できるでしょうか。

万が一、民間事業者の人材確保ができない場合、どのように対応するのでしょうか。


3、水道料金の仕組み(素案:第3章3-5-1、3-5-2)の中で、
「水道料金は大阪市が条例で定め、見直す場合、条例改正(市会の議決)が必要」とあります。

しかし、事業者へ支払う「水道料金の按分率」の当初設定値(上下限含む)も、
誰が決定権を持つのかも、明示されていません。

按分率は、水道料金に大きく影響すると考えますが、そこに議会の関与はあるのでしょうか。

職員のノウハウも喪失し、議会の関与が少ないとなれば、

実質的に民間事業者主導で按分率が決定されるのではないかと大いに懸念します。


また「定期レビューを実施し、按分率を見直す」とありますが、

契約時に支払総額が未定、その後の変更過程も不明確というのは公営企業の契約として、極めて不適切です。


さらに「資材価格高騰のリスクを水道局が負う」となれば、

調達費用軽減の経営努力が果たされるのか不安が生じます。


「事業者側で制御しえないリスクに対し、按分率を引き上げる」としていますが、

事業者側で制御できないのか、経営努力不足なのか、どのように見極めるのでしょうか。



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4、基本スキーム(素案:第3章3-6-1)での、
「計画」「設計」「施工」のうち、耐震化工事が最も進まない工程は、

現場である「施工」と推測されますが、PFIで解決できるのか疑問です。

それぞれの工程で、どのような割合で積み残しているのでしょうか。


水道施設の台帳を整備している水道事業者は、全国でも61%(厚労省2016年)しかありません。

大阪市に歴史があるからこそ他都市と比較しても、図面がない、または、図面通りに布設されておらず、施工が遅れる可能性も容易に推察できます。


大阪市は、繁華街や狭小道路など布設困難な場所が多く、市民生活に影響を及ぼさず地元調整を進めるにも、民間事業者で進捗率を上げることは、より困難ではないでしょうか。

また、全長約5100qのうちの1800qを15年間で布設するとありますが、布設しやすい現場はどれほど残っているでしょうか。

これら課題に対し、民間事業者による「マンパワー」や「まとめ発注」が解決策となるかが疑問です。


5、モニタリングの仕組み(素案:第3章3-6-2、3-6-3)には、

「豊富な経験・ノウハウを有することが必須条件」とあります。

しかし、そのための具体的施策「新設布設工事」よりも、更新事業がノウハウを要することは明らかです。


2019年12月に報道発表された大阪市上下水道工事に伴う「不適正施工問題」では、


「施工管理に関する知識や、点検事項に関しての十分な知見が備わっていない水道局職員がいること」
「組織的な能力不足を恒常化させていた」


と、「第3者委員会」から指摘されています。

現在、そして15年後の水道局に計画・設計・施工の全てをモニタリングできる職員はいるのでしょうか。


二重の監視体制として、大阪市のチェック体制に加えて、民間事業者によるセルフモニタリングを実施とありますが、

民間事業者は技術や経験をどのようにして身につけるのでしょうか。

この二重監視体制は、第3者委員会の意見と整合性がとれているのでしょうか。


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6、素案(第3章3-7)において、『大阪市中小企業振興基本条例』を明記し、

市内中小企業者の受注機会増大や連携・協力に努めるよう要請を行う」旨の記述があります。

しかし、努力義務に過ぎず、この枠組みではグループ企業内だけで受発注することが可能です。


シミュレーション比較(素案:第2章2-6-2)では、
まとめ発注の効果が「包括委託は限定的、PFIは最大限に発揮」としています。

しかし、地元中小企業者の受注機会増大を行えば、他社への発注から竣工検査までに時間を要し、PFIでもまとめ発注の効果が限定的となるのではないでしょうか。

逆に言えば、シミュレーション比較では「PFIでの地元中小企業者の受注機会増大を見越していない」ことになります。


7、PFI事業モニタリング統括部署の設置(素案:第4章4-6-2)で
施工モニタリングの強化が本当にできるのでしょうか。

「工事業者の作業状況写真を元に日々の進捗を監視及び電話等で迅速に指示し、抜き打ち巡視で施工レベルを維持できる」
としています。

しかし、事務所にいながら、線ではなく点の報告で、監督員の判断材料となりえるか。
的確な指示ができるのか。

「不適正施工問題」においても

「施工写真」での埋め戻し材料の不備を見抜けなかったにもかかわらず、

写真により的確な指示ができるとする、根拠を具体的に示すべきです。


8、素案(第5章5-1-2)において「広域的な復旧支援体制」では
「実施契約により市内早期復旧や他都市被災時の復旧支援等の役割が明記」とあります。

しかし、この素案では、実施契約の内容および、なぜ体制強化になるかが示されておらず、開示が必要と考えます。


9、「府域一水道」は議会の関与がないまま議論が進んでいることに、大きな疑念を抱いています。

府域一水道に大阪市民は、どういったメリットがあるのでしょうか。


2013年5月市会で否決された「大阪広域水道企業団との統合」との違いを明らかにするとともに、

府域一水道での市議会の関与をどのようにしていくかが問われています。


オール大阪水道体制.jpg
(参照:「オール大阪での検討」第19回副首都推進本部会議資料「持続可能な府域水道事業の構築に向けた取組み」23P)

また、PFI管路更新事業により生み出された「水道局職員の再配置」を

「広域連携体制の拡充」に充てるとあります。


しかし、水道局職員数の急激な減少(H20年決算1929人→H30年決算1317人:32%減)により、

現場力や技術力が低下しているからこそ、

第3者委員会に能力不足を指摘されたのではないでしょうか。

まずは水道局自身をしっかり立て直すために、人員を再配置することが必要です。



【陳情項目】

1.「改正水道法の適用によるPFI管路更新事業と水道基盤強化方策について(素案)」の審議は、本素案が採択され実行された場合に生じる広範且つ長期的な影響を市議会として十分に考慮の上、長い目での大阪市民の利益を踏まえ慎重に議論を進めること。


2.本素案および広域化の議論についても、議会の関与の担保を図ること。



水は生活のもっとも基本的かつ不可欠なインフラであり、水へのアクセス(安全で安価にいつでもだれでも利用できること)は大阪市民の生活にとって欠かせないものです。十分な情報公開のうえ議会での慎重な議論を進めます。


以 上

2020年2月1日




【陳情代表者】 

大阪の水道を考える市民の会

      構成団体:NPO法人AMネット、大阪を知り・考える会、近畿水問題合同研究会、

      しみんマニフェスト大阪UP 他


【賛同人】

仲上健一(近畿水問題合同研究会 理事長)


posted by AMnet at 20:01| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月08日

水道民営化すると→プレイヤーが増え、より複雑に。想定外への対応が遅れる。競争がなくなる。コストが上がる。サービスが不安定になる。台風で露呈した関空コンセッションの危うさ、などAMネット会報記事より

8/20〆切】水道民営化を進める、改正水道法の10月施行に向けたパブコメが始まっています。


「水道民営化を進める」と多くの批判を受ける中、国会での審議もほとんどないままに、2018年可決した水道法改正。

201910月1日の改正水道法の施行に向けて、関連制度等のパブリックコメントは5案件あり、8月20日〆切。


以下2つのパブコメは同じ指摘ができる水道民営化に直結する内容です。

公共サービスで民営化を進めるとはどういうことか。AMネット会報記事をご紹介します。

よろしければ参考にしていただき、パブコメを提出しましょう!

■「水道施設運営権の設定に係る許可に関するガイドライン(案)」に関する御意見の募集について


■「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂案)」に関する御意見の募集について



AMネット会報LIM90号(2019年2月発行)より

公共サービスの効率化?まずは「安定」を!

公共サービスの民営化を進める政府

2018年6月PFI法改正が、同年12月水道法改正も成立しました。

PFI法は、ほぼ全ての「公共施設等」が対象と非常に広範です。

以下の図を見てもわかる通り、さまざまな分野の公共施設のPFI実施方針が、公表されているだけでもこれだけの数字が上がっています。

(対象外は「各事業の所轄部局で定める」もののみ)


内閣府PFI分野別実施件数.jpg

(出典:内閣府 PPP/PFIの概要)


政府は内閣府に「PPP/PFI推進室」を設置し、PPP/PFIを優先的に検討すべきとする指針を出し、ワンストップ窓口を作り、全額補助金でのコンセッション導入可能性の調査など、国の支援機能の強化が図られています。


その中でも水道は、「コンセッション方式導入による官民連携の推進」が水道法改正により明記され、水道のコンセッション導入のための調査を内閣府が推進するなど、まさに主要ターゲットです。


そういった調査や委託を受けた地域の中から、「コンセッション導入に向けた働きかけトップセールスリスト」として19自治体が名指しされています。


※「トップセールスリスト」対象事業体

大阪市・奈良市・広島県・橋本市・紀の川市・ニセコ町・浜松市・大津市・宇都宮市・さいたま市・柏市・横浜市・岐阜市・岡崎市・三重県・四日市市・京都府・熊本市・宮崎市


ちなみにトップセールスリストの「対象事業体の選定指標」は、こうなっています。


@コンセッション方式導入に向けた実施方針を策定済み

Aコンセッションを含む官民連携検討のために、厚生労働省の交付金や委託調査を活用

B下水道のコンセッションを検討

C要件に該当(人口20万人以上、平成25年度に原則黒字経営、2040年度まで人口減少率が20%以下)



特にCの「要件」を見ると、

「そこそこの人口規模で、今後も減らず、黒字運営」といった、好条件の自治体が対象であることが分かります。


なぜ、好条件の自治体をよりすぐり、わざわざコンセッションを導入せねばならないのか?理解に苦しみます。


PFIで「プレイヤーが増え、より複雑になる」


コンセッションは、公共施設等の「計画策定」「建設」「維持・管理」「運営」など多分野の業務を行うため、多くは、複数の企業でグループを作り、SPC(特定目的会社)を設立します。


その際、SPC参加企業間はもとより、SPCと地方公共団体・金融機関、SPCが破綻しないよう地方公共団体と金融機関の間など、いくつもの協定や契約を結ぶこととなります。

PFIの仕組み.jpg

(出典:内閣府HP PFIの仕組み)



PFIで「競争がなくなる」

水道事業のコンセッションであれば、通常20~30年と長期にわたります。


 そもそもSPC参加企業は、営利を目的とする民間会社であり、利益のために参加しています。

業務ごとに入札する従来と比べ、PFIはSPCに、一括して任されています。

するとどうなるか。

外部との価格競争なく、SPC参加企業内で請け負う「SPC版の随意契約」となり、結果「割高な価格」となる可能性を容易に想像できます。


しかし、地方公共団体は現場もノウハウも無くなるため、その価格が適正なのか判断することすら困難になります。

そもそも、どこまで情報公開がされるかも不透明であり、すでに浜松市の下水道コンセッション契約でも、「企業の利益に反する」とされれば情報公開する必要がありません。


長期間、競争がない状態の中で、ブラックボックス化し、料金が高騰しないか。契約内容は履行されるのか。市民サービスレベルの向上は可能か。


コストカットしながら、それらが可能なのか、非常に疑問です。


PFIで「想定外への対応が遅れる」

長期契約期間中に、想定外の災害が起きればどうなるでしょうか。


まずは地方公共団体・SPC(特定目的会社)のどちらの分担か、契約書のリスク分担を確認することから始まります。


分担が明確でない場合は、まずはどこが責任をもって対応するのか、交渉・調整が必要となります。

いざという時、責任の所在はどこか。契約が多岐にわたるほど、参加企業内の思惑も錯綜し、調整困難となるでしょう。


また、SPCの分担であっても、SPCが費用負担できない場合、サービス継続の必要があれば、結果的に、公金を投入せざるを得ないでしょう。


日常的に、リスク分担を再交渉するとしても、長期の事業リスクを見通すことは非常に困難です。

地方公共団体が普段から維持管理していれば、「すぐに対応する」ことが可能です。PFIで想定外時の対応が遅れることは明らかです。


また、日ごろからの耐震化も、「性能発注しているから安心」というわけではありません。「契約通り実施されない」事例が、海外で多く起こっていることも留意すべきです。


料金収入はSPCが徴収する、つまり、金を握るのはSPCです。現場の運営もSPC、金もSPCが握るのに、最終責任は行政がとることになります。


一例として、廃案になった大阪市の水道民営化プランでのリスク分担を見てみます。

災害などの「不可抗力リスク」では「物理的損壊が、運営権者が行う維持管理の範囲内で対応できる場合」は民間事業者の担当、「物価変動リスク」「金利変動リスク」は、「経営改善の余地がある場合」は民間事業者のリスク担当とあります。


つまり民間事業者が「できない」と言えば、実質的に、行政がリスク分担せざるを得ないということになります。「リスクは行政に、利益は民間に」と言われるゆえんです。


PFIで「コストがあがる」

PFI導入により、「株主配当」「役員報酬」「法人税」など、公営企業であれば不要な経費が必要となります。しかし、それ以外にも、PFI固有の経費がかかります。


PFI経費比較国土交通省のPPPPFIへの取組みと案件形成の推進.jpg

(出典:国交省のPPP/PFIへの取組みと案件形成の推進)


PFIを使うということは、参加企業や金融機関、地方公共団体など、プレイヤーがふえるということです。

当然、それぞれ協定書や契約書が必要となり、調整コスト、事業計画等の調査・提案コスト、それらにかかる弁護士やコンサルタントへの外部への報酬等が、必要となります。


 また資金調達の金利コストも上がります。起債など地方公共団体は、これまで市場よりも低金利で調達することが可能でしたが、民間が調達するとなれば、信用力の差は歴然であり、当然金利があがります。


施設更新には多額の資金が必要なため、金利増も、大きな負担となるでしょう。


 地方公共団体の負担も増えます。

それら契約は地方公共団体の職員が取り扱える専門性を超えており、外部アドバイザーへの報酬も当然必要となります。


モニタリング・管理監督で事業内容を監視するとしていますが、現場のない中の実施は、安全性を担保しようとすればするほど、従来の内部監査より手間・コストがあがると容易に想像できます。


PFIで「サービスが不安定に」


民間事業者・公共、それぞれがサービスを実施した場合の財政負担を比較し、民間事業者がカットできたとなれば、「VFM(Value for Money)」がある、と判断します。


このVFMの有無が、PFI導入が適当かどうか、判断材料となりますが、これらコスト増の中、民間事業者がVFMを上げるには、図で見る通り、水道事業の維持管理・運営費、設計・建設費を下げるしかない、ということになります。


PFI導入で、サービスの向上を図ることが、そもそもスキームとして困難であることは明らかです。


PFI方式で、地方公共団体はSPCに対し、「運営権」=物件(財産権)を売却します。

逆に言えば、地方公共団体にとって、運営権の売却で得た資金を使って、企業債などの債務を返済できることが大きなメリットの一つです。


2018年PFI改正によって、運営権を売却した資金で過去の貸付を返済しても、これまで繰り上げ返済に必要だった「繰上償還に係る補償金」が免除されることとなりました。これは債務削減を狙う地方公共団体の負担を減らすものです。

内閣府がワンストップ窓口で相談も容易、調査費用も全額補助、PFI導入すれば債務返済も容易に…こういったあらゆる方法で、国は地方自治体のPFI/コンセッション導入を後押ししています。


SPCは公共サービスの「運営権」を「物件」とし抵当権の設定や譲渡が可能です。

「運営権」を担保とし、銀行や官民ファンド、証券市場から資金調達を行うことができます。


「運営権」が担保になる。万が一、SPCが破たんした場合、その担保はどうなるのか

英国第2位の建設会社であり、多数のPFIを請負っていたカリリオン社が、2018年1月破綻した事実があります。

イギリスの市民サービスへの影響は、どうなったのか。政府・地方公共団体の費用負担は?詳細な報告が待たれます。


台風21号で露呈。関空コンセッションの危うさ

関西国際空港は2016年4月以降、国内第1号の空港コンセッションとして、オリックス鰍ニフランス資本のヴァシン・エアポートを中心としたコンソーシアム企業が運営しています。


 2018年9月、台風21号による高潮と高波によってターミナルや滑走路が浸水し、地下の配電盤が故障して停電しました。


いくつか記事見だしを上げてみるだけでも、コンセッションのもろさを指摘する報道が絶えません。


産経:関空めぐる権利関係複雑 防災、復旧のネックにも


東洋経済:「関空」経営陣、災害対応で露呈した根本問題 民営化後の日仏合弁体制が生んだひずみ


日経:災害時の対応に課題も 関空運営、台風21号で混乱


日経 xTECH民営化から2年半、水没した関空の“後始末”は誰が?


「短期間で復旧したのは、関空を運営する関西エアポート(KAP)経営陣の危機対応能力を疑問視した官邸が、早い段階で国主導の復旧に事実上切り替えたからだ」

「KAP経営陣の資質については、国内外の航空会社が2016年4月の民営化当時から疑問視しており、台風対応という危機管理で表面化しただけ」

などと手厳しい記事が顕著ですが、これは関空に限ったことではなく、そもそもPFI/コンセッションが抱える課題そのものと言えるでしょう。


民間事業者の「創意工夫とノウハウ」とは?

政府資料はじめ、コンセッション導入を検討する自治体の資料をいくら見ても、民間事業者を入れるメリットは「民間の創意工夫とノウハウ」という抽象的なものであり、具体的に何かが見えないのが現状です。

唯一具体的なものは、「一括発注による業務の削減」「職員数削減」と、どこも同じですが、これは民営化のメリットと言えるのでしょうか。



技術継承が危ういのはなぜか

業務委託、包括委託、PFI、コンセッション、完全民営化…と様々な種類がありますが、これらの手法はすべて「PPP=官民連携」です。


「業務委託」は、すでにほとんどの自治体で進み、水道料金の検針業務をはじめ、管路耐震化の工事など、個々の業務が発注されています。

大阪市も民間への業務委託が進み、10数年で2000人から1300人まで職員数が激減しました。

これは「700人分の現場を失った」だけであり、仕事が減ったわけではありません。

業者に対して、発注・管理監督業務だけでなく、市民サービスを円滑にするため、民間事業者の失敗のフォローやノウハウを教える必要があります。


また、水道局がすぐに対応できたサービスも民間に任せた結果、日数・費用が増えるなど、市民サービスも悪化しています。


この10数年もの間、全国の水道職員の若手採用はほとんどなく、30~45%もの職員数が減らされています。

全国の水道で「技術継承が困難」な状況は当然の結果です。

PFI/コンセッションだけでなく、PPPをこれ以上増やすべきではありません。■


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2019年05月23日

「これ以上、行政は現場を失ってはならない」大阪市水道のPFI管路耐震化事業、下水道コンセッション導入について、陳情書を提出しました!

【大阪市会に陳情を提出しました!】

大阪市水道局では、PFI管路耐震化事業への議論が始まります。

水道事業全体を民営化するわけではありませんが、資産の65%を占める水道管の更新事業へのコンセッション導入が検討される状況になっています。

下水道は、数年後コンセッション導入を予定しています。


私たちは、「これ以上、行政は現場を失ってはならない」と考えます。

対処療法としての『官民連携の導入』ではなく、その根本的原因の分析をすることによって、市民に歓迎される公営水道となることが求められています。

そもそも、これまで進められてきた業務委託の「トータルコスト」が下がっているのかも疑問です。


陳情とは思えないほど長くなりましたが、ぜひご覧いただき、拡散いただけると幸いです。


<陳情はここから>
大阪市会議長 様

「改正水道法の適用によるPFI管路更新事業と水道基盤強化方策について(素案)」
および「大阪市下水道事業経営形態見直し基本方針(案)」に関する陳情書

【陳情趣旨】


これまでに発表された「改正水道法の適用によるPFI管路更新事業と水道基盤強化方策について(素案)」(以下「素案」という)および「大阪市下水道事業経営形態見直し基本方針(案)」(以下「案」という)について、以下の通り陳情いたします。


1、素案では、「局職員のマンパワー不足による管路更新ペースの限界」を課題とあげ、「ここに民間事業者のマンパワーを充てる」としています。しかし、水道設備は欠かせない公共インフラです。全体の約65%を占める管路は重要資産であり、その管理運営には長期的視野が必要です。


下水および公営水道事業の問題解決に当たっては、対処療法としての『官民連携の導入』ではなく、その根本的原因の分析をすることによって、市民に歓迎される公営水道となることが求められていると考えます。



2、素案では、管路更新のスピードアップ化(倍速レベル)を目指すとしていますが、管路更新のスピードは施工路線の現場環境※に大きく左右されます。従って、単純に人手をかけたからと言って、比例してスピードアップできるという性質のものではありません


※水道工事は道路開削を伴い、地域住民の日常生活や商業活動において広範囲に支障が生じやすい。そのため工事施工には十分な「住民理解」が必要となる。


また最近の建設業界は、優秀な技術者が東日本へ流れ「人材不足」が叫ばれており、安価な賃金では人材を確保できません。道路工事に必須である保安要員(ガードマン)が不足し、工事が行えない事態すら起こっており、素案の実行可能性については慎重に検討する必要があります。



3、これまで自治体同士の災害協定を超えて、日本全国の公営水道事業体は大災害時に助け合ってきました。

しかし公共の利益のための公営水道事業体同士の相互支援体制と、営利目的である民間事業者との整合性を、各自治体はどう判断するでしょうか。一方、大阪市の民間事業体は、他自治体への支援をどのような基準で判断するのでしょうか。


特に「官民連携後はあらかじめ実施契約を締結」することで対応するとなっていますが、災害規模も被害状況も予測できない災害対応に対して、どのような契約が有効なのか大いに懸念されます。民間事業者自身も被災していることも想定される中で、契約履行の強制力がどのように担保されるかも甚だ疑問です。



4、近年、日本では人口当たりの公務員数が先進国の中でも最低レベルとなるまで、人員削減が進められました。大阪市も同様に民間委託を進め、公務員を減らしてきた結果、市民サービスの質も低下しています。また業務委託による、現場の技術水準の低下も顕著です。


「ヒト」も「現場」も持たない状態で、「技術力」だけが維持できるとは考えられません。
大規模自治体の責務として他都市への技術提携が必要とされる大阪市において、まず自組織での技術継承をしっかりと確保していくことが必要だと考えられます。


5、これまで進められてきた業務委託の、トータルコストが下がっているのか疑問です。

委託費だけでなく「新たに発生した業務の人件費」「委託先の倒産・契約不履行・業務上での何らかの失敗(例えば個人情報の漏洩など)が生じた場合、最終的には対応を強いられる行政の潜在的なリスク」など、トータルでのコストとして、差引きでどれだけのプラス効果が生じたのか、計算されているのでしょうか。


PFI・業務委託といった形態を問わず、民間に業務を委任しても、行政の担う仕事は0にはなりません。契約前には、契約書の作成や締結に向けた調整交渉等、契約締結に関わる業務が必要となります。また業務開始時には、業務内容の説明または引継ぎ、委任期間中には内容のチェック、時には契約書に記載のない事態への対応、そして終了時には業務の結果、成果物等の確認、といった形で、委任前に無かった業務が「新たに発生」します。


 素案では、職員削減については『人的資源の創出』として具体的な数字があげられていますが、逆に職員増加は『工事品質モニタリングが別途発生』のみで、その人数規模も不明です。また、工事品質以外の新規発生部分や潜在リスクには触れられておらず、十分な考証がなされているか、検証が必要です。


6、素案(第1章1-4)に「水道局職員増員で管路更新ペースを倍速」する場合、給水原価最大約5円/m3(約200億円のコスト増)の値上げで行えると記載されています。これは大阪市の一般市民の水道料金の約3%でしかありません。


公営水道事業の課題解決策として、官民連携手法を導入するのではなく、適切な範囲で水道料金の値上げを行うことは、現実的な解決手段と言えます。吹田市も実施(平均10%の値上げ)されており、水道料金の値上げは適切な情報開示と丁寧な対話を重ねた上、住民自身が納得して負担することは、民主主義的手続きに沿った解決策の一つだと考えます。


7、管路更新ペースを倍速させ、水道基盤強化のための素案であるにもかかわらず、素案(第2章2-6-1,2-7)では、局職員増員で倍速にする場合と、PFI等の手法の比較がされていません。課題解決のためには、公営で改善・改革するプランも比較検討すべきです。


8、PFI先進国であるイギリスも「PFIを反省する時代」です。

世論調査で再国営化支持は70%を超え、2018年10月英国政府は新たなPFI契約をしないと発表しました。英国・ヨーロッパ会計監査院も「通常入札より40%割高」等指摘し、2018年1月英国第2位の建設・PFI請負会社であったカリリオン社の破たんで、公共サービスに多大な影響を与えました。
PFI方式は「リスクは行政に、利益は民間に」と言われ、結果的に市民のためにならないとの批判が国際的に高まっています。


9、ISDSビジネスと揶揄される外資による提訴で、行政が巨額の賠償金を支払うリスクが高まっています。

一例として、TPP11の「投資財産」は「企業、株式、債券、派生商品、許認可等の権利、有体・無体・動産・不動産も問わない資産全て」等、非常に広範です。大阪市の政策変更により、これらを所有する海外投資家が「経済的な期待価値を変動させる政治的行為」と判断すれば、ISDS提訴の対象となりえます。


つまり、公的管理から離れるほど、海外の投資家からISDSを使って提訴されるリスクが高まります。
TPP11以外にも、国際投資協定の締結は今後も増えること、ISDS提訴の数は年々増えていることからも、民営化のみならず、くれぐれも民間参入は慎重にすべきです。

(注:参加国(TPP11で言えば、例えばカナダやシンガポール)に子会社があれば提訴可能)


【陳情項目】

1.  「改正水道法の適用によるPFI管路更新事業と水道基盤強化方策について(素案)」および「大阪市下水道事業経営形態見直し基本方針(案)」の審議は、本素案及び本本案が採択され実行された場合に生じる広範且つ長期的な影響を市議会として十分に考慮の上、長い目での大阪市民の利益を踏まえ慎重に議論を進めること。


2. 本方針及び本条例案の採否に関わらず、市議会として下記の情報及び分析を当局に求め、市民に公開すること。


1)大阪市水道の現状課題の分析

@ 局職員のマンパワー不足による管路更新ペースの限界と挙げられているが、その課題をいつから認識していたのでしょうか?
A 局職員のマンパワー不足に陥った原因を局はどのように分析しているのでしょうか?
B 局職員のマンパワー不足の課題に対しどのような対処をしてきたのでしょうか?
C 民間参入によりヒトと現場を損失するなかで技術力を保てるのでしょうか?
D 過去5年間(平成24年〜28年)の92%にも及ぶ1,117件の不適正工事について、報告書では原因の一つとして、職員の施工管理や知識習得の不統一を課題としています。これから再発防止に取り組むと発表した直後の管路更新事業のPFI導入は、不適正施工の反省どころか、あまりに無責任ではないでしょうか?
E 技術力の低下とともに市民サービスが低下していると、認識しているのでしょうか?
F 【陳情趣旨】第5項のトータルコストでの費用対効果の検証は行われたのでしょうか。

2)素案における「大災害時の他自治体等との連携及び相互支援の具体的な計画」

@ 公営水道事業体同士の相互支援体制と、民間事業者と各自治体との整合性をどう判断するのでしょうか?
A 自治体組織ではない事業者が大災害時にどのように他自治体と連携し、相互支援を行うのかの具体的スキーム及び計画を提示願います。


3)素案における課題について
@ 水道料金を値上げすることを検討しないのはなぜでしょうか?
A 整備事業費等の増額分の捻出元を提示願います。
B 官民連携手法の比較に「整備事業費等の増額分を利用し水道局職員の増員した場合」と「水道局職員で管路更新ペースを倍速する場合」の提示を願います。
C 各自治体において業務委託の査定額が低いため、契約が不調になっています。今回の導入にあたり、過去の業務委託料が適正であるかの分析はされたのでしょうか。
D ISDS等で、外資に提訴されるリスクを検討しているのでしょうか。


水は生活のもっとも基本的かつ不可欠なインフラであり、水へのアクセス(安価にいつでもだれでも利用できること)は大阪市民の生活にとって欠かせないものです。十分な情報公開のうえ議会での慎重な議論を進めます。

以 上


2019年5月23日


【陳情代表者】 
大阪の水道を考える市民の会


【賛同人】
樫原正澄(関西大学教授)  
仲上健一(近畿水問題合同研究会 理事長)


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2018年09月15日

【拡散希望】水道民営化導入の調査が全国自治体で始まっています。「ちょっと待って!水道の民営化」新しいリーフレット完成!


【ちょっと待って!水道の民営化】

秋の国会で「水道民営化」を進める水道法改正が通るかも。
「水道民営化の導入」に向けて、民営化の導入を検討している自治体も、全国でたくさんあります。

「要注意地域」の方、ぜひご注意ください。

■コンセッション導入に向けた働きかけ(トップセールス)リスト
働きかけの進捗(平成29年1月現在)
○ 現在の働きかけリスト(平成28年1月作成)に記載した23事業体のうち、19事業体へ働きかけ済み

ニセコ町
宇都宮市
さいたま市
柏市
横浜市
浜松市
岐阜市
岡崎市
三重県
四日市市
京都府
大津市
大阪市
奈良市
橋本市
紀の川市
広島県
熊本市
宮崎市


そして、注意すべきは太字にした部分Cの対象地域の要件。

「そこそこ人口があって、今後も減らず、黒字運営」という、好条件の地域のみ対象。
民間事業者が「黒字運営」できるところが、トップセールスリストにあげられているのです。

<対象事業体の選定指標>
@コンセッション方式導入に向けた実施方針を策定済みである
Aコンセッションを含む官民連携検討のために、厚生労働省の交付金や委託調査を活用している
B下水道におけるコンセッションを検討している
C要件に該当している(人口20万人以上、平成25年度に原則黒字経営、2040年度まで人口減少率が20%以下)


水道分野におけるコンセッション導入促進について(厚労省)


■「要注意地域」内閣府調査の支援対象自治体

平成30年度「上下水道一体の事業診断による経営の効率化促進事業」
多くが2019年2・3月ごろに、調査結果が出るようです

それらの調査結果を受け、あっという間に地方議会で、水道民営化の議論が進む可能性があり、注意が必要です。


<内閣府PPP/PFI推進室>
上下水道一体の事業診断による経営の効率化促進事業

http://www8.cao.go.jp/pfi/shien/h29/h29_hojo.html

恵庭市(北海道)

酒田市(山形県)

津幡町(石川県)

和歌山市(和歌山県)

淡路広域水道企業団(兵庫県)

赤磐市(岡山県)


■「要注意地域」平成28年度はこちら。
「上下水道コンセッション事業の推進に資する支援措置」 支援対象案件

木古内町(北海道) 水道 水道事業の広域連携におけるPPP/PFI導入可能性調査

浜松市(静岡県) 水道 浜松市水道事業へのコンセッション導入可能性調査

伊豆の国市(静岡県)水道 伊豆エメラルドタウン簡易水道におけるPPPPFI手法導入可能性調査

宮城県 水道/下水道 みやぎ型管理運営方式実現可能性調査

宮城県 水道/下水道 上工下水デューディリジェンス調査

村田町(宮城県) 水道/下水道  四公共事業コンセッション等導入可能性調査

奈良市(奈良県) 水道/下水道 小規模上下水道施設における公共施設等運営権事業に係る情報整備

宇部市(山口県)下水道 西部処理区におけるコンセッション事業検討・調査

須崎市(高知県)下水道 須崎市公共下水道事業等運営事業に係る資産評価調査検討業務

三浦市(神奈川県) 下水道 資産(管路)の情報に関する基礎資料の精査に係る調査

大牟田市(福岡県)水道/下水道 大牟田市上下水道事業における民間資金等活用事業導入可能性調査

小松市(石川県) 下水道 汚泥処理再構築に係るPPP/PFI活用可能性調査

大分市(大分県)下水道 汚水処理事業へのPPP/PFI手法の導入に係る基礎検討調査

http://www.mlit.go.jp/common/001222025.pdf


■「要注意地域」政府が想定している6自治体と予想される自治体

宮城県

宮城県村田町

浜松市

静岡県伊豆の国市

奈良市

大阪市




■すでに世界中で「失敗だった」と言われる水道民営化。

成功事例と言われたパリ市は、「再公営化」
イギリスは、世論調査で7割を超える市民が「再国営化」を支持。

民営化先進国のイギリスでは、「民営化は高コスト」だとして、「反省する時代へ」入っています。

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<2000年〜2017年に水道を再公営化した、国別水道事業体の数>
※公共サービスを取り戻す(TNI/PSIPU) より抜粋
https://www.tni.org/files/publication-downloads/rps_ja_web.pdf


■そして日本では?以前の記事を参照ください。
http://am-net.seesaa.net/article/461341084.html


■リーフレットを配ってください!

「ちょっと待って!水道の民営化」

新しいリーフレットができました。

「自分の地域で撒きたい!」という方、大歓迎!

特に、民営化が進みそうな以下の「民営化導入の調査」を実施している地域。

ぜひ、問合せください!

水道民営化が検討されている全国の地域で、統一リーフレットを撒きましょう!



<ダウンロード&拡散大歓迎!>

■大阪版PDFのダウンロード(A4 裏表の二つ折り)

http://ur0.link/LZQO


※他地域で撒きたい!と言われる方は、メールでお気軽にご相談ください。

<問合せ先>amnetosaka[@]yahoo.co.jp
※@マークの前後の、[ ] を消して送ってください。

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※2016年9月に私たちが配布した、リーフレット第1弾!

コンパクトに大阪市水道局資料からの大阪市の水道の現状、私たちの主張、海外トレンド等々、まとめています。
ぜひご覧ください!

◇パンフレットの無料ダウンロードはこちらから(A4*4枚)
https://drive.google.com/file/d/0Bz4cgaa9CBKLUy1Ld3hNcUF4bGM/edit

posted by AMnet at 22:48| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月27日

可決した「PFI法」改正のどこが問題なのか?「水道民営化」とどう繋がるのか?

AMネット会報LIM88号より


可決した「
PFI法」改正と「水道民営化」


文責:AMネット事務局


英国で誕生したPFIは「より効率性の高いインフラ整備手法」の一つとして広がり、1999年、日本でもPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備の促進に関する法律)が施行。

この2018年6月、PFI法改正法案が可決し、10月に全面施行と政府は決定、PPP/PFIを強力に推進する姿勢を示しました。


■PPP/PFIとは?

『PPP』は、官民が連携して公共サービスの提供を行うスキームを広義に指します。


『PFI』は、「公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行う」ことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図る、とされています。


『コンセッション』は、PFIのスキームの一つです。

施設の所有権を移転せず、民間事業者に事業の運営権を長期間にわたって売却します。施設と、運営を分けることから『上下分離方式』とも言われます。

(PFIの手法にはコンセッションの他、BOO,BOT,BTO…等、建設・所有形態により様々な種類があります。)


これらの手法は「完全民営化」ではないから、民営化ではない、と一部の推進派は主張しています。しかし、例えば完全民営化された水道はイギリスだけであり、世界中で失敗している水道民営化の手法の多くは、PFIです。

完全民営化し施設等の資産を持てば、固定資産税の支払いも必要となり、撤退も困難です。

これらは、「完全民営化より、民間事業者にとって都合がよい」手法であり、「利益は民間へ、リスクは行政へ」と国際的に批判されている手法です。



■イギリスは「PPP/PFIを反省する時代」へ

 英国の代表的なPPP請負会社であり、英国第2位のゼネコンであったカリリオンが2018年1月倒産しました。カリリオンは病院や道路の建設を手掛けるほか、刑務所の保守管理や学校給食の提供等、約450件契約していました。倒産を受け、これらの公共サービスに支障が生じないよう、急きょ対応に迫られたほか、株も所有しており、イギリス政府に大きな損害がでました。


同月、イギリス会計検査院(NAO)と、EU会計検査院(ECA)は、

「PFIでの入札価格は40%割高であり、コスト削減効果もなく、透明性も悪化」

「問題点が改善するまで、PPPを広い分野で集中的に使うべきではない」

「建設に予想以上のお金がかかるうえに、工期も遅れる」

といった、PPP/PFIに、批判的な報告書を出しました。


実は、これまでも何度もイギリス会計検査院は「PFIは割高」と報告しており、フィナンシャルタイムズ紙ですら批判的に報道しています。水道の再国営化への賛成は、世論調査でもずっと7割を超えています。

PFI先進国であるイギリスでは「PFIを反省する時代」に突入しているのです。



■今回のPFI法改正のポイントは?

@民間事業者に対する国の支援強化

『ワンストップ窓口の創設』

総理大臣が、地方自治体等の行政とのやり取りを仲介。


『助言・勧告機能の強化』

民間事業者の依頼に応じ、総理大臣が基本方針を変更し、勧告・助言を出せるようになりました。


つまり、総理主導で、PFI推進が容易になりました。加計学園でも問題視された「国家戦略特区」も、「総理主導」の制度です。

「特定の民間業者への誘導や、地方公共団体の判断への介入を疑われないよう適正・公正に適用する」とわざわざ付帯決議に入るほど、恣意的な運用も可能になる点も大きな懸念です。


A地方自治法の特例

『利用料金』 

料金設定が、実施方針条例の範囲内は届け出のみで、地方公共団体の承認が不要になりました。

現場を持たない地方公共団体が、将来適切な料金設定が設定できなくなり、民間事業者の言いなりにならないか。将来の料金高騰につながるのでは?と懸念します。


『条例を作れば、PFI導入も事後報告で可』

地方公共団体が条例を作れば、その団体の長は「遅滞なく、議会に報告」するだけ。

議会での議論なく、公の施設にPFI導入が可能になりました。


つまり、PFI導入に積極的な市長の元、条例を可決してしまえば、議会での議論すらなく、PFIを進めることが可能になります。総理や首長の影響が強まる一方、地方議会の存在意義、間接民主主義、地方自治の軽視が目立ちます。

『運営権の移転の許可』の条例を、地方公共団体に作らせないことが肝要です。


B水道・下水道の繰上償還時の補償金を免除

(2018〜2021年度までの特例措置)


国からの貸付けを地方公共団体が皆、繰上償還すると、国が予定していた利息収入が不足します。そのため、国に繰上償還すると、補償金を支払う必要がありますが、それが免除されます。


つまりPFI導入時、運営権売却等で得た資金で、水道・下水道事業体は補償金なく国に一括返済できます。これはPFI導入のコスト削減となるため「2021年までにPFIを導入する」インセンティブにしています。



■ほぼ全てのインフラが、PFIの対象に

対象となる『公共施設等』は何を指すのか?

PFI法2条によると、


一 道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等の公共施設

二 庁舎、宿舎等の公用施設

三 賃貸住宅及び教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、更生保護施設、駐車場、地下街等の公益的施設

四 情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設(廃棄物処理施設を除く。)、観光施設及び研究施設

五 船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星(これらの施設の運行に必要な施設を含む。)

六 前各号に掲げる施設に準ずる施設として政令で定めるもの


つまり、小さな施設からライフラインの水道まで、ほとんど全てのインフラ・公共施設がPFI法の対象です。一方、対象外は「各事業の所轄部局で定める」もののみです。


民間事業者の参入要件は、外資の規制もなく、非常にハードルが低いものになっています。


また、「契約で定める」内容が非常に多いことも大きな懸念です。

所轄する地方公共団体が、多国籍企業と対等に、膨大かつ詳細な内容まで、きっちりと契約を提携し、使いこなすことができるのか。外部アドバイザーの言いなりになるしかないのではないのか。頼りになるアドバイザーは、どれほどいるのか。

政府は地方公共団体に、大きな責任を押し付けていると言わざるを得ません。



■政府主導で進められるPFI

 2015年、内閣府は『多様なPPP/PFI手法導入を優先的に検討するための指針』を発表しました。

そこでは、人口20万人以上の地方公共団体に対し、公共施設等の方針の見直しに当たって「PPP/PFIを優先的に検討すべき」とする指針がだされました。具体的には、


@PPP/PFIが適切か否かの検討を「優先」

A外部のコンサルタントを活用し、コストを算定

Bその結果、導入しない場合は「PPP/PFIを選択しない合理的な理由」をインターネット上で説明せねばならない


その他にも、

@PPP/PFIに詳しい職員の養成

A住民・民間事業者への啓もう活動

B産官学・金融機関で構成する地域のPPP/PFI案件の形成能力の向上のための『地域プラットフォーム』の設置

C民間事業者からの提案を積極的に求める

D民間事業者の高い収益性の確保に努める

など、PPP/PFIを普及させるべく、地方公共団体に強要しています。


このような状況の中、今回のPFI改正法が可決し、よりPPP/PFI導入を誘導し、進められることとなりました。

実は、内閣府はすでに、PFI導入可能性の調査等を、国が全額負担し実施しています。内閣府が委託しコンサルタントを派遣するこの事業は、「上下水道コンセッション事業等導入に係る検討に要する調査」や、「地域プラットフォーム形成支援」、実際の具体的事業、専門家の派遣など多岐にわたります。


そもそも政府が求めていた公共施設等の総合管理計画は

「長期的な視点に立って公共施設をマネジメントする」ため、であったはずです。

しかし今や目的は「民間事業者にとって魅力的なPFIをどれだけ増やせるか」であり、公共施設等の適正な運営のための議論から、大きく外れています。



■日本で始まっている外資参入のPFI

浜松市の下水道事業は、外資水メジャーであるヴェオリア他、オリックス等6社でPFI契約が2018年4月スタートしました。


PFI導入にはVFM(※)が高いことが求められますが、先の国会質疑によると、VFMの算定根拠すら、ヴェオリアの企業秘密だとして、市は答えませんでした。VFMが高いからと、PFI導入したにも関わらず、です。

※VFM(バリューフォーマネー)…総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合。PFIの実施の検討には、VFMの有無が評価基準となり、高いほど良いとされる。


また、この契約書には秘密保持義務があり、

「契約に関する情報(本事業を実施するうえで知りえた秘密を含むが、それに限られない)も相互の承諾がなければ、開示してはならない」

とあります。「限られない」ということは、今後様々な秘密が生まれ議員すらチェックできない、まさにブラックボックスが生じます。


契約内容や財務他の「情報の不透明」な事例は、民営化失敗した多くに見られます。海外事例を参考に、始まったばかりの日本版PFIで、「契約内容が不透明」な事例が早速発生した、ということです。


 今も浜松市は上水道のコンセッション導入を検討中です。しかし、VFMは1〜4%とわずかであり、コンセッションありきで進めていることが明らかです。(内閣府HPによると、VFMの過去実績は10%以上がほとんどですが、浜松市の下水道のVFMですら、7.6%しかありません)



■水道民営化は避けられないのか

今回のPFI法改正は、水道に限らずすべての公共施設が対象です。その中で特に、PFI導入調査へと補助金で誘導し、政府目標が定められ、同時期に水道法改正で「コンセッションが選択肢の一つ」になるよう、強力に推進されているのが上下水道です。


※PFI法改正による政府の目標は「水道6件、下水道6件、文教施設3件、国際会議場施設等6件」。

水道6件は国会答弁等から、宮城県・宮城県村田町・浜松市・静岡県伊豆の国市・大阪市・奈良市を想定している模様。


今回の水道法改正法案には、「国・都道府県・市町村の責務の明確化」など基盤強化に必要な事項がある一方、24条『官民連携(PPP)の推進』が潜り込んでいます。


『広域化の推進』

また今回改正案に入っている広域化にも、注意が必要です。広域化された場合、企業団(一部事務組合)が水道事業を運営し、構成団体の自治体から若干名選出した議会が可決します。一般的に、一部事務組合で事業の中身について話し合われることは、ほとんどありません。議会は年に2~3回、予算決算の承認程度の議論しかない一部事務組合がほとんどです。

つまり広域化すれば、議員・市民から遠くなり、議会が形骸化した後に、広域な範囲を一気に民営化される懸念があります。

また、水は「運ぶコスト」が一番高く、広域化のメリットを出すのは簡単ではないことも留意すべきです。


今の国会情勢のままであれば、秋の国会で水道法改正の可決は残念ながらほぼ避けられません。

しかし、水道を民営化するかどうかは、各地域の議会の承認が必要です。各地状況を踏まえ、本当にPFIを導入すべきなのか?それぞれの地域で、丁寧な議論が必要です。■


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posted by AMnet at 22:09| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月01日

水道を民営化すれば、災害対策は遅れる。世界中の水道がなぜ「再公営化」しているのか?

▼水道の老朽管率がなぜこんな高いんだ!
民営化して水道経営を考えねば!

…みたいになってますが。

水道民営化すればコストは余計に上がる。

イギリス会計監査院の報告からも、世界中の事例からも明らか。

つまり、結論から言えば、
「民営化してコストカットし、そこから耐震化のコストをねん出する」

という、前提条件がそもそも壊れています。


→大阪北部地震:老朽水道管で被害相次ぐ 府で40年超3割
https://mainichi.jp/articles/20180630/k00/00m/040/144000c



▼再公営化が世界の潮流。

「民営化でコストが上がった」
「水道料金が上がった」
「職員削減しすぎてサービス悪化した」
「経営の透明性が悪化した」
等々…

水道を始め、世界中の公共サービスが「民営化が失敗」だったと、
「再公営化」している中、なぜ今さら日本が民営化せねばならないのか。

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▼水道民営化が成功と言われた、パリ市とイギリスその後。

パリ市は再公営化し、大幅なコストダウンと技術革新、水資源確保などに取り組み成功。

イギリスは世論調査で7割越える人が再公営化を要求。
会計検査院からも、PFIは高コストで透明性悪化で、課題解決まで使うなと言われたばかり。


民間企業は、どうしても短期的利益を求められるため、長期的視点をもてる公営が有利となる。

しかも、公営だと、株主配当も役員報酬もない。

水道で得た利益を、全て、水道に充てることができる。利益が流出しない。
結果、災害対策も進めやすいのです。



▼水道民営化・企業団・広域化が、今の「公営」に負ける、そのワケは?

▽民営化:料金高騰など、世界中で失敗が続く「時代遅れ」のやり方。
▽企業団統合:範囲が広すぎ、調整が大変。
▽広域化:そもそも大阪市には広域化のメリットがない(地域によっては広域化すべきだが)

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▼そもそも水道の耐震化が進んでないのは

適切な水道料金設定をせず、地味でコストのかかる耐震化を後回しにしてきたから。
イギリス会計検査院は「PFI(民営化の手法)の入札価格は40%割高でコスト削減効果もない」と報告。

大阪市だと、月200円水道料金上げるだけでOK。(一般家庭の場合)

優良自治体が、民営化を狙われる。


▼民間委託は効率化?

水道民営化だけでなく、民間委託が進みすぎているのも課題。

民間委託は「行政が現場を失う」こと。

今も、災害時は「早くて安い」から、職員が対応している。
でも現場を知らない職員だらけだと、いざという時、どう対応するの?

減災を言うなら、まずは直営を増やし、行政が現場を持つべきだ。

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▼浜松市の民営化は?

浜松市は市内処理60%を占める下水を、水メジャーのヴェオリア、日本のオリックス等出資の合弁会社で民営化すみ。
上水道も、民営化(同じく公設民営)を目指し中。

民間企業は経営悪化すれば撤退するが、
浜松市長は
「民間が破綻するより、このままでは自治体が破綻するリスクの方が大きくなる」と。


自治体が破綻するほどのリスクが本当にあるなら、民間企業が受けるのか?

民間破綻すれば、行政が責任を果たせるわけもない。

水がなければ地域崩壊。なんと無責任な。


→(平成経済)第4部・老いる国、縮む社会:5 身の丈にあうインフラとは 設備老朽化、人口減で収益悪化
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13565131.html


▼30年後の水道料金は1.6倍?

ついでに、朝日記事にもあるこの試算。

「日本政策投資銀行によると…30年後に今の料金を平均1・6倍に値上げする必要がある」は、
今のまま水道設備を維持すれば、が前提。

ダウンサイジングしなければ、いくらでもコストがかかるに決まっている。
広域化だけが処方箋じゃない。地域ごとに選択すべき。


※ツィッター投稿をまとめたため、文章が少しみづらいですが、ご了承ください。
https://twitter.com/amnetosaka/status/1013079753807413249
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2018年05月31日

パリ市の水道再公営化時の水道局長アン・ストラ氏報告など「みらいの水と公共サービス」開催報告

AMネット会報LIM87号より転載

シンポジウム「みらいの水と公共サービス」報告


報告:堀内 葵(AMネット)


2018年2月18日(日)、東京・都市センターホテルにて、シンポジウム「みらいの水と公共サービス」が開催された(主催:全水道会館水情報センター、後援・協力:アクアスフィア、水政策研究所、全水道、アジア太平洋資料センター(PARC)、国際協力NGO センター(JANIC)、AMネット)。

少子・高齢化の進展の中、水道・下水道事業など日本の公共インフラの維持・管理、持続性を確保し、未来へと継承していくことが大きな課題となっており、公共サービスの産業化が叫ばれる中、水道法改正に伴うコンセッション方式導入等の動きが注目される水道事業をテーマに、約200名の参加者が集まった。



基調講演として、東京大学総長特別参与・国連大学上級副学長の沖大幹氏より、
2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)のうち、水に関わるゴールとターゲットの説明があった。また、水循環の重要性や水の公共性が謳われ「水が国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いもの」と明記された水循環基本法の解説がなされた。

沖氏は、SDGsの特徴として「民間の本業を通じた社会貢献」を挙げ、グローバル企業がSDGs達成に向けて、CSRやCSVだけに留まらず、開発援助や環境への貢献を進めていることが紹介された。


続いて、二人目の基調講演として、元パリ水道局長および元パリ副市長のアン・ル・ストラ氏から、パリで実現した水道の公営化についての紹介があった。


パリ市長の選挙公約として、それまで民営だった水道サービスが2010年に公営に戻された結果、組織が簡素化され、情報が公開され、工事の発注もグループ子会社から一般公開に変え、収益も競争力も上がった。

バラバラだったシステムを統合・再構築するなど、技術革新も進んでいる。

パリ市民が水道サービスのガバナンスに参加するなど運営の質も上がり、国連から賞を受けた。

水道にすべて再投資できることで、インフラ投資も増え、料金も下がり、相談センターを新たに作るなどサービスも向上し、雇用も増えた。

100%株式を得て循環サイクルをコントロールでき、予算面からも対応できるので、積極的かつ長期的な視点に立った行動ができる。
環境保全や生物多様性に配慮した水資源確保や、防災予防策など、これらは再公営化されてからの取り組み
とのことである。


後半は、トランスナショナル研究所の岸本聡子氏をモデレーターに迎え、沖氏、ストラ氏と森山浩行・衆議院議員(立憲民主党)が登壇するトークセッションが行われた。


森山浩行・衆議院議員(立憲民主党)は、
PFI法・水道法改正により、適切なダウンサイジングができなくなるのではないかと指摘。
古い管を入れ替えるタイミングだからコンセッションが出てきたのであり、水道料金として市民が負担し続けることになる。民主的に住民の声を入れて意思決定をしていく必要性を強調し、水道法改正の結果としてコンセッション(公共施設の運営権を民間事業者に委託する制度)が検討されていることへの警鐘を鳴らした。


沖氏から、
日本の事業体の問題として、必要なコストを価格に転嫁できていないこと、つまり適切な価格が設定されないことが問題、民か公ではなくどのような制度が良いのかを議論すべき、という提案があった。

ストラ氏からは、
民間企業が公的サービスに参入する理由は利益を得ることであり、公的サービスの市場が企業に利益をもたらさないなら魅力はないこと、しかし、パリの水道再公営化を皮切りに、他の中規模の町でも再公営化の流れや民間企業との契約見直しが起こっていることが紹介された。


最後に岸本氏から、民営化の問題点について世界中のNGOや住民組織の報告を参照してほしいこと、民営化の先進国と言えるフランスやイギリスで今何が起こっているかをしっかりと知ってほしい、という呼びかけがあり、4時間に渡るシンポジウムは終了した。


posted by AMnet at 22:40| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月22日

【拡散希望】イギリス・ヨーロッパの会計監査院がともに「PFIは割高で透明性悪化。使うべきでない」とレポートする中、今国会でPFI法を改正していいのか?

英国会計検査院(NAO)、ヨーロッパ会計監査院(ECA)が続けて、発表したレポートで

「PFIでの入札価格は40%割高であり、コスト削減効果もなく、透明性も悪化」
「問題点が改善するまで、PPPを広い分野で集中的に使うべきではない」

と勧告する中、今国会において、「水道民営化」を加速させる「PFI法改正」が通ろうとしています。


英国会計検査院(NAO)、ヨーロッパ会計監査院(ECA)のレポートについて、岸本聡子さんより、超特急での報告をいただきました。
以下、ぜひご覧いただき、拡散いただけますようお願いいたします。


<以下、岸本聡子さん(トランスナショナル研究所(オランダ)によるレポート>

英国の官民パートナーシップ(PPP)請負企業カリリオンが2018年1月に倒産した直後、国家機関で財政の監査役である英国会計検査院(NAO)がPPPの仕組みを克明に報告するレポート「PFI and PF2」を発表した。

「PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法である。英国ではPFIが用語として一般的に使われている。

PPPはより広義で、PFIは、PPPの代表的な手法の一つである。

折しも日本ではこの5月に、コンセッション方式の導入を推進するPFI法改正案が衆議院本会議で賛成多数により可決され参議院に送付された。


英国会計検査院はPFIの対費用効果と正当性を調査し、コスト削減の効果があるか検証した。

英ガーディアン紙は「納税者は先25年、£200 billion(約29兆円)をPFI契約に支払うことに」とする記事(1月18日)で英国会計検査院のレポートの主要な内容を掲載した。

レポートはPFIが公的な財政にプラスであるという証拠が乏しいと結論した。

さらに多くのPFIプロジェクトは通常の公共入札のプロジェクトより40%割高であると報告。

NAO(英国会計検査院)は、英国が25年もPFIを経験しているにもかかわらず「PFIが公的財政に恩恵をもたらすというデータが不足」と報告した。


現在英国では716のPFIプロジェクトが進行中で資本価値は£60 billion(約8兆7878億円)、年間の支払い額は2016-17で £10.3 billion(約1兆5084億円)。
新しいPFIプロジェクトが全くなかったとしても、2040年までの支払い金額は £199 billion(約29兆14520億円)に達する。

折しも英政府は、カリリオン(英国PPP請負企業)の£2.6mポンド(約3.8億円)の株を所有して主要なPFIプロジェクトに参画している。
カリリオンが倒産したことで、この公的な資金は危機にさらされている。

英国下院、公的会計委員会議長ののメグ・ヒラ―氏は
民間の負債を相殺するだけの恩恵がないことを25年間のPFIの経験は示した。今多くの自治体は変更に膨大な費用のかかる柔軟性のないPFI契約で鎖でつながれた状態である」
とPFIスキームを痛烈に批判した。

「財務省は指摘された問題に対処しないままPF2という新しいブランド名でPFI を続行しようとしている。学校や病院にもっと投資が必要であるのに、間違った契約で結局は納税者が過剰な支払いをすることになる。」


PF2はPFIの批判を受けて、前ディビット・キャメロン首相のときに導入された。

支払ったお金に見合う価値があるかどうか (value for money)と透明性を高めるというのが主な趣旨であるが、PF2の6つのプロジェクトを精査した結果も懐疑的である。

レポートによると総体的に公的に資金調達されたプロジェクトよりPFIスキームは高くつき、学校建設の分析では政府が直接ファイナンスするよりも40%割高である。

主要なPFIプロジェクトを公的な所有に戻す場合、未払いの債務に加えて追加で£2 billion(約2929億円)が必要であり、これは未払い債務の23%に相当する。

労働党と労働組合は、この非常にリスクの高いPPP・PFI の停止を訴える。
「PPP・PFI企業は追い出されるべき。私たちに必要なのは公的な倫理と確かな管理のもので公務員によって提供される公共サービスである」
と党首のジェレミー・コービン氏は言う。

GMB(全国都市一般労組)の書記長レアナ・アザム氏は
「会計院のレポートはPFIが納税者のお金の破壊的な無駄づかいだであることを証明した。カリリオンは公共サービスを利益の最大追求の企業に任せたときにどうなるかを示す最新の例の一つでしかない。」
と批判した。

これに対し
「道路や学校や病院といった重要なインフラはPFI や PF2で支払われているし、これは経済を活性化させ雇用を創出している。私たちはPF2を通じてPFI 契約の透明性を高めvalue for moneyを改善している。納税者のお金は、建設と長期維持管理のリスクが民間セクターに移譲するPFI や PF2を通じて守られている」
と保守党のスポースクマンは語った。


これに続き、ヨーロッパ会計監査院(ECA)もNAOに準じるレポートを発表

ECAは欧州連合が共同出資する12のPPPプロジェクトを分析。
短所と限られた費用効果が広く観察され、€1.5 billion(約1924億円)が無駄で非効率的に使われた。
支払ったお金に見合う価値があるかどうか (value for money)と透明性は広く悪化した。不明確な政策と戦略、不十分な分析、PPPの債務が公的なバランスシートに現われないこと(オフバランスシート)、政府と民間企業のリスク分担が不公平であることが特に問題である」と結論。

ECAはEU委員会とEU加盟国は指摘された問題点が改善するまでPPPを広い分野で集中的に使うべきではないと勧告

2010−2014年の間、EUは €5.6 billion(約7189億円) を84の PPPプロジェクトに提供した。
プロジェクトの全体の資本価値は, €29.2 billion(約3兆7480億円)である。監査は.フランス、ギリシャ、スペインの道路、交通、情報テクノロジー分野の12のプロジェクトを調査。プロジェクトの総額は€9.6 billion(約1兆2318億)で、うち EU が €2.2 billion(約2822億)を提供。

PPPs は公的機関に大規模なインフラを一つの手続きでまとめての発注を可能にするが、これによって競争効果はなくなる。受注者同士の競争がないうえに、ひとつにまとめることで発注者への依存度が高まり、発注者の公的機関は交渉において弱い立場になる。

「さらに調査対象のPPPプロジェクトの大半(9のうち7)が建設期間中、相当な非効率と、無駄が見られ、プロジェクトの遅れ(最長で52か月)による損失総額は€7.8 billion(約1兆7億円)に上った。」

「スペインとギリシャで高速道路を完成させるために約 €1.5 billion(約1924億円) の追加の公的資金は必要になった。その 30 % (€422 million−約541億円) はEUから拠出された。 」

レポートを担当したヨーロッパ会計監査院 のオスカー・へリックス氏は
「潜在的な経済的利益を得る手段として非効率」
と結論した。


posted by AMnet at 20:54| 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月17日

【パブコメ提出しました】(仮称)大阪市水道経営戦略(2018-2027)(素案)

今後、水道法改正・PFI法改正などが国会審議される見込みの中、大阪市水道局のいう「新たな経営手法」がどうなるかは分からないものの、大阪市の水道の現状が垣間見える、そんな資料となっています。

メリットが見えない中、「新たな経営手法」ありきで策定された、今後の水道の経営戦略がどういったものなのか。よろしければAMネットが提出した「今後10年間の大阪市水道経営戦略」へのパブリックコメント、以下ご覧ください。

<参考>
(仮称)大阪市水道経営戦略(2018-2027)(素案)のパブリック・コメントを実施します
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/jorei_boshu/suido/0000419095.html


<以下AMネットのパブリックコメント>
「(仮称)大阪市水道経営戦略(2018−2027)(素案)」に対するご意見

1、適正な水道料金で、必要な収入を確保すべき。
大阪市の水道は高度浄水処理などの大規模投資で水質を上げても20年間料金の値上げもなく、かつ大都市で全国一安い一般家庭にやさしい料金制度を取りつつも、今後20年以上の黒字見込みの超優良公営企業です。

しかしこの経営戦略で示されている将来像を達成するにも、「98%の世帯が給水原価割れ」という現状の大阪市の水道料金制度では、残り2%に収支が大きく左右され、安定的な経営が困難です。

水道経営の持続性確保のためには、将来の「水道料金値上げは避けられない」のは、もはや常識です。先日大きく報道された日本政策投資銀行による「水道事業の将来予測と経営改革」にも「水道料金値上げ」は一番に記載されており、優先順位の高さが分かります。

将来のキャッシュフローを安定させる水道料金制度の構築・分析を真っ先に取り組み、試算を公開し、選択肢の一つとして提示すべきです。


2、この大阪市水道経営戦略の目指す将来像の達成には、公営が適している。

「強い公共」「大都市大阪の都市機能」「持続」など、この大阪市水道経営戦略が目標とする将来像を達成するには公営が適しています。にも関わらず、「新たな経営手法」ありきで経営戦略を策定しているがために、あちこちに無理・無駄が見られます。

「経営の自由度が増す」いう漠然としたイメージしかない中、「新たな経営手法ありき」の経営戦略であることは明らかであり、これまでの市会での議論を反映しているのか大きな疑問です。

特に「公営でできる改革をやるべき」という指摘は、すぐにでも実現可能であり、真っ先に「公営で可能な改革」を進めるべきです。


3、職員のノウハウは、「大阪市の水道技術力」そのもの。削減すべきコストではなく、市民の財産です。

いくら最新設備をそろえても、技術力を誇ることはできません。

「施設の維持・管理・運営できる職員がいる」、そして「水源から蛇口までのトータルな運営ノウハウを持つ」からこそ、大阪市の水道は「技術力がある」のです。そのノウハウを持つ職員を「削減すべきコスト」として扱うべきではありません。

大阪市は「国内他都市と比較し職員数が多く、一人当たりの生産性が低い」と分析していますが、日本の公務員比率はOECD諸国(平均約15%)に対し約7%とほぼ最下位(労働人口比)です。

全国的に「水道事業者の技術喪失」が懸念されています。技術継承できないのは、国内の水道事業者の職員削減が進みすぎたことが大きな原因と考えます。つまり、そもそも持続可能な水道に必要な職員数が不明な中で、国内で比較すること自体が適切なのか疑問です。

 この大阪市水道経営戦略(P98)にもある通り、「委託化の拡大等により実作業を体験する機会が減少し、ベテラン職員の退職による現場での技術継承が困難な状況」なのは、大阪市自身です。中小水道事業体だけではありません。


4、「直接公共が担うべき業務」への考え方が明確でなく、なし崩しに現場力を失う懸念。


民間に任せても民間企業がやるだけで、職員の仕事がそのままなくなるわけではありません。逆に職員数が減り、発注・管理などの業務が増える一方、「行政が現場を失う」「現場力・技術力を失う」といった不安材料が増えることを意味します。

どこまでが「直接公共が担うべき業務」なのか、あいまいなまま民間委託を進めることは、なし崩しに大阪市の技術力を喪失することです。

基礎自治体として「直接公共が担うべき業務」への考え方を、明確にすべきです。


5、広域連携に水利権の視点を入れるべき。

淀川流域の自治体同士、水利権を融通しあい、合理的に活用するための調整の場を設けるべきです。

大阪市の水利権は経済的である一方、企業団の水利権はダムの比率が高く、将来ダムの更新等、莫大な費用や水道料金の値上げリスクが高まります。

経済的でありかつ余っている、大阪市その他周辺自治体の水利権を「貸与・譲渡する仕組み」を構築することで、流域との連携を図り有効活用できる可能性があります。


6、民間企業に「公共の役割を求める」こと自体が、そもそも不適切。

民間企業・株式会社は、営利を目的に活動する存在であり、株主重視の傾向が強いことは常識です。民営化後のJRの路線廃止・事故発生のように、将来の「市民サービス・安全性」と「企業の利益」が天秤にかけられることが懸念されます。

「民間企業に大阪市民や他都市への“公共の役割”を求める」こと、「平均寿命数十年とされる民間企業に、将来世代にわたった持続可能な水道を求める」こと自体が、そもそも不適切だと考えます。


7、事故リスクの軽減・未然防止対策は、民間活用すべきでない。

「南海トラフ巨大地震、水源水質の汚染事故等へのリスク対応が今後さらに必要になる」と、この大阪市水道経営戦略にも詳細に課題・対策が書かれています。

JRや東電の原発事故に限らず、昨今民間企業の事故・不祥事が絶えない中、利益を生まないこれらへの安全コストを、民間企業が将来にわたってかけ続けられるか疑問です。

また、水源〜給水栓までの事故リスクの軽減のためには、「民間企業の監視や指導」「国や他自治体との連携」が必要ですが、そもそも一民間企業が担える役割なのか、本当に実施できるのか疑問です。

数多くあるリスクのうち、水道水質リスク管理の対策を一例として見るだけでも、「一民間企業」が担うにはリスクが大きく、とても担えるものではありません。
事故リスクの軽減・未然防止対策は、公営・行政として実施すべきです。


8、「暗黙知」の個人のノウハウは技術継承可能か?
現場作業での暗黙知・個人知を形式知とし、組織内共有することは確かに必要です。

しかし民間委託が進み現場がなくなれば、どうやって暗黙知「カン・コツ・技」をアップデートするのでしょうか。実務経験もなく研修して、本当に体得できるのか大きな疑問です。
「ナレッジマネジメントシステム」構築自体が、将来無駄になる可能性があります。

逆に公営のまま「職員に余裕を持って現場配置」すれば、現場でその都度、業務をしながら生きた技術継承が可能です。

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