2011年03月03日

【報告】AMネット主催学習会『カフェで学ぼう世界のしくみ』の第7回「子どもの貧困 in Japan Part2」

2月26日、AMネット主催の連続学習会「カフェで学ぼう世界のしくみ」の第7回
「子どもの貧困 in Japan Part2 −心にも広がる貧困−」を開催しました。

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Part1から1年あまり。
前回は、日本の子どもの経済的な貧困を柱に現状をお伝えしました。

でも今、人と人とのつながりが薄れたと言われる社会の中で、悲しい事件が続く現実を見るにつけ、心の中にも貧しさが広がってきていると実感します。

学習会では、子どもや親が社会で置かれている現実を、「こころ」の面から考えてみました。

虐待、というと特別な親の問題、と考えがちですが、地域のつながりが薄れ始めた今の社会では、「どんな親子の間でも起こり得る」問題になってきています。

20年前と比べて、孤立感やいらいらを感じている親が3倍に増えているという統計もあり、それをそのまま放置することによって、孤立が深刻化し、虐待のような大きな問題に発展することがある、
と認識され始めています。
最近では「孤育て」という言葉も生まれているようです。

学習会では、実際の統計を紹介し、地域住民が参加する取り組み例や、他国の状況等を紹介しながら、自分たちの身近なところをふり返って考えてみました。また、無償の活動という面についても考えました。

社会で人と人とのつながりが薄れてきたことは、グローバル化によって、人と人との関わりの形が変わってきたのだと思います。

AMネットとしては風変わり?なテーマでしたが、「なぜこれほどに社会が変わってきたのか」、「つながりを取り戻すために、私たちに何ができるのか」、ということを、1人1人が考えてみるきっかけになれば、と思います。

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また、今回は、AMネットの総の後、同じ会場で開催されたこともあり、いつもに増して多彩な顔ぶれ?の方にご参加いただきました。
皆様、どうもありがとうございました!

AMネットの学習会シリーズ2 は、これで終了です。
またシリーズ3 も計画していますので、どうぞご期待ください!
ご案内は、ブログやメルマガで。
メルマガの登録はこちらへ → http://www.am-net.org/mail-maga/mail-maga.htm

これからも、多くの皆様と一緒に学んでいきたいと思います。

(AMネット事務局・渡里)
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2010年12月05日

【報告】国際協力NGOのための会計セミナー  いざ申請! 認定NPO法人

「国際協力NGOのための会計セミナー」
‐いざ申請! 認定NPO法人‐

というセミナーに、堀内さんと一緒に行ってきました。

認定NPO法人とは、NPO法人格を持つ団体が、さらに国税庁の認定を受けるもので、寄付金控除などの税制上の特例措置を受けられるようになる制度です。

2009年の統計では、全国のNPO法人の数:38,997、その中で認定NPO法人の数:187。たった0.5%の狭き門。。これはおかしい!ということで、条件が緩和されてきているんですが、いまだにそんなに増えていないのが実態らしい。

講師は、すでに2回の認定を受けた、認定NPO法人国際ボランティアセンター山形(IVY)の事務局長、安達三千代さん。ざっくばらんに、とっても正直に、実際のところを話してくださいました。

ゴールは、「参加者にの方々に、認定を取ろう、思っていたより簡単かも..という気持ちになっていただくこと」。こんな心強い激励?!からスタートしました。

認定NPO法人のメリットとデメリット、準備から申請〜取得までの流れ、制度の概要、そして実際の申請書類の一部を書いてみる、など細かくお話していただき、質疑応答を含めると1時間くらい?オーバー。参加者は経理担当の方も多く、みなさんの関心の深さが感じられるなー。。

さて、実際のところなんですが、、、

1年ほど前に調べた時と比べると、現在は条件が緩和されて、正会員の会費も一部寄付金と考えることができるので、経常収入に対する寄付金の割合が1/5以上、という条件は満たされやすいかな、と思います。来年(2011年)の3/31までは、この条件の実績判定期間が2年なので、書類をそろえやすいし。3/31を過ぎると、元の5年に戻るのか、また2年という措置が延長されるのか、この辺はまだわからないようです。

一方で、認定に至るプロセスをお聞きすると、さすがに国税庁はきっちり細かい!
かなりの事務作業に加えて国税庁の実地調査もあり、うーんやっぱりかなり大変そう。。

メリットとしては、
 確定申告した寄付者の方が、税金の還付でそのお得感をジワジワと実感してくださっているようだ、
 傾向としては、企業の寄付が増えてきた、
 事務作業も、慣れてくればそれほどの手間ではなくなりつつある、
とのことでした。

デメリットは、
 地方自治体のふるさと納税やNPO基金など、所得税に加えて地方住民税の控除も受けられる寄付制度があり、それが競合になってしまう、
 認定NPO法人の認知度が地方はまだまだ低い、
 会計士さんに会計のチェックをしてもらったり実地調査に立ち会ってもらったり、という費用がかかる、
などが挙げられました。

事務作業は、慣れれば大丈夫!とは言われたものの、実際の作業をお聞きすると、忙しい事務局でさらに認定のための追加作業や実地調査は結構負担だなー、、というのが、正直な実感です。会計士さんなどのコストも必要になるし、各団体にとってそれに見合うメリットが期待できるかどうか、がポイントだろうと思いました。

さてさて、参加された団体の方々は、どうされるんだろう。。
AMネットは、どうする???

(渡里)
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2010年01月21日

「こどもの里」


前回、孤立する親支援の話を書きます、と書いたんですが、その前に。


先日、釜ヶ崎にある「こどもの里」という所を訪問する機会がありました。ここは、児童館と学童保育を兼ね合わせたような子どもの居場所で、家庭養護寮として子どもの生活の場にもなっていて里親も引き受けているそうです。でも実は、子どもだけじゃなく、親も、必要がある人は誰でも受け入れてくれる場所です。


日本最大規模のドヤ街と言われる釜ヶ崎の中にあって、駅から歩く途中も労働者風の方が大勢おられて一種独特の雰囲気がありました。なんとなく場違いのような感じがして。「こどもの里」の入口を入ると、亡くなった子どもたちの写真が何気なく飾られていて、それもちょっとした衝撃でした。ここは、外国籍の人や施設で育った人、10代の若い夫婦やひとり親家庭も多く、その中で、精神疾患を抱えてしまう親御さんも多いそうです。


虐待や暴力などで親から相談を受けることも多く、子どもの支援というだけでなく、親も含めてどんな状況でも全部ひっくるめて支援していくという姿勢が、びんびんと伝わってきました。支援などという言葉は適当じゃないかもしれません。全部ひっくるめて関わっていく、一緒に問題に向き合っていく、という感じ。設立当初から30年、ずっと問題に向き合ってこられた館長さんは、本当にすごい人です。スタッフの人たちも、明るく礼儀正しくて、子どもはここでホッとできるんだろうなーと感じます。


考えてみれば、私の家から1時間ぐらいで行けちゃう場所なんですよね。なのに、初めて釜ヶ崎という現実に触れた気がしました。私に何ができるんだろう、、、と考えつつ、今このブログを書いています。


でも、「わが町にしなり子育てネット」なんていう地域ぐるみで助け合って子育てしようという取り組みができていたり、地区のさまざまな個々のケースを、子どもと直接関わる実務者たちで話し合う場があったり、地域での仲間のつながりを作って助け合っていこうという取り組みがあることも、教えていただきました。地域住民の一人一人のつながりが、結局は日本全体、世界全体へ拡がっていく大切な源になるのかなー、などと改めて思うきっかけとなりました。


次回こそ、虐待を軽度の段階で予防するための、孤立する親支援の仕組みについて、書きますね。


(渡里)

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2009年12月23日

日本の子どもの貧困のこと(1)


2年ほど前から「日本の子どもの貧困」に関心を持っています。


先日、「子どもの貧困 in Japan」という学習会(11/14)を担当させていただいたのですが、思ったより多くの方々に関心を持っていただき、びっくりするやらうれしいやら。未熟者の担当者がメインを務める学習会にご参加いただいた皆さま、この場を借りて感謝しますexclamation


「貧困」とは何だろう?お金がないと物が買えないだけでなく、実は社会的に排除されたり孤立してしまうこと、特に子どもの場合には成長過程でいろんな機会が奪われて、人生全体に影響するほどの不利を背負ってしまうこと、だから大人になってもなかなか貧困から抜け出せず、その子どもも同じ環境に置かれてしまうこと、などを話し合いました。改めて「貧困」がなぜ問題なのかを考える機会になったかなと思います。


日本で、「子どもの貧困率」が先進国の中でアメリカに次いで高い状態であることは、最近ようやく知られるようになりました。母子家庭の貧困率が60%を超えることも、ようやくメディアで紹介されるようになってきました。でも、所得の再分配後(税金やら福祉の手当てやらで収入が調整された後)に、貧困率が下がるどころか上がってしまう(exclamation×2)特異な国であることは、参加者の方々も一番驚かれた現実だったようです。日本の福祉政策は、貧困を拡大してしまう状態にあるのです。ようやく「子ども手当」も決着し、少しは子どもの貧困が是正されるのではないかグッド(上向き矢印)と期待しています。


また、貧困は親たちの心の余裕を奪ってしまいます。日々の生活のために働くことに忙しすぎる親たちは、十分に子どもをケアする余裕がなくなってしまうのです。「貧しいけれど楽しい我が家」と言いますが、現実はそんなに甘くはない。。


日本の子どもの貧困は、私たち日本の大人に責任があると思います。もちろん多くの大人たち特に若者の貧困は、日本社会にとって重大な問題ですが、それがさらに次の世代にも受け継がれ始めていることは、よくよく考えなければならないと実感しています。世界中の貧しい子どもたちに手を差し伸べているNGOは、世界中に多くあります。では、だれが日本の貧しい子どもに目を向けてくれる? 私たち日本人は安穏と見ていていいの? と考え始めたのが、この問題を調べ始めるきっかけでした。


どうして子どもがこんなに深刻な状態になったのか、どうすれば次の世代に悪い連鎖を残さずにすむのか、実はすぐ身近にある問題を、見て知って考えることから道が開けるのではないかと思っています。


次回は、「貧困」の概念をちょっと広げて、孤立する親を支援する活動の話を書きます。


(渡里)

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