2016年07月07日

【プレスリリース】ちょっと待って!その「水道」の民営化〜大阪の水のこれから。公共の可能性〜世界では235件も再公営化!〜イベント開催のお知らせ

報道各位 プレスリリース
                2016年7月7日

イベントページに14,000view超え!
ちょっと待って!その「水道」の民営化
〜大阪の水のこれから。公共の可能性〜世界では235件も再公営化!〜
イベント開催のお知らせ
https://www.facebook.com/events/1754002228145562/

私たちは、「水道事業の民営化」に向けて大阪市議会に議案が提出されたことを懸念し、3月8日大阪市会に対して、「慎重な議論の求める陳情書の提出」を行いました。結果、陳情の内容に対し、おおさか維新はじめ各会派の質疑にも取り上げられました。また、陳情に関するFacebook投稿は7,000view近く、ブログでも500シェアを超え、陳情代表者であるNPO法人AMネットとして過去最高の反響です。

水道民営化は90年代がピーク。すでに今は、「水道民営化は失敗だった」と世界中で「再公営化」が進み、2015年時点で37か国235事業体が再公営化しています。それは途上国のみならず、ドイツ ベルリン市、水メジャー本拠地パリ市でも起こっています。

9月以降の交通水道委員会でも継続して行われる審議に向け、このたび私たちは「水道民営化の何が問題で、再公営化が進んでいるのか」、「再公営化においてなぜ市民が関わることがポイントで、どのように関わっているのか」を学び、世界で見いだされている「新たな公共の可能性」を学ぶイベントを開催します。水問題に関連した投稿はFacebookで注目を集めており、関連投稿はどれも1,000単位でviewが伸びています。

つきましては、下記のとおり、イベント内容及び,今後のアクションについてお知らせする記者会見を開催いたしますので、ご多忙中とは存じますが、ご出席賜わりますようご案内申し上げます。


■記者会見 概要■
◇日時: 2016年7月13日(水)15:30 〜(30分〜1時間程度)
◇場所: 大阪市政記者クラブ
◇出席: 中野雅司(大阪を知り・考える市民の会)、武田かおり(NPO法人AMネット)、他調整中
◇内容: 水道民営化の問題、再公営化、水政策決定への住民参加、市議会&陳情報告、水イベント紹介など


■NPO法人AMネット■
2003年第3回世界水フォーラム以降、「水道民営化」による問題を注視し、海外NGO等と協働してきた。
その他、TPP等の自由貿易、規制緩和等で起こる問題の提起やオルタナティブ提示を行っている。


■本件に関するお問い合わせ先:NPO法人AMネット(担当:武田)
WEB:http://am-net.org/ E-MAIL:amnetosaka【@】yahoo.co.jp(【】を消去してください) 
TEL:080-3788-2750【電話番号が変わりました】

13048000_1146203155444537_6238686188019793549_o.jpg

13217178_1146203158777870_1673082078733614156_o.jpg
posted by AMnet at 17:23 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月14日

【公務員はコストか、財産か】大阪市水道民営化から考える

【公務員はコストか、財産か】
大阪市水道の技術力はすごい。

高度浄水処理、日本で初めて水道GLPの認証もとった。ISO22000の認証も。この技術・ノウハウを持って、市域外の事業展開に活かすとしている。

だけど、ちょっと待って。
最新の機械を入れれば、認証が取れるのか。技術がすごいと言われるのか。

違う。
それを維持管理し使いこなせる人がいるから、技術があると言われるのだ。

大阪市の水道技術がすごいと言うことは、大阪市水道局の職員のノウハウがすごいということ。

その技術、つまり水道職員は大阪市の財産なのだ。でもそれを、お金に換算することは難しい。

でも、民営化すれば、モニタリング部署として残る20人以外は全て退職金を払って、民間の運営会社に移ることになる。
そのノウハウは、ほぼフリーで民間企業に移ってしまう。

すでに、関西圏でも技術を失ってしまった自治体は多数。
それを助けることができるのは大阪市しかないかもしれない。

大阪市の水道民営化の話は、大阪市だけで考える話ではないと思う。

■2016年水道民営化への条例案、市会へ提出を受けて
@大阪市水道「民営化こそ問題先送りだ!」
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1071195819586057/?type=3&theater

A大阪市水道 民営化されたら「大災害時は大丈夫?」
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1071444512894521/?type=3&theater

B大阪市水道民営化すれば、「市民負担が軽くなる?」
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1084644201574552/?type=3&theater

■<陳情が大阪市会で質問採用されました!しかし…>
@大阪市の水道民営化プランは「再公営化」の世界のトレンド?
〜3.22World Water Dayに考える大阪市水道民営化問題〜
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1086925211346451/?type=3&theater

■A水道民営化で、逆に「水道料金があがる」不安
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1087767437928895/?type=3&theater

■平成28年3月10日 交通水道委員会の動画はこちらから
http://www.gikai-web.jp/moviefile/w_h28/20160310kousu2.html

■陳情及び記者会見の報告はこちらから
https://www.facebook.com/amnetosaka/posts/1078211742217798
posted by AMnet at 01:22 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月23日

<陳情が大阪市会で質問採用されました!しかし…> <陳情が大阪市会で質問採用されました!しかし…>A水道民営化で、逆に「水道料金があがる」不安

<陳情が大阪市会で質問採用されました!しかし…>
A水道民営化で、逆に「水道料金があがる」不安

〜3.22World Water Dayに考える大阪市水道民営化問題〜

3月10日の交通水道委員会質疑にて維新の杉山市議が、陳情書の内容をもとに質問し、市が解答する場面がありました。ここでは敢えて、杉山市議と同様私たちも不安を取り除き、よりよい案を検討するために「不十分」なところを指摘したいと思います。


■問題は「値上げを断れるのか?」
水道局を民営化すると、
市に水道を運営する技能、経験、人材がなくなってしまい値上げを拒否する権限を形式的には持っていても、実質的には民間会社の値上げ要求を拒否できなくなるのではないか、
という私たちの懸念点を杉山市議は質問されました。

■市の姿勢が明らかに
しかし…市の経営改革課長の回答は以下のような形式的なものでした。

「市側の当該決定(値上げ拒否)に対し、運営会社側に不服等がある場合につきましては、両者で改めて協議等を実施する旨は定めているが、単に、当該決定のみを持って、運営会社側に契約解除権が発生することとはならず、仮に、こうしたことが原因で契約解除に至った場合でも、当然、市が当該損失を補償することにはならないものである。」※()内は筆者

この後、杉山市議は納得されたようで、この点についての質疑を終えてしまいました。

■実質的に断れる根拠は?
しかし、私たちが問題にしているのは…
数十年後の将来、大阪市の職員だった経験ある社員は、必ずいなくなります。
市職員はモニタリング部署の20名だけ。技術職はおらず、市役所内で異動すれば蓄積もできません。
そんな状態で、「値上げは不必要」だと、市側はどう判断するのか、心配です。

報告書ベースで判断する、外部有識者の考えが、判断基準のすべてになるのではないでしょうか?

もし、「値上げが必要」と市が判断すれば、次は市会に水道料金上限を引き上げる条例を上程することになります。

市会が拒否し再協議不調となった場合、「市事由の契約解除」となり、市は、損失相当額を運営会社に支払うことになります。

が、市も外部有識者も「必要」と判断した後、何を根拠に「市会は否決」できるのでしょうか?

料金改定スキーム.jpg


■「本当に値上げ要求を断れるのか?」

海外事例から見ても、運営会社からの値上げ要求を本当に断れるのか、公営の今よりも料金が高騰するのではないかと心配です。

また逆に、本当に値上げが必要な状態でも、適正な判断がそもそもできるのか?が問われています。


■杉山市議、あるいはすべての委員会に参加する議員に対して、上記の点についての追加質問をしていただき、市民ができるだけ不安なく決定できるように委員会での議論を進めることなくして、28日委員会採決、3/29日 本会議採決に至ることがなきよう、求めたいと思います。


■<陳情が大阪市会で質問採用されました!しかし…>
@大阪市の水道民営化プランは「再公営化」の世界のトレンド?
〜3.22World Water Dayに考える大阪市水道民営化問題〜
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1086925211346451/?type=3&theater

■A水道民営化で、逆に「水道料金があがる」不安
https://www.facebook.com/amnetosaka/photos/a.355876991117947.76346.355377027834610/1087767437928895/?type=3&theater

■平成28年3月10日 交通水道委員会の動画はこちらから
http://www.gikai-web.jp/moviefile/w_h28/20160310kousu2.html


■陳情及び記者会見の報告はこちらから

https://www.facebook.com/amnetosaka/posts/1078211742217798
posted by AMnet at 22:53 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月22日

<陳情が大阪市会で質問採用されました!しかし…>@大阪市の水道民営化プランは「再公営化」の世界のトレンド?

<陳情が大阪市会で質問採用されました!しかし…>
@大阪市の水道民営化プランは「再公営化」の世界のトレンド?

〜3.22World Water Dayに考える大阪市水道民営化問題〜

3/10交通水道委員会において、維新杉山市議が、私たちの陳情内容を質問に取り上げてくださいました!しかし…


■大阪市水道民営化プランと「再公営化」は同じか?

世界中で「水道民営化が失敗だった」と、「再公営化」が進んでいる。それが世界の流れだと私たちは主張しています。

それを受けて、杉山市議は
「大阪市も同じ100%出資。ベルリン市も運営しているのは会社が100%出資というだけで、市の直営じゃない。だから、大阪市のこのプランと同じ。再公営化したベルリン市事例が世界のトレンドというなら、この大阪市プランも世界のトレンドだ」
旨、主張されました。

しかし、大阪市水道民営化プランは「水を市民の手から、営利企業に渡す」ことにつながりかねず、まさに「逆方向」です。

私たちは、民営化の失敗を反省し、公の関与を強めて、100%市出資まで戻してきた海外事例を総称して「再公営化」と呼んでいます。

それは、「水を営利企業から、市民の手に取り戻す」ことであり、世界の潮流だと主張しています。大阪市水道は公営であり、すでに「市民の財産」として「市民の手」にあります。


■なぜ「水を営利企業に渡す」ことになるのか?

「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」によれば、「3〜5年を目途に民間に株式売却」が検討されます。その後も「1億円以上の株式売却は、議会が議決すれば可能」と議会答弁されています。

つまり、1億円未満の株式売却は議会のチェックも不要です。
私たち市民、あるいは議会すら気が付かないまま、いつの間にか、大阪市100%出資会社でなくなる。そういった危険をはらんでいます。


株式売却.jpg

■売却した株の行方は?
いったん民間に放出した株式を、制御することは困難です。現在のインフラ投資は、世界的に年金基金などの機関投資家が主流です。

将来的に、海外の年金基金や機関投資家といった、必ずしも「水道事業の公共性・持続性」に関心を持たない株主が、大阪市水道運営会社の主要株主となる可能性が大いにあります。

■杉山市議には、そこを当局に聞いていただきたかったのに、非常に残念です。
杉山市議と同様私たちも、海外での事例も含めて慎重に検討・議論しながら、市民負担を最小限にしつつ、持続可能な水道のありかたを検討していきたいと思います。



■平成28年3月10日 交通水道委員会の動画はこちらから
http://www.gikai-web.jp/moviefile/w_h28/20160310kousu2.html

■陳情及び記者会見の報告はこちらから
https://www.facebook.com/amnetosaka/posts/1078211742217798

posted by AMnet at 22:35 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月08日

【陳情書提出&記者会見実施しました】「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」に関する陳情書

本日、大阪市会事務局に「「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」に関する陳情書」を提出するとともに、市会記者クラブにおいて記者会見を行いました(MBS・読売・朝日・毎日・共同・時事・日経他参加)。

陳情では手書き署名のみの対応となるため、ネットでダウンロードいただき、署名を郵送いただくという、非常に手間のかかる、また時間のない中であったにもかかわらず、311筆もの署名をいただきました。
ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

記者会見では、
・今、民営化が失敗だったと、民営化をやめて、「再公営化」が世界中で始まっていること
・3~5年をめどに株式を民間事業者に売却するが、いったん民間に放出された株式は制御できない懸念。
・各国事例から見ても、民営化後、民間事業者からの料金値上げを将来断れなくなること
・大阪市の料金は大都市の中で全国一安く、世帯の9割以上が給水原価より安い値段しか払っていない中、民営化すれば安くなるなど考えにくいこと
・TPP以外にも、新サービス貿易協定、FTAAP、RCEP等、大型の貿易協定交渉は今後進んでいく中、公共サービスが狙われている。過去のISD事例では、水道料金値上げを拒否したことでも訴えられている。
・民営化すれば、市会のチェックも行き届かなくなり、市民からも手が離れ、どうしてもブラックボックス化すること

等々、さまざまな懸念から、
「まずは大阪市水道が問題があるならば、まずは現状分析から、よりよい公営のあり方を模索すべきだ。」
「くれぐれも市会で慎重に審議すべき。そのための情報が明らかになっていないので、それをまずは明らかにしてほしい」
と訴えました。

詳細については、下記陳情項目をご覧ください。

12810397_856940277766462_653242419_o.jpg


<以下提出陳情書>
大阪市会議長様

「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」に関する陳情書

【陳情趣旨】

本年2月9日に一部見直しが行われた「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」および、大阪市会平成28年第1回定例会にて、2月16日に提出された議案第106号「大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」について、以下の通り陳情いたします。

1.  改正条例案では、「水道事業の業務について、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」を定め、「公共施設等運営権を設定することができる」としています。しかし、水道水を含む水資源は公共のものであり、その管理運営には長期的視野が必要です。公営水道事業の問題解決にあたっては、現状の課題およびその発生原因の分析からなされるべきであり、「民間資金等の活用」などの解決策を先に議論するべきではありません。

2.  改正条例案では、「事業開始後3~5年以内を目途に、新設株式会社の株式の一部を民間事業者に対して売却検討する」旨、記載されています。現在のインフラ投資は、世界的に年金基金などの機関投資家が主流です。将来的に、海外の年金基金や機関投資家といった、必ずしも「水道事業の公共性・持続性」に関心を持たない株主が、大阪市水道運営会社の主要株主となる可能性が大いにあります。

3.  水道設備には更新だけでなく、技術革新による設備のアップグレードが30年、50年の単位での検討が必要です。一方、30年を超える長期的な視点に立った施設等への投資がされることは、株主への説明が困難だと考えます。たとえば、契約期限が近づいた施設の更新がどう担保されるのか。契約年数の終了までの期間にとらわれず、適切な施設更新がされるのか懸念されます。

4.  これまで自治体同士の災害協定を超えて、公共の利益のために、阪神淡路大震災や東日本大震災等の災害時の対応において、日本全国の公営水道事業体が助け合ってきました。公共の利益のための、これまでの公営水道事業体同士の相互支援体制と、営利目的である民間事業者との整合性を、各自治体はどう判断するでしょうか。一方、大阪市の民間事業体は他自治体への支援をどのような基準で判断するのでしょうか。大災害時、営利目的の事業者である民間事業者との協働は、他自治体にとって前例もなく、これまでと同様の対応が可能なのか懸念されます。

5.  改正条例案が提案するPFI方式では、資産所有と政策的な責任は行政に留まるものの、料金収入の利益は民間事業者に譲渡されます。「リスクは行政に、利益は民間に」と言われる通り、結果的に市民のためにならないとの批判が国際的に高まっています。

6.  改正条例案では、水道料金等改定について手続きはあるものの、「再協議が不調となった場合、運営権者は市事由による実施契約の解除を行うことができる」、市事由の契約解除には「運営権者の損失相当額を支払う」旨、記載されています。これまでの各国事例から見ても市職員による現場技術喪失後、民間事業者からの料金改定等の要請拒否は実質的に不可能であり、将来の料金高騰につながると考えます。
7.  一方、公営水道事業の課題解決策として、民間資金の活用ではなく、適切な範囲で水道料金の値上げを行なうことは吹田市などでも予定されており、現実的な解決手段と言えます(日本水道協会の調査によると、平成21年からの4年間で126事業体が料金値上げを実施済です)。今後、長期間にわたって予想される耐震化や水道管網の更新、水道技術の安定的な継承などにかかる費用について、適切な情報開示と丁寧な対話を重ねた上で、住民自身が納得して負担することは、民主主義的手続きに沿った解決策の一つだと考えます。

8.  水道事業の民営化・民間参入については多くの失敗事例が存在します。民間委託契約を結んだとしても、水道事業者が契約内容を守らず、利益を優先した結果、インフラ投資の欠如や水道料金の値上げ、水質の低下などさまざまな問題が世界各国で引き起こされています。1980年代に水道事業を民営化し、「成功例」とされるイギリスにおいても2012年の世論調査で71%が「水道を国有化すべき」と回答しています。水道事業の課題解決においては、世界各国での歴史に学ぶべきであり、拙速な決断は避けなければなりません。

9.  ひとたび水道事業を民営化した国・自治体が再び公営に戻す「再公営化」が、世界各地で進んでいます。オランダのNGO(非政府組織)である「トランスナショナル研究所」の調査では、2015年時点で37か国235事業体が再公営化を果たしました。これらの動きは、発展途上国のみならず、ベルリン市やパリ市でも起こっています。

10.  「再公営化」にもリスクが伴います。それは、契約を途中で解除された民間事業者が違約金や期待されるはずだった利益を求めて提訴される可能性があるからです。仮に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が発効するようなことがあれば、大阪市が民間企業と契約解除をした場合、投資家対国家の紛争解決(ISD)条項によって、巨額の賠償金を支払うよう提訴されるかもしれません。30年契約を途中解除したベルリン水道は、株の買戻しに約1,600億円(12億800ユーロ)負担し、水道料金に重くのしかかっています。巨額の負債を抱えるリスクを引き受けるのではなく、将来にわたって安定した水道事業の運営に注力すべきです。

11. 昨今の報道で取り上げられている地方自治体による新興国での水道技術の移転は、ODA(政府開発援助)等の公金投入がなければリスクが大きく成功しないと考えます。



【陳情項目】
1. 「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」(以下、本方針)及び議案第106号「大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」(以下、本条例案)の審議は、本方針及び本条例案が採択され実行された場合に生じる広範且つ長期的な影響を市議会として十分に考慮の上、長い目での大阪市民の利益を踏まえ慎重に議論を進めること。

2. 本方針及び本条例案の採否に関わらず、市議会として下記の情報及び分析を当局に求め、市民に公開すること。
1)大阪市水道の現状分析
@ 他都市に比べて企業債の比率が高いのはなぜか?
A 職員の生産性が他都市より低いのはなぜか?
B 水道管路の耐震化率が低いのはなぜか?
C 他都市と比較し、大阪市の水道料金をどう評価するか?その理由は?
D 他都市と比較し、大阪市の水道技術をどう評価するか?その理由は?


2)多様な事象・生活インフラとしての長期的な視点から事業の安定性確保と費用試算
PFI等の検討を行う前に、
@ 事業者が数十年という長期間に渡り、設備の更新投資を継続的に行うために必要な設備投資総額見込み、及び当該設備投資総額を踏まえた年間設備投資用積立額。
A 大災害等の発生時の偶発的事象に備えた人員・設備の冗長性の考え方、及び当該冗長性を換算した費用額
を明らかにさせる。


3)大災害時の他自治体等との連携及び相互支援の具体的な計画
自治体組織ではない事業者が大災害時にどのように他自治体と連携し、相互支援を行うのかの具体的スキーム及び計画を提示させる。


4)60年後の経営収支シミュレーションの提示
上記1)〜3)を踏まえ、契約最長期間である60年後の経営収支シミュレーションを自治体以外の事業者、公営の両方の事例で提示させる。


水は生活のもっとも基本的かつ不可欠なインフラであり、水へのアクセス(安価にいつでもだれでも利用できること)は大阪市民の生活にとって欠かせないものです。その運営者が大規模に変更される可能性がある上では、多様かつ偶発的な事象への対応を踏まえ、コスト試算を行い、公営との比較を行い判断を議会・市民ともに進めるべきであり、上記の情報・試算は最低限のものを考えております。

以 上

2016年3月8日


【陳情代表者】 
特定非営利活動法人AMネット


【共同呼びかけ団体】
大阪を知り・考える市民の会
しみんマニフェスト大阪UP
シーダー関西

【賛同人】
樫原正澄(関西大学教授)  
仲上健一(近畿水問題合同研究会 理事長)

posted by AMnet at 17:01 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月03日

【プレスリリース】瞬く間に5000viewを獲得した、「水道民営化」への陳情書提出アクションのお知らせ

報道各位 プレスリリース
2016年3月3日

瞬く間に5000viewを獲得した、
「水道民営化」への陳情書提出アクションのお知らせ

私たちは、「水道事業の民営化」に向け「大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」が大阪市議会に議案提出されたことを懸念し、3月8日大阪市会に対して、「慎重な議論の求める陳情書の提出」を行います。陳情書は現在、Facebookにて注目を集め5000viewを超えていますが、これは陳情代表者であるNPO法人AMネットとしては過去最高の反響になっています。


「水道民営化は失敗だった」と世界中で民営化した水道事業体の「再公営化」が進んでいます。2015年時点で37か国235事業体が再公営化、それは途上国のみならず、ドイツ ベルリン市、水メジャー本拠地のパリ市でも起こっています。水は公共のものであり、長期的視野に立った管理運営が必要です。まずは、世界各国での歴史に学ぶべきであり、拙速な決断は避けるべきです。私たちは市議会での慎重な審議と、審議のための判断材料の提示を求めます。

つきましては、下記のとおり、陳情書の内容及び,今後のアクションについてお知らせする記者会見を開催いたしますので、ご多忙中とは存じますが、ご出席賜わりますようご案内申し上げます。

■記者会見 概要■
◇日時: 2016年3月8日 14:30〜(30分〜1時間程度)
◇場所: 大阪市政記者クラブ
◇内容: 条例案の問題要旨(別紙陳情書)説明及び世界の水道事例を学ぶ学習会の案内等


■陳情■ 
◇陳情代表者: NPO法人AMネット
2003年第3回世界水フォーラム以降、「水道民営化」による問題を注視し、海外NGO等と協働してきた。

■学習会ご案内■ 大阪を知り・考える市民学習会 PART 7 (別紙チラシ参照)
1) 基調講演『世界の水道に今、何が起こっているのか?』(仮題)   橋本淳司氏(アクアスフィア代表)
2) パネルディスカッション(パネラー)橋本淳司氏、大阪市会議員(調整中)
『大阪の水道に民営化が言われているのは、なぜか?そして、それは本当にいい選択なのか?』

【日時】平成28年3月12日(土曜日)12:30開場 13:00開演 17:00終了予定
【資料代】500円)<定員60名> ※要申込み
【場所】大阪市中央区谷町2-2-22 NSビル 9F 
【主催】大阪を知り・考える市民の会 【共催】平松邦夫 「公共政策ラボ」

FB投稿
https://www.facebook.com/amnetosaka/posts/1070939092945063

陳情書(3/3時点)
→ https://drive.google.com/file/d/0Bz4cgaa9CBKLY1N5ZngxZ3ZhYlk/view?usp=sharing


<以下陳情書案>

大阪市会議長様

「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」に関する陳情書【案】

【陳情趣旨】
本年2月9日に一部見直しが行われた「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」および、大阪市会平成28年第1回定例会にて、2月16日に提出された議案第106号「大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」について、以下の通り陳情いたします。

1、改正条例案では、「水道事業の業務について、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」を定め、「公共施設等運営権を設定することができる」としています。しかし、水道水を含む水資源は公共のものであり、その管理運営には長期的視野が必要です。公営水道事業の問題解決にあたっては、現状の課題およびその発生原因の分析からなされるべきであり、「民間資金等の活用」などの解決策を先に議論するべきではありません。

2、改正条例案では、「事業開始後3~5年以内を目途に、新設株式会社の株式の一部を民間事業者に対して売却検討する」旨、記載されています。現在のインフラ投資は、世界的に年金基金などの機関投資家が主流です。将来的に、海外の年金基金や機関投資家といった、必ずしも「水道事業の公共性・持続性」に関心を持たない株主が、大阪市水道運営会社の主要株主となる可能性が大いにあります。

3、水道設備には更新だけでなく、技術革新による設備のアップグレードが30年、50年の単位での検討が必要です。一方、30年を超える長期的な視点に立った施設等への投資がされることは、株主への説明が困難だと考えます。たとえば、契約期限が近づいた施設の更新がどう担保されるのか。契約年数の終了までの期間にとらわれず、適切な施設更新がされるのか懸念されます。

4、これまで自治体同士の災害協定を超えて、公共の利益のために、阪神淡路大震災や東日本大震災等の災害時の対応において、日本全国の公営水道事業体が助け合ってきました。公共の利益のための、これまでの公営水道事業体同士の相互支援体制と、営利目的である民間事業者との整合性を、各自治体はどう判断するでしょうか。一方、大阪市の民間事業体は他自治体への支援をどのような基準で判断するのでしょうか。大災害時、営利目的の事業者である民間事業者との協働は、他自治体にとって前例もなく、これまでと同様の対応が可能なのか懸念されます。

5、改正条例案が提案するPFI方式では、資産所有と政策的な責任は行政に留まるものの、料金収入の利益は民間事業者に譲渡されます。「リスクは行政に、利益は民間に」と言われる通り、結果的に市民のためにならないとの批判が国際的に高まっています。

6、改正条例案では、水道料金等改定について手続きはあるものの、「再協議が不調となった場合、運営権者は市事由による実施契約の解除を行うことができる」、市事由の契約解除には「運営権者の損失相当額を支払う」旨、記載されています。これまでの各国事例から見ても市職員による現場技術喪失後、民間事業者からの料金改定等の要請拒否は実質的に不可能であり、将来の料金高騰につながると考えます。

7、一方、公営水道事業の課題解決策として、民間資金の活用ではなく、適切な範囲で水道料金の値上げを行なうことは吹田市などでも予定されており、現実的な解決手段と言えます(日本水道協会の調査によると、平成21年からの4年間で126事業体が料金値上げを実施済です)。今後、長期間にわたって予想される耐震化や水道管網の更新、水道技術の安定的な継承などにかかる費用について、適切な情報開示と丁寧な対話を重ねた上で、住民自身が納得して負担することは、民主主義的手続きに沿った解決策の一つだと考えます。

8、水道事業の民営化・民間参入については多くの失敗事例が存在します。民間委託契約を結んだとしても、水道事業者が契約内容を守らず、利益を優先した結果、インフラ投資の欠如や水道料金の値上げ、水質の低下などさまざまな問題が世界各国で引き起こされています。1980年代に水道事業を民営化し、「成功例」とされるイギリスにおいても2012年の世論調査で71%が「水道を国有化すべき」と回答しています。水道事業の課題解決においては、世界各国での歴史に学ぶべきであり、拙速な決断は避けなければなりません。

9、ひとたび水道事業を民営化した国・自治体が再び公営に戻す「再公営化」が、世界各地で進んでいます。オランダのNGO(非政府組織)である「トランスナショナル研究所」の調査では、2015年時点で37か国235事業体が再公営化を果たしました。これらの動きは、発展途上国のみならず、ベルリン市やパリ市でも起こっています。

10、「再公営化」にもリスクが伴います。それは、契約を途中で解除された民間事業者が違約金や期待されるはずだった利益を求めて提訴される可能性があるからです。仮に大阪市が民間企業と契約をし、後日、契約解除をした場合、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に盛り込まれている投資家対国家の紛争解決(ISD)条項によって、巨額の賠償金を支払うよう提訴されるかもしれません。30年契約を途中解除したベルリン水道は、株の買戻しに約1,600億円(12億800ユーロ)負担し、水道料金に重くのしかかっています。巨額の負債を抱えるリスクを引き受けるのではなく、将来にわたって安定した水道事業の運営に注力すべきです。

11、上記事項を鑑み、水道事業においては公共施設等運営権制度の導入を議決する前に、下記陳情項目を提示した上で、市会での慎重な議論を要請します。
2016年3月

【陳情項目】
1.大阪市水道経営の課題解決のために以下、自己分析を市民にも示してください。
(1)他都市に比べて企業債の比率が高いのはなぜか?
(2)職員の生産性が他都市より低いのはなぜか?
(3)水道管路の耐震化率が低いのはなぜか?
(4)他都市と比較し、大阪市の水道料金をどう評価するか?その理由は?
(5)他都市と比較し、大阪市の水道技術をどう評価するか?その理由は?
(6)上記項目において、大阪市同様、公営企業である他政令指定都市との違いが出たのはなぜか?

2.施設更新
適切な更新投資を運営権者に行わせる担保を、具体的に市民にも提示ください。

3.災害時対応への懸念
大災害の発生時にどのように他自治体と連携し、相互支援を行うのか、具体的に市民にも提示ください。

4.導入にあたっては不安が払しょくされないので、以下の項目を市民にも示してください。
(1)料金値上げでの財政シミュレーションの提示
大阪市水道局を公営としたまま、水道料金を値上げした場合の財政状況のシミュレーションを算出してください。併せて、持続可能な水道事業運営のためには、月額でどの程度の家計負担増が必要になるのかのモデル提示をお願いします。

(2)60年後の経営収支シミュレーションの提示
最低でも契約最長期間である60年後の経営収支シミュレーションの提示をお願いします。
一部見直し案では30年後の経営収支シミュレーションしか提示されておらず、長期的な視野に立った議論とは言いがたい状況です。例えば、民営化を実行しても平成29年度の黒字は4億円のみです。それ以降の値上げは避けられず、問題の先延ばしに過ぎません。

(3)モデル事例及び新興国での水ビジネス成功事例の提示
大阪市のモデルとなるような国内外でのPFI導入の成功事例及び新興国での水ビジネス成功事例を提示して下さい。昨今の報道で取り上げられている地方自治体による新興国での水道技術の移転は、ODA(政府開発援助)等の公金投入がなければリスクが大きく成功しないと考えます。


【陳情代表者】
特定非営利活動法人AMネット

【共同呼びかけ団体】
大阪を知り・考える市民の会
しみんマニフェスト大阪UP
シーダー関西

【賛同人】
樫原 正澄(関西大学教授)
仲上 健一(近畿水問題合同研究会 理事長)
(他調整中)


※陳情書は現在更新中であり、変更の可能性があります※

posted by AMnet at 22:47 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月24日

【拡散希望3/6〆】大阪市「水道民営化」!?大阪市議会での慎重な審議を求める陳情書への賛同依頼

大阪市「水道民営化」!?大阪市議会での慎重な審議を求める陳情書への賛同依頼


吉村大阪市長は「水道事業の民営化」に向け、「大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」を大阪市議会に議案提出しました。3月29日には本議会は閉会し、一定の結論がでることとなります。2003年第3回世界水フォーラム以降、「水道民営化」による問題を注視し、活動してきた私たちNPO法人AMネットは今回のこの案を非常に懸念しています。

「水道民営化は失敗だった」と、世界中で民営化した水道事業体の「再公営化」が進んでいます。2015年時点で37か国235事業体が再公営化し、それは途上国のみならず、ドイツ ベルリン市、水メジャー本拠地のパリ市でも起こっています。それは水を「商品」として営利目的に扱った結果、水道事業者が契約内容を守らず、利益優先でインフラ投資の欠如、水道料金の値上げ、水道水の質の低下等、さまざまな問題を引き起こしてきたからです。

また、「再公営化」にも巨額の賠償金を支払うリスクを伴います。TPPでの提訴等を考慮すれば、とても「お試し」できるものではありません。

今回のPFI(公設民営)方式は、資産所有と政策的な責任を行政に残し、料金収入の利益は民間に渡る、つまり「リスクは行政に、利益は民間に」と各国事例から揶揄される所以です。また手続きはあるものの、市の現場技術喪失やTPP発効後の訴訟リスクを考慮すれば、民間会社からの料金値上げを拒否することは、これまで各国事例から見てもほぼ不可能です。

水は公共のものであり、長期的視野に立った管理運営が必要です。まずは、世界各国での歴史に学ぶべきであり、拙速な決断は避けるべきです。そのための市議会での慎重な審議と、審議のための判断材料の提示を求める陳情書への賛同を集めます。

3月8日の陳情書の〆切日に向け、3月6日までを締切とし賛同を集めます。一人でも多くの大阪市民の方に知っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

■署名送り先※3月6日必着※ 
〒540-0012 大阪市中央区谷町2丁目2-22 NSビル 浪速産業鞄焉u水道陳情書」宛

リンク先から署名用紙をダウンロードし、手書きの署名をお願いします。
(陳情書は現在更新中であり、軽微な変更の可能性があります)
https://drive.google.com/file/d/0Bz4cgaa9CBKLVGZ4WG1zQ0oxYUk/view



<陳情内容>
大阪市会議長様

「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」に関する陳情書【案】

【陳情趣旨】
本年2月9日に一部見直しが行われた「大阪市水道特定運営事業等実施方針(案)」および、大阪市会平成28年第1回定例会にて、2月16日に提出された議案第106号「大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」について、以下の通り陳情いたします。

1、改正条例案では、「水道事業の業務について、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」を定め、「公共施設等運営権を設定することができる」としています。しかし、水道水を含む水資源は公共のものであり、その管理運営には長期的視野が必要です。公営水道事業の問題解決にあたっては、現状の課題およびその発生原因の分析からなされるべきであり、「民間資金等の活用」などの解決策を先に議論するべきではありません。

2、改正条例案では、「事業開始後3~5年以内を目途に、新設株式会社の株式の一部を民間事業者に対して売却検討する」旨、記載されています。現在のインフラ投資は、世界的に年金基金などの機関投資家が主流です。将来的に、海外の年金基金や機関投資家といった、必ずしも「水道事業の公共性・持続性」に関心を持たない株主が、大阪市水道運営会社の主要株主となる可能性が大いにあります。

3、水道設備には更新だけでなく、技術革新による設備のアップグレードが30年、50年の単位での検討が必要です。一方、30年を超える長期的な視点に立った施設等への投資がされることは、株主への説明が困難だと考えます。たとえば、契約期限が近づいた施設の更新がどう担保されるのか。契約年数の終了までの期間にとらわれず、適切な施設更新がされるのか懸念されます。

4、これまで自治体同士の災害協定を超えて、公共の利益のために、阪神淡路大震災や東日本大震災等の災害時の対応において、日本全国の公営水道事業体が助け合ってきました。公共の利益のための、これまでの公営水道事業体同士の相互支援体制と、営利目的である民間事業者との整合性を、各自治体はどう判断するでしょうか。一方、大阪市の民間事業体は他自治体への支援をどのような基準で判断するのでしょうか。大災害時、営利目的の事業者である民間事業者との協働は、他自治体にとって前例もなく、これまでと同様の対応が可能なのか懸念されます。

5、改正条例案が提案するPFI方式では、資産所有と政策的な責任は行政に留まるものの、料金収入の利益は民間事業者に譲渡されます。「リスクは行政に、利益は民間に」と言われる通り、結果的に市民のためにならないとの批判が国際的に高まっています。

6、改正条例案では、水道料金等改定について手続きはあるものの、「再協議が不調となった場合、運営権者は市事由による実施契約の解除を行うことができる」、市事由の契約解除には「運営権者の損失相当額を支払う」旨、記載されています。これまでの各国事例から見ても市職員による現場技術喪失後、民間事業者からの料金改定等の要請拒否は実質的に不可能であり、将来の料金高騰につながると考えます。

7、一方、公営水道事業の課題解決策として、民間資金の活用ではなく、適切な範囲で水道料金の値上げを行なうことは吹田市などでも予定されており、現実的な解決手段と言えます(日本水道協会の調査によると、平成21年からの4年間で126事業体が料金値上げを実施済です)。今後、長期間にわたって予想される耐震化や水道管網の更新、水道技術の安定的な継承などにかかる費用について、適切な情報開示と丁寧な対話を重ねた上で、住民自身が納得して負担することは、民主主義的手続きに沿った解決策の一つだと考えます。

8、水道事業の民営化・民間参入については多くの失敗事例が存在します。民間委託契約を結んだとしても、水道事業者が契約内容を守らず、利益を優先した結果、インフラ投資の欠如や水道料金の値上げ、水質の低下などさまざまな問題が世界各国で引き起こされています。1980年代に水道事業を民営化し、「成功例」とされるイギリスにおいても2012年の世論調査で71%が「水道を国有化すべき」と回答しています。水道事業の課題解決においては、世界各国での歴史に学ぶべきであり、拙速な決断は避けなければなりません。

9、ひとたび水道事業を民営化した国・自治体が再び公営に戻す「再公営化」が、世界各地で進んでいます。オランダのNGO(非政府組織)である「トランスナショナル研究所」の調査では、2015年時点で37か国235事業体が再公営化を果たしました。これらの動きは、発展途上国のみならず、ベルリン市やパリ市でも起こっています。

10、「再公営化」にもリスクが伴います。それは、契約を途中で解除された民間事業者が違約金や期待されるはずだった利益を求めて提訴される可能性があるからです。仮に大阪市が民間企業と契約をし、後日、契約解除をした場合、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に盛り込まれている投資家対国家の紛争解決(ISD)条項によって、巨額の賠償金を支払うよう提訴されるかもしれません。30年契約を途中解除したベルリン水道は、株の買戻しに約1,600億円(12億800ユーロ)負担し、水道料金に重くのしかかっています。巨額の負債を抱えるリスクを引き受けるのではなく、将来にわたって安定した水道事業の運営に注力すべきです。

11、上記事項を鑑み、水道事業においては公共施設等運営権制度の導入を議決する前に、下記陳情項目を提示した上で、市会での慎重な議論を要請します。
2016年3月

【陳情項目】
1.大阪市水道経営の課題解決のために以下、自己分析を市民にも示してください。
(1)他都市に比べて企業債の比率が高いのはなぜか?
(2)職員の生産性が他都市より低いのはなぜか?
(3)水道管路の耐震化率が低いのはなぜか?
(4)他都市と比較し、大阪市の水道料金をどう評価するか?その理由は?
(5)他都市と比較し、大阪市の水道技術をどう評価するか?その理由は?
(6)上記項目において、大阪市同様、公営企業である他政令指定都市との違いが出たのはなぜか?

2.施設更新
適切な更新投資を運営権者に行わせる担保を、具体的に市民にも提示ください。

3.災害時対応への懸念
大災害の発生時にどのように他自治体と連携し、相互支援を行うのか、具体的に市民にも提示ください。

4.導入にあたっては不安が払しょくされないので、以下の項目を市民にも示してください。
(1)料金値上げでの財政シミュレーションの提示
大阪市水道局を公営としたまま、水道料金を値上げした場合の財政状況のシミュレーションを算出してください。併せて、持続可能な水道事業運営のためには、月額でどの程度の家計負担増が必要になるのかのモデル提示をお願いします。

(2)60年後の経営収支シミュレーションの提示
最低でも契約最長期間である60年後の経営収支シミュレーションの提示をお願いします。
一部見直し案では30年後の経営収支シミュレーションしか提示されておらず、長期的な視野に立った議論とは言いがたい状況です。例えば、民営化を実行しても平成29年度の黒字は4億円のみです。それ以降の値上げは避けられず、問題の先延ばしに過ぎません。

(3)モデル事例及び新興国での水ビジネス成功事例の提示
大阪市のモデルとなるような国内外でのPFI導入の成功事例及び新興国での水ビジネス成功事例を提示して下さい。昨今の報道で取り上げられている地方自治体による新興国での水道技術の移転は、ODA(政府開発援助)等の公金投入がなければリスクが大きく成功しないと考えます。

posted by AMnet at 14:15 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月14日

2015 テグ・慶尚北道 水への人権宣言

2015 テグ・慶尚北道 水への人権宣言

水は生命であり、人権である
〜私たちはすべての人々が持つ普遍的な権利のために力強い公共の水を宣言する!〜

 水と衛生設備への人権に関する国連決議64/292から5年、水の民営化に対するコチャバンバでの闘争から15年を記念し、私たちは、2003年の日本、2006年のメキシコ、2009年のトルコ、2012年のフランスで行なわれた企業主導による世界水フォーラムに反対するグローバル・レベルでの闘いと、オルタナティブな運動という実践にならい、以下を宣言する。

世界水フォーラムは正当なものではない。それは多国籍企業が水および衛生セクター市場へ参入することを推進する見本市である。密室で意思決定者にアクセスするという特権を企業に与えるものであり、地球規模の水危機を解決するための政策を進める場としては機能していない。公共の水政策は広く人々や特に影響を受けるコミュニティへの相談しつつ、民主的に議論されなければならない。

水と衛生は人権である。貪欲で利益を追求する多国籍企業は、普遍的な水への人権を脅かしている。さまざまな形態での民営化は、費用の増加、水質の悪化、非効率性、腐敗と環境破壊などの致命的な結果をもたらした。巨大ダムとインフラ建設、水の移動、採掘産業、水圧破砕という形態による水源の破壊と水資源の商品化によっても、水への人権は侵害されている。私たちは、水を「産業」や「商品」と考える観点に反対する。私たちはすべての形態の民営化政策に反対する。

水はコモンズ(公共財)の一部である。こうした認識のもと、水供給と下水処理は、公的に所有され、運営されなければならない。民営化は阻止されるべきである。私たちは民営化を阻止し、民営化された上下水道を再公営化するための協力を継続する。私たちは、 地方および州政府などの公的セクターに対し、水質と水資源の社会的・生態学的管理を向上させ、必要な場合は地域同士の争いを解決するように呼びかける。人々およびコミュニティによる管理は、透明性やアカウンタビリティ、情報へのアクセスや意思決定への参加などによって強化されなければならない。私たちは、韓国政府に対し、公共の水と衛生サービスを強化する政策を推進し、フランスの他国性企業であるヴェオリア社とのすべての交渉を中止するよう要求する。

私たちは、ポスト2015年開発アジェンダが水と衛生設備への人権や、それらがコモンズの一部であることを承認するよう求める。ポスト2015年開発アジェンダが人権枠組やコモンズに基づく観点に依拠していないのであれば、それは水資源の商品化とサービスの民営化を促進するというリスクを冒すことになるであろう。

私たちは地球規模で水の公正を求める運動として、互いに支援をし合う。私たちは、コミュニティレベル、国レベル、グローバルレベルにおける民営化の阻止と、質の高い上下水道の公共サービスを推進するために連帯を強化する。韓国・慶尚北道・テグから、私たちは世界中の反民営化闘争と勝利を結びつける。

2015年4月14日
2015テグ・慶尚北道 国際オルタナティブ水フォーラム参加者一同

【和訳:堀内葵(AMネット)】
posted by AMnet at 00:00 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月04日

5/30〆大阪市水道局による「水道事業民営化に関するパブリック・コメント」への参加のお願い

大阪市水道局による「水道事業民営化に関するパブリック・コメント」への参加のお願い

現在、大阪市水道局が水道事業民営化に関するパブリック・コメントを募集しています。
●参照:http://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000261507.html
●期間:4月14日(月)から5月30日(金)まで

AMネットでは行き過ぎたグローバリゼーションに警鐘を鳴らす活動を、設立当初より実施してきました。

2003年に滋賀・京都・大阪で開催された第3回世界水フォーラムでは、水道事業民営化に関する分科会を主催し、その後、第4回から第6回までの世界水フォーラムに参加して、世界中のNGOと交流しつつ、私たちの考えを広く伝えてきました。

私たちは、水道事業の民営化自体を問題としているわけではなく、その結果として、水の分配が不公平になることを危惧しています。

私たちは、水は本来「公共財」として扱うべきものであり、決して商品化されるべきものではない、と考えています。

「水は公共財である」という考えは、水問題にかかわる日本や世界の多くのNGOの間で共通の認識となっています。
そして、公共財であるからこそ、「水に関する決定」は、すべての関係者が関われるようでなければなりません。

私たち市民も、住民投票や公聴会、パブリック・コメントなどの形で、その決定に関われるようなシステムが整えられることが重要です。

この点について、今回のパブリック・コメントに際し、AMネットとして以下の考えを提出いたします。

------------------------------
【主張】
(1)大阪市の水道事業民営化基本方針案に、きちんとした情報公開や
  住民との対話のプロセスを盛り込むべきです。

(2)民営化のメリットだけでなく、デメリットや懸念点も合わせて総合的に検討することが重要です。

【理由】
(1)2013年6月に民営化検討を発表し、同年11月に民営化素案を発表、
その後、本年4月に基本方針案を発表するまで、市民に対する公開の
説明会を1度も開催していません。「実施方針案策定に向けた今後の
取組み」でも、パブリック・コメントしか予定されていません。
このように、現在の基本方針案には住民参加の概念がありません。
住民が参加し、水政策の議論に関わることまったく想定していないようです。

(2)民営化のメリットとして「生産性・効率性の追求により、
人件費の減や工事契約方法等の見直しによる事業費の圧縮」とありますが、
安易な人件費削減は、万が一の水道事故や緊急事態への対応が不十分
になることが考えられます。メリットだけでなく、デメリットや「どうなるかわからない」という
未知な点まで網羅した上で、市民が総合的に判断できるようにすべきです。
------------------------------

以上のように、今回の民営化基本方針には、
もっとも重要な民主主義の基本的な事項が欠落していると考えています。
そのため、パブリック・コメントだけでは不十分と主張しています。

AMネット会員の皆様も、上記の視点や、大阪市水道労働組合の見解を参考に、
ぜひともパブリック・コメントに参加してください。


●NPO法人水政策研究所
 http://www.water-policy.com/2014/04/blog-post.html

パブリック・コメントはこちらからお願いいたします。
●大阪市 ホームページ
 http://www..osaka.lg.jp/suido/page/0000261507.html



【以下 大阪市水道労働組合の見解】

大阪市水道局民営化方針(案)に対する組合見解(市民向け)
2014年4月23日

水道事業民営化基本方針(案)パブリック・コメント実施を受けて
大阪市水道労働組合見解
Tはじめに
 私たち大阪市水道労働組合(以下:大阪水労)はこの間、「水」は「基本的人権」であり「公共財」、「水道水」を利益追求の道具や「商品」とさせてはならないとの基本理念に基づき、安心・安全で良質な「水道水」を供給する使命を何よりも大事にしてきました。また、水道施設や事業運営ならびに働く職員の技術・技能等を含め、水道事業全体が市民の財産であるとの認識のもと組合員一丸となって、市民の「生命(いのち)の水」を1年365日1日24時間、1秒たりとも絶やさぬよう守り抜いてきました。

 しかし、橋下市長は、就任以降事業の広域化に向け、大阪広域水道企業団との統合協議を指示し、2013年5月の大阪市会でその統合議案が否決された事を受け、直後の6月19日の戦略会議で「水道事業の民営化の検討」を突然発表しました。
水道局は、市長の指示のもと、11月には民営化素案、12月には水道料金見直し素案、本年4月9日には、素案をより具体化した「水道事業民営化基本方針(案)」が発表され、5月30日までの間、「広く市民の声を聞く」としてパブリック・コメントを実施しています。

 私たち大阪水労は、昨年11月に民営化方針が発表された直後の機関会議において、これまでの基本理念(「水」は「基本的人権」であり「公共財」、「水道水」を利益追求の道具や「商品」とさせてはならない)を踏まえ、水道事業の民営化に反対する立場である事を再確認しました。しかしながら、労働組合が民営化に大声で異を唱えれば、「既得権」を守る為に反対していると捉えられ、私たちの理念や真意は正確には伝わらず、市民に誤解を生む結果に繋がるとの考えから、組合旗を掲げての闘争を慎み、先ずは広く市民に「生命(いのち)の水」を考えて頂く集会イベント等に積極的に取り組んできました。

 労働組合として、水道事業に働く組合員の労働条件については、一定水準が維持されるならば「公」であろうが、「民」であろうが、これまでと同様に水道事業に邁進する覚悟を持ってこの事態に臨んでいます。
私たちの考えの第一義は、「空気」に次ぐ「水」と言う人間の生存に関わる大きな要素の管理を誰に託すのかと言う問題です。過去、先人が目立たないながらもこつこつ地道に積み上げてきた「大阪市民の資産」とも言える水道事業を、誰に預けるのかを選択すると言う問題なのです。

 事業の民営化の方針は、労使で闘争をしようがどう騒ごうが、市会(議会)において最終判断がされる事項です。よって、この「民営化」と言う課題に対しては、市民自身どの様に考えて頂くのか、またその声を市会や市政に如何に届けて行くかがが非常に重要であり、その世論形成作りが、この闘いの鍵だと考えています。
現在、水道当局において実施されているパブリック・コメントについても、市民の声を市政に反映させるひとつの手段として、多くの市民や広く水問題に関心のある人々に主張して頂く良い機会と捉え、労働組合としても広報に取り組む事としました。
ひとりでも多くの市民や、また水問題に関心のある方のパブリックコメントへの参加をよろしくお願いいたします。

 なお、併せて、4月9日に示された水道事業民営化基本方針(案)に対する、労働組合の考え方も以下に記載しておきます。これは、あくまでも、我々の考えを押し付けるものではありません。(案)は民営化を命題として作成されている以上、公営が良いとの視点はどこを読んでも全く排除されています。したがって、私たちの「公営を追求しなければならない」という逆の視点もある事を知っていただく為に参考として記載するものです。

U大阪市水道労働組合の考え方
視点@公営企業の否定からはじまる基本方針案
大阪市の水道事業は一世紀を超える歴史があり、これまで公営企業として幾多の困難(人口増加に伴う施設の拡張、渇水問題や琵琶湖の水質悪化、かび臭に対する対応など様々な課題)を解決し、現在の安定的な水供給に至っています。
そもそも公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進する目標が課せられています。また、水道法でも、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与するとあり、「水道事業(水)」を「公衆衛生」「福祉」に表現される様な人間の生存権に深く関わるものとして扱ってきた歴史があり、それは今でも変わっていません。

大阪の水道事業は、他都市に類を見ない安価な水道料金であり、安定的に今日まで市民の生活を支えてきた実績があります。当然、高度成長期も過ぎ、高齢化・少子化の時代が到来している今日では、設備の縮小やそれに見合った人員体制など、より効率的な体制を追い求める事は必要でありますが、「水」と言う人間にとって欠くことのできない物質だからこそ、公共での経営をあきらめる事無く追求する事が重要であると考えます。
・生存権に関わる水の課題は公が責任を持って管理・運営すべきである。
・基本的人権である水を商売の道具にしてはダメ。
・民間経営では真の公共の福祉は存続できない。
・地方公営企業によりメリットも併記すべきである。
・市民は水道事業の民営化を望んでいない。


視点A災害時に対するリスク管理
日本は阪神淡路大震災、東日本大震災と未曽有の災害が起こり、大阪においても近い将来に発生すると指摘されている南海地震と東南海地震の2つの巨大地震に備えるための対策が重要と言われています。それは、備えとしての水道施設の耐震化と同時に、発生時における速やかな復旧と市民の命を繋ぐための応急給水に対する資機材や技術力を持った人の確保が必要です。

 東日本大震災においては、発生当日には公の連携として多くの水道事業体の職員が東北に駆けつけ、寝食を忘れ復旧・復興に努力しました。これは、「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」とした地方公務員としての使命を果たした結果です。この様な震災時などの有事の際に、水道施設の復興を行う事は、市民の生命を守る事であり、公としての責任としてその位置づけは明確に示しておく必要があると考えます。
現在、大阪市水道局に働く職員は、日々の業務を通じて震災時にも対応できる技術力を向上させ、市民と接する事によりその「生命(いのち)の水をいつ何時でも送り続ける」と言う精神を養っています。

 運営会社におけるリスクの考え方は、あくまでも経営に悪影響を与えない様に、一定の範囲内と決められ上での運営であり、不測の事態に至った時点では、もう市側には水道事業のプロは存在しない状態となっており、非常に対応が不確かな状況となる可能性があります。
また、東日本大震災の時の様なスムーズな全国の自治体との連携が公と公以上に公と運営会社(民)との間に確立できるかという点も、これもまた非常に不明確で不安が残るばかりです。市民の生命・財産を守るという公の使命の観点からの議論も重要だと考えます。

・災害時における運営会社の責任の所在が不明確で不安である。また、職員が施設復旧や、応急給水活動など民間人の立場でどこまで関わるのかも不明です。
・大阪で災害が起こった場合、誰が指示を出し、復旧作業を行うのか?行政に、水道施設の技術者(プロ)は果たして存在しているのか?
・民間となった運営会社の職員は、災害時に公僕として、自らが犠牲となって働けるのか?


視点B民営化すれば水道事業の将来はバラ色か?
ア)民間経営とは
橋下市長は、水道事業を民間に委ねる事で財政負担が減り、市が培ってきた技術力を生かした国内外水ビジネスへの参入により収益アップが可能となる。さらには水道料金も引き下げる事が出来ると発言し、この民営化プラン作成の指示を出しました。民営化論者の多くが語る「お役所仕事の硬直化したコスト高」から「民間に委ねることにより競争原理をもってコストを削減し、事業そのもののクオリティが上がる」というロジックは本当に水道事業にも当てはまるのでしょうか?

 私たちは、民間経営を否定している訳ではなく、公営によるメリット・デメリット、民営によるメリット・デメリットを良く見極め、「人間の生命(いのち)を繋ぐ水」の事業の経営を誰に託すのかを慎重に判断しなければならないと考えています。
民営化とは、市民目線という観点から見れば、収益は役員報酬や株主配当に回される企業活動の正論からして、「市民に100%再投資されない」ことを意味しており、公営企業のように経営をチェックし決定する権利を市民自身が失う事を意味します。国民の為に低廉な水道料金をという命題を課せられた事業に「利益」をのせて、その目的は成し遂げられるのか甚だ疑問です。

・民間では市民が支払った水道料金の使い道が適正かどうか直接チェック出来ない。果たして公正で公平な水道料金を維持できるのか?
・水道料金に儲けをのせるような事はすべきではない。私たちの支払った料金は誰かの利益ではなく、将来の水道事業の持続の為に利用されるべき。
・民間経営を否定している訳ではなく、公共性の強い水道事業に関しては、民営化は馴染まないと考える。

イ)海外の失敗事例(水道事業の再公営化の流れ)
ヨーロッパを中心に1980年代後半から大きく拡がった水道事業の民営化は、25年から30年という長い契約期間を通して、「民営化」そのものの実態像がようやく明確に見えてきました。それぞれの都市で民間委託契約の更新時期が迫る中、民営化によって当初見込まれた債務削減や料金値下げ、サービスの向上などは、何ひとつ改善しなかった事実を踏まえ「民営化は失敗だった」と、契約更新をせずに再公営化を決断する自治体が続々と現れています。

 フランスでは、150年続いた民間運営の「フレンチモデル」の象徴であったパリの水道事業が、08年にヴェオリアやスエズなどの水企業との契約更新をしないことを決定し、2010年に再公営化を実現しました。原因は、受託初年度から続く値上げ(265%増)の料金や、改善されない市債残高やサービスなどの問題もさることながら、受託企業の腐敗した体質や汚職などの性格が色濃く、政治問題としての再公営化決定です。しかし、このような流れを受けて、欧米各地域ではあらたなフレンチモデルとして続々と「再公営化」を選択する状況となっています。
ドイツのベルリン水道では、1995年よりヴェオリアやテムズなどの多国籍水企業が事業運営していましたが、うまくいかず2013年に再公営化を果たしました。しかし、再公営化のためにベルリン政府が30年契約の破棄に費やした金額は日本円にして約1,800億円です。民営化という毒饅頭を手にした結果、市民は膨大で気の遠くなるような代償を払うことになったのです。

 また、25年前からすべての自治体で水道が民営化されたイギリスでは、70%もの市民が水道事業を運営する民間企業に失望し、再公営化を望んでいます。現在、スエズの大口契約先でもあるインドネシアのジャカルタでは、15年続いた不平等な委託契約を破棄して事業を再公営化しようと、政治的リーダーシップとともに市民が国際法廷で闘争を展開しています。これが世界の「水道事業民営化」の実態です。
水道事業の民営化が、市民にとって良い選択肢だという話は幻想であり、今や水道の民営化は、単なる「時代遅れの選択」だと断言できるものです。
・海外でも民営化の失敗事例が多くあり、水道事業の民営化を行うべきではない。
・水道事業の民営化は時代遅れの考え方だ。
・世界の100に迫る地域水道が再公営化しているのになぜ大阪市はいま民営化?
・大阪万博時代の成長路線の幻想を追うあまり、現実が見えていないのでは?

ウ)海外展開は儲かる?
世界では、汚染された不衛生な水しか手に入らない人々が8億人いると言われています。また、トイレなど衛生的な生活が困難とされる人々は25億人いると言われています。国連や世界中のNGO団体などの努力もあって、この数字は少しずつ改善されてきているとはいえ、未だ世界ではこのような水事情が現実として横たわっています。
しかし一方では、希少な水を絶好のビジネスチャンスととらえ、世界8兆円規模と言われる水ビジネスが、日本を含むアジアや世界中で激しく展開されている状況となっています。その仕組みは、世界銀行や国際金融機関が貧しい債務国に対して、お金を貸す条件に水道事業などの公共セクターを民間へ売却する様に求め、世界の水企業がその受けざるになると言う図式で拡大し、結果、発展途上国でのビジネスの権利を得て、水を商品として提供するに至りました。
国内においても、政府は成長戦略の一環として「原発」「新幹線」と同様に、水道事業を海外展開させ、表向きは、水へのアクセス改善と言う「国際貢献」を謳いながら、現実は金儲けをしょうと画策しています。

 今回の基本方針(案)でも、民営化後の収益事業として海外展開がひとつの大きな柱として位置づけられ、その利益による水道料金値下げを民営化メリットとして掲げています。しかし、海外における水ビジネスは、10年以上前から外国の多国籍水企業が支配をし、後発となる日本が、思惑通りの利を得る可能性は非常に低いと言われています。
また、当初は、水道施設が普及していない地域へ設備の建設や水道技術の指導などにより多少の利益をあげる事が出来たとしても、いずれは、「生命(いのち)の水」に対してその地域での自前運営をし、管理をしていく考え方が芽生え、それ程大きな収益をあげる事は難しくなっていくと考えられます。当然の理屈として、それほど世界では「水は公共財、水は商品であってならない」と考える人々が多く存在しているのです。
いすれにせよ、儲かるのか儲からないのかという議論よりも、自然相手の「近い水」をどうやってコントロールするかに専心すべきであり、民営化後の海外展開による利益獲得は、本当に大きなリスクの伴うものだと言えます。

・国際貢献に名を借りた金儲けはやるべきではない。
・後発の水道事業の海外進出は、成功しない。日本は、真の国際貢献をすべき。
・海外展開などの展望よりも、本業の大阪の水をどうすべきかに専心すべき。
エ)水道料金は本当に安くなるの?
今回の水道事業民営化のメリットとして、水道料金の値下げを掲げています。これまでも水道料金については、様々な自治体で政争の具として取り扱われてきた経過があります。
先の平成の市町村合併においても、様々な料金体系があった自治体がひとつになる場面では、首長の人気取りの為に、それまでの水道事業の財政状況や将来の設備更新に対して深く考えず、安易に一番安い料金に合わせ、将来に負担の先送りをした事例が多くありました。

 大阪市においても、市長の指示のもと水道料金値下げの案が昨年12月に発表され、その考え方がこの基本方針(案)にも盛り込まれています。
現在、国内における多くの自治体の水道料金は逓増性の考え方を導入し、これまで生活用(家庭用)水については、料金をおさえる方策がとられています。大阪市も同様の経過をたどり今日に至っており、生活用水では原価より低い価格設定となっています。しかし、その料金体系を陰で支えてきた大量使用者の減少により、全体的な給水収益は下降状況となっています。大阪市は、基本方針(案)でも示されている様に、非常に安価な料金となっており、過去に莫大な資金を投入した高度浄水処理水の導入場面に至っても、料金値上げを行ってきませんでした。いま置かれている私たちの水道料金制度というものは、当然ながら将来にわたって水道事業を持続させる為に、局内における効率化を最大限行いながら、
値上げも想定した真摯な議論を、市会で行うべき段階に来ているのではないでしょうか?

 しかし現実は、民営化メリットを大きく映し出す為に、現市長が値下げの検討を指示し、公営企業として、基本水量(10㎥)の廃止、基本料金の引き下げ、多量区画料金の引き下げを発表しました。これによる年間収益への影響はマイナス6億円となり、大幅な収益ダウンの状況が先に作り出されました。そしてそれを回避する為には、「是が非でも民営化を進めないとだめだ」というロジックを周到に演出しているのです。私たちとしても、公共の福祉の観点から、生活者に優しい水道料金は望むところですが、それは、将来にわたる安定的な水道事業の持続性を考慮した上で成り立たなくてはなりません。もし、民営化後の経営が失敗をすれば、市民生活はいったいどうなるのでしょうか?自然を相手とする水道
事業で、大きな気候変化や水環境の変化にも対応し、安定的に水をつくり送り続けていかなければならない現場は、非常にリスクを伴うものです。
 一時の議会での力関係に翻弄され、政争の具となり、その持続性が脅かされてはなりません。民営化になり、安定経営が出来る保証は、この資料のどこにも具体的に記載されていません。あくまで、構想(案)として、語られているだけです。失敗のつけは結局、将来世代が支払わなければならない事となります。その時は、現在の市長は責任をとられるのでしょうか?広く、市民の声を聴き、慎重な議論が求められていると考えます。

・水道料金を政争の具としてもて遊ぶな!
・民営化のメリットは水道料金の引き下げとされるが、その値下げの保障はない。
・民間経営が失敗すれば、結局は市民の負担増になる。
・30年間水道料金の値上げをしないと約束は出来ない。

視点C現在、真に取り組むべき事は?
 基本方針(案)でも触れられているように、国内の水道事業は、少子高齢化による給水収益の減少、高度成長期に敷設した管路の更新や設備の耐震化、中小事業体の技術者の不足など、課題が山積しています。その対応策として、基本方針案では、国内の水道事業者の再編、広域化を図り事業の持続性の確保に努めるとされ、成長産業とする為に、市場競争力を強化し、海外案件に積極参入すべきとしています。
しかしながら、その考えは正しいのでしょうか?水道事業は、供給地域全域にわたる管路や、莫大な投資によって完成した浄水場など、その地域の資産としての地域独占的な性格が強い装置産業です。また参入には、将来にわたる大きな設備投資が必要となる事から、競争の原理は有効に働かないものです。100年先を展望した場合、「水道事業は儲からない、儲かるべきではない」が世界の定説です。

 また、成長戦略として、海外で儲けるとありますが、それもあくまで一過性のものに過ぎず、後発の日本の立場では非常に不確実であり、市民を巻き込んだ冒険の要素が非常に強いものです。国内での成長は見込めないとして、海外に打って出るもうまくいかなかった場合、それは国内需要者(市民)がその被害を被る事となってしまうものです。
私たちは今だからこそ、求められているのは「成長ではなく安定的で持続可能な水道事業への転換」であると考えます。公公連携として取り組まれた、先の企業団との統合協議に対しては、私たち労働組合として何ら異論も唱えず、事の推移を見守っていました。それは、私たちの賃金・労働条件などというものよりも、水と言う自然循環の一部を切り取り利用している事業で働く労働者として、最終的には、流域管理などの広域が適切であろうと考えた結果のあらわれです。

 生存権に関わる水道水を取り扱う事業は、公と公が緊密に連携をとれる企業団と言う経営形態が、市民に対して「最終的な責任の所在」も含め有効だと考えたからです。昨年の企業団との統合議論は、結果的には市会で否決されましたが、再度互いの立場を理解しながら、企業団との統合など公公連携の道を追求する事が今、求められている事だと考えています。
・企業団との統合など、公公の連携を模索すべき。
・海外展開は公で本当の国際貢献を!
・成長路線から決別し、持続可能な水道事業を追求せよ!



【パブリックコメントの送り方】
大阪水道局ホームページ参照http://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000261507.html
※基本方針案とパブリック・コメント記入用紙はホームページよりダウンロード出来ます
(1) 電子メールの場合
次のアドレスへお送りください。
E-mailアドレス:pabukome@suido.city.osaka.jp
(2) ファックスの場合
次の番号へお送りください。
ファックス番号:06‐6616‐5409
大阪市水道局 総務部
経営改革課 あて
(3) ご送付の場合
はがき・封書にて次の住所へご送付ください。
〒559‐8558 大阪市住之江区南港北2丁目1番10号
アジア太平洋トレードセンター(ATC)ITM棟9階
大阪市水道局 総務部
経営改革課 あて
(4)ご持参の場合、次の場所へご持参ください。
大阪市水道局総務部
経営改革課
場所:大阪市住之江区南港北2丁目1番10号
アジア太平洋トレードセンター(ATC)ITM棟9階
最寄り駅:ニュートラム 『トレードセンター前』駅
受付時間:土・日曜日、祝日を除く、午前9時から午後5時30分まで
(ただし、午後0時15分から午後1時を除く)
※ご持参の場合は、上記場所でのみの受け取りとなりますので、ご了承ください。
posted by AMnet at 13:21 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月29日

【9/1東京】『国際水映画祭2012』にてAMネット理事の堀内葵が解説を担当します

「水」にまつわる各国の優れた映像作品を日本で紹介し、水を通して環境を、経済を、貧困を、政治を、人類の未来を考えていきたいとの思いから企画された『国際水映画祭2012』。昨年12月、日本では初めて開催されました。

 今年は5作品の上映に加え、「水俣と福島―水・海・魚の放射能汚染とどう向き合うか」と題した特別シンポジウムも開催されます。

120901-IWFF.png

 この映画委細にて上映される映画「雨さえも―ボリビアの熱い一日」(2010年/スペイン・フランス・メキシコ/99分)の解説を、「水と人権」を軸に水問題に取り組んできたAMネット理事の堀内葵が担当します。

■日時:2012年9月1日(土)10:00〜20:00
    (10:10〜11:50 映画「雨さえも―ボリビアの熱い一日」上映)
    (11:50〜12:05 作品解説 堀内葵 NPO法人AMネット理事

■場所:東京・国際連合大学(東京都渋谷区神宮前5-53-70)

■アクセス:東京メトロ表参道駅B2出口(銀座線・半蔵門線・千代田線)より徒歩5分
      渋谷駅東口・宮益坂口より徒歩10分

■前売券:2000円(高校生以下:無料)/当日券:2500円 (25歳以下:2000円)

■お問い合わせ:
 国際水映画祭実行委員会
 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 PARC気付
 TEL;03-5209-3455 / FAX:03-5209-3453
 E-mail:office@parc-jp.org
 Web:http://www.parc-jp.org/mizu_eiga/
 twitter:https://twitter.com/mizu_eiga
posted by AMnet at 21:02 | TrackBack(0) | 水の私営化問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする