2009年06月29日

垂井から未来を見据えた地域づくり-報告-


所源亮さん講演.jpg 

このブログでも開催の案内をしていた6月27日の岐阜県垂井町でのイベント「垂井から未来を見据えた地域づくり 〜所秀雄さんの教えを引き継いで〜」に参加してきました。
 
 垂井町出身の所秀雄さんは、様々な市民活動に多くの足跡を残されました。昨年の生誕90周年に続いて今年も所秀雄さんの教えを受け継ぎ、これからの地域づくりに活かしていくために地元垂井で学習会が開かれました。

 今回は所さんのご子息の所源亮氏が最初に講演され、地球の歴史や人類史を振り返りつつ、言語や貨幣、そして文明がどのように今日の社会につながってきたか、また今後社会はどの方向を目指していけば良いのか、さらにそれらを踏まえて垂井の町で何が出来るのか、何をすべきかが語られました。

 所源亮氏は、いずれは枯渇するだけの石油エネルギーからの脱却について、また地域循環、地産地消の重要性を示しつつ、そうした取り組みを垂井の町から情報発信していくことを提案され、さらに同地区出身で最も知名度の高い豊臣秀吉の軍師であった竹中半兵衛の名を冠した勉強会を、第一線で活躍する人を招いて開催する“竹中半兵衛戦略会議”や地域の事業や雇用を支える“竹中半兵衛基金”や“竹中半兵衛紙幣”の発行などについて話をされました。

記念学習会後半.jpg

 会の後半は、地域のつながりや地産地消、地域資源の有効活用などに具体的に取り組まれている地元の方をパネラーに加えてディスカッションが行なわれました。

 同会では地域づくりにおいて最も大切なものは、行政への住民参加、自治であり、所秀雄さんも垂井においてその実現を強く願っておられたこと、そして現在垂井町では、そのための具体的な骨子となる自治基本条例づくりが進められていることが紹介されました。

 人任せにせず関心をもち主体的にかかわっていく、そのような自治の精神や取り組みこそが地域づくりの礎となることが、この会でも示されたように思います。
 
 これまでのグローバリズム一辺倒による世界経済が行き詰まりを見せる今日、地域からの経済再生、人々の暮らしの再建は、オルタナティブの最も具体的な1つの姿として、今後益々その重要性を明らかにしていくのではないかと思う昨今です。(W)








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2009年05月01日

立山でリフレッシュ


 祭日の4月29日に富山県の立山に行ってきました。何年かぶりの春山登山です。前日、会社が終わってから富山に向かい一泊し、翌日早朝に出発して一路白銀の立山へ。


 近年、地方の鉄道が少なからず採算割れで廃線となっていますが、今も健在な富山地方鉄道で立山駅に、そこからはケーブルとバスを乗り継いで立山の玄関口室堂に到着。


室堂.jpg

 
 立山への登山は6年ぶりです。天気は快晴で風もなく、絶好の登山日和でした。それでも山頂付近の気温は氷点下、まだまだ雪も多く、登るにはそれなりの装備が必要です。都会とは別世界の春の北アルプスです。雪


 昨年のリーマン破綻以来、日本国内の景気も悪化し、自分が勤める会社も広告収入が少しずつですが、減り続けています。


 今のところ、リストラも減給もないものの、これから先は予想もつかない、というかあまり明るい材料が見当たらない、という感じで、先行き不安は少なからずといった状況です。


 でも、大自然の前にはちっぽけな不安はすぐに消し飛んでしまい、立山の雪景色に感激し、すっかりリフレッシュして帰ってきました。


 山好きの自分ですが、実は高所恐怖症で、少しでも危険そうな所になると、身体がこわばって思うように動けません。それでも一歩一歩足下だけを見ながら歩いていくと、何とか前に進むことができ、うまくいけばそれなりの山の頂に立つことも出来る、という事を登山を通して学びました。


 こんな時代でも、きっと次の時代への足場はあるはずです。足を踏み外さないように一歩ずつ進んでいきたいと思います。


山頂近くで記念撮影.jpg


(若間泰徳)

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2009年04月16日

中谷巌氏と内橋克人氏の著書を読んで

 最近、中谷巌氏の『資本主義はなぜ自壊したのか』を読みました。
 中谷氏は、かつて新自由主義や構造改革の急先鋒と言われた経済学者で、最近になって転向を表明、新自由主義との決別を宣言し、この本を著したことで注目が集まっています。

 最初はこの本を買ってまで読むつもりは無かったのですが、最近出たばかりの内橋克人氏の『共生経済が始まる』を買ったときに、読み比べてみたいと思いました。

 内橋氏は、ずっと以前から新自由主義や市場原理主義に警鐘を鳴らし続けた人、そして中谷氏は、かつて新自由主義の推進者でありながら、今はそれを翻して反対派になった人、この二人の本を読み比べると、何か違いがあるのではないだろうか、また二人のものの見方や考え方の違いがより鮮明になるのではないかと思いました。

 そして、この二人の本を読んで感じた一番の違いは、"視線" でした。

 内橋氏の著書の中に表れている視線は、社会全体を見渡しながらもその中に住む人や人の暮らし、生活というものへと真っ直ぐに向かうものであり、一方、中谷氏の著書に表れているものは、個人の生活よりもどちらかといえば社会や国レベルの領域に重点が置かれていたように思いました。
 
 社会の全体像の中に埋没させず、一人ひとりに向けられる暖かく鋭い眼差し、そうした視線をもって早くから問題の本質に迫っていたのが内橋氏であったように思います。

 中谷氏は、かれこれ10年近くも実は新自由主義や市場原理主義と呼ばれるものが、本当に社会にとって有益なものか疑問を感じていた、と記しています。しかし学者としてそれまでの持論を翻すには相当な準備と時間も必要だったのでしょう。今さらの“ざんげの書”は、遅すぎるとの感もありますが、同著の中には見るべきものも多くありました。

 今後の中谷氏の活動に期待したいと思います。(W)

nakatani.jpg  uchihashi.jpg



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2009年04月06日

値下げ合戦の果てにあるもの

 先日、ある中小メーカーの人がこんな事を言っていました。
 「自分たちの商売はとても大変になってきた。売っても売っても利益が出ない。それはダイエーが“価格破壊”を言い出したころからどんどん酷くなってきた」

 昨年のアメリカ発の金融危機以降、日本国内でも景気の悪化が深刻化しています。こうした中、大手スーパーのイトーヨーカ堂やイオン、西友をはじめ、多くの小売業が“生活応援”をうたい文句に、商品の値下げを打ち出しています。
 イトーヨーカ堂は、食料品や衣料品、日用品など2600品目を3月18日から一斉値下げすると発表。同時期にイオンも自社ブランドの「トップバリュー」の価格引下げを2200品目に拡大し、さらに一般メーカー品についても食品を中心に3400品目の価格引き下げを打ち出しました。一方、ウォルマートの完全子会社となった西友も昨年12月、“お客様へのマニフェスト”として「地域でいちばん安いお店をめざします」を宣言するなど、多くの小売業が値下げ合戦の様相を強めています。

 一見、消費者にとっては嬉しい値下げかも知れませんが、半面、そのしわ寄せが、取引先である卸売業者や製造業者、あるいは農産物などの生産者に及んでいるケースも少なくないようです。全ての値下げが悪いとは思いませんが、一方で行き過ぎた“買い叩き”もあるのは事実です。
 一般消費者にとっては価格の背景はなかなか見えないのが現実ですが、「安いほうが良い、安いところで買う」という消費行動は、個人のフトコロにとっては合理的な選択かも知れませんが、雇用や産業の安定化などを考えれば社会全体としては必ずしもベストであるとは言い切れないし、個人にとっても実は不幸な勘違いがそこにあるかも知れません。

 様々なつながりによって成り立っているのが社会だと思いますが、今日、そのつながりはどんどん見失われているように思います。つくる人、売る人、買う人、それぞれのつながりもまた同様です。(W)


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