2009年12月27日

川上豊幸のコペンハーゲン日記2(国連COP15)


12月22日(火) コペンハーゲンから帰ってきました。現地では連日会議続きで、報告を書く時間もないような状況でした。


たまたまですが、食事しているところに、モード・バーロウさんが居られて、私のことを覚えていたらしく、少しだけ話をしました(※)。


↓ モード・バーロウさん

Maude Barlow.png


 さて、水資源や商品化等の問題を扱った「ブルー・ゴールド─狙われた水の真実」という映画が来月16日より公開されます。http://www.uplink.co.jp/bluegold/


モード・バーロウ、トニー・クラークの新書の映画版だそうで、ミニシアターのポレポレ東中野、アップリンク、シネカノン有楽町3館同時上映だそうです。


(※)モード・バーロウさんは、カナダ人評議会のメンバーで、水問題に関して国際的に活動する主要人物の一人。著書に『ウォーター・ビジネス』(作品社)など。2003年3月に京都・大阪・滋賀で開催された第3回世界水フォーラム時に、AMネットも参加した世界水フォーラム市民ネットワークの招聘で来日したことがある。

世界水フォーラムについては、当ブログ・カテゴリーの「世界水フォーラム2009」(コチラ)を参照のこと。

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2009年12月22日

STOP温暖化!世界同日アクション実行委員会声明


AMネットも参加したSTOP温暖化!世界同日アクションの実行委員会からCOP15の結果を受けて声明が発表されました。


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STOP温暖化!世界同日アクション実行委員会声明


「日本政府は生きるか死ぬかの温暖化問題に、世界の市民社会の声を聞き、原発に頼らない中期目標30%削減を掲げ、世界の合意形成に貢献せよ」


2009年12月21日


「日本政府は生きるか死ぬかの温暖化問題に、世界の市民社会の声を聞き、原発に頼らない中期目標30%削減を掲げ、世界の合意形成に貢献せよ」


●COP15は高まる危機感に応えられず−期限も守れず、究極の目標の設定にも失敗した。

COP14で初めて公式に発言された「大気中CO2濃度350ppm」「(産業革命以前からの)気温上昇1.5℃の安定化」を目指すべきとする小島嶼国連合(AOSIS)の声はCOP15で更に強くなり、海面上昇で自国が沈められようとしているツバルは涙の訴えでその実現を求めた。この主張は、閣僚級会合においても少なくない国々の公式発言として繰り返された。

にもかかわらず、大排出国26カ国が先行して取りまとめた「コペンハーゲン協定」文書案はこれらを無視し、「2℃での気温安定化の必要性の確認」というあいまいな表現にとどまった。全体会合でこの案は受け入れられず、全く不十分な決議が上げられただけだった。

ツバルのような国々が国自体の存続を賭けて交渉に臨んでいることを、大排出国の首脳は理解しなければならない。

現在各国から公表されている規模の温暖化対策では、3℃上昇での安定化がせいぜいだとの条約事務局の分析も間接的に伝えられており、すべての国が提案した削減目標の上乗せをただちに行われなければ温暖化対策は失敗するということを、強く自覚すべきである。

さらに、交渉を半年だけ延長するための会議も開催せず、法的文書の作成期限を決められなかったことは、期限を決めて妥結を目指してきたこの2年間のバリ行動計画が失敗に終わったことを意味する。今後、ずるずると先送りを続けることに歯止めはあるのか、強く懸念される。


●市民社会からはCOP15に向けて、過去に類を見ない規模のさまざまなキャンペーンが提起された。

12月12日にはデンマークでは公式発表10万人のデモがあった。また、「350.org」では10月24日の同日キャンペーンの世界182カ国・約5200箇所でのアピールや、会期中のビジル(キャンドルライトによる祈りの会)、3000以上のイベントが紹介されている。TckTckTck「公正で野心的、拘束力のある議定書を求める」"I am Ready"オンライン署名には、世界各国から1500万人が参加、Seal the Deal「コペンハーゲンで決めよう」オンライン署名も行われた。世界各地でのハンガーストライキの呼びかけもあった。

日本でのMake The Ruleキャンペーンの12月12日アクション、そして私たちが同時に展開した「STOP温暖化!世界同日アクション」も、これらの活動の一環となれたことを誇りに思う。


●日本のマスメディアの報道では、問題の本質と市民の懸念が無視され続けた。

国内のマスメディアの報道は、COP15が単なる経済的な綱引きの交渉や「先進国と途上国」の単純な対立ではなく、多くの人々の生死を賭けた交渉であるという視点が欠落していた。

環境NGOsの連合体気候行動ネットワーク(CAN)が選定している『本日の化石』賞には毎日、先進国のボイコットや躊躇の不名誉が記録されており、『化石』賞を取った途上国はわずか数カ国であった。日本のマスメディアが批判を集中させた中国は一回も授賞していない。明らかに、報道は不十分であり偏ったものだった。

気候の交渉がこの先どんな進展をみせるかは、これからの各国での人々の意識醸成にかかっており、報道機関の果たすべき役割は大きい。日本のマスメディアは、その役割の重さを自覚し、先入観無しに多様性のある報道に努めるべきである。


●「原発に頼らない中期目標30%削減」の実現に向けて


大規模な代替エネルギーが緊急に必要な温暖化対策として、原発は役に立たない。費用も高く、他の資金を吸い上げてしまい、全体としての対策を停滞させる悪影響もある。使用済み放射性廃棄物の処分場問題は解決不能で深刻な問題を先送りしているだけである。また、チェルノブイリ原発のような事故は回復困難な環境破壊をもたらし、そうした事故や汚染を制御するために、日常的に膨大なコストも発生する。

このような側面を考慮し、京都議定書では、「先進国は原発をCDMの適用対象としては差し控える」とする最低限の良識は残っていた。

しかし、国内での新設が困難なことから、「温暖化対策」を名目として、日本企業による途上国への原発輸出が進められようとしている。特に、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)が適用されると、技術と資金を提供した「北」の国が、原発による汚染やリスクを南の国の人々に押し付けて、建設の対価ばかりか排出削減の利益まで二重取りするという醜い構図となってしまう。

日本政府は、COP15における失敗を繰り返さないために、2020年の中期目標として温室効果ガス30%削減(1990年比)を掲げるべきである。そして命や環境に対する原発のリスクを直視し、原発に頼らない国内温暖化対策、途上国支援策をもって国際交渉に臨み、公正で野心的な拘束力のある目標の合意形成に貢献しなければならない。


参考:
http://twitter.com/ks91020
http://www.350.org/
http://tcktcktck.org/people/i-am-ready
http://www.sealthedeal2009.org/
http://www.maketherule.jp/dr5/node/1061
http://www.maketherule.jp/dr5/cop15/fossil_of_the_day
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2009/12/12【STOP温暖化!世界同日アクション】
http://blog.livedoor.jp/no_nukes_stop_cc/

みどりの未来(運営委員 キャンペーン・イベント担当)
http://www.greens.gr.jp/

みどり関西 (運営委員)
http://ioku.cool.ne.jp/midorikansai/index.html
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2009年12月17日

川上豊幸のコペンハーゲン日記(国連COP15)


12月4日(金) ブリュッセルからコペンハーゲンに到着。キャビン・インという会場近くのホテルに宿泊。しかし、2人部屋にも関らず、細い別途が2つ並べてある超〜狭い部屋で、びっくり。

今回は、コペンハーゲンでは、米国のレインフォレスト・アクション・ネットワークとして活動していくので、同僚の到着を待って、登録作業のために、5時過ぎに、会場のBELLA CENTERに行く。登録者も少なく、閑散としていて、簡単に登録終了。その後、夕食を食べに、中心部に地下鉄で移動。多くの古い建物が並ぶ繁華街にて、夕食。


12月5日(土) 2週間の交渉の間、滞在するアパートに移動。広々とした3ベッドルームの部屋。朝食などは自炊となるので、とりあえず買出しに出発。体制を整える。


12月6日(日)Climate Action Network(気候アクションネットワーク、CAN) Internationalの会合に参加するためにコペンハーゲン大学へ。CANの会合に出席。吸収源などの森林分野に関連する土地利用、土地利用変化(LULUCF)のワーキンググループに参加。その後、地域別では日本のワーキンググループに参加。


12月7日(月) 会合の初日。初日の会議予定表を入手して確認。RANが参加しているEcosystem Climate Alliance(生態系気候連盟、ECA)の朝のミーティングに参加。午後は、LULUCFの作業部会に参加。午後には、CAN−JAPANの会合に参加。夕方に日本政府との意見交換会に参加。午後8時からメディア向けの記者ブリーフィングに参加。

 これらの合間に、会議場で行われている会議を傍聴。


12月8日(火) 基本的には初日と同じサイクル。ECAでは、途上国の森林保護による排出抑制を目指すREDD(森林減少・森林劣化による排出削減)に関する交渉の現状について情報共有を行って、活動の展開方法などを議論を行うので、それを受けて、日本向けに何ができそうかを検討。FOEJapanの気候交渉担当の江原さんと共同して森林問題に対処しています。

 LULUCFのWGでは、先進国の削減目標設定に関ってくる吸収源について、これまで京都議定書では、カウントが選択制だった森林管理分野を義務化するとともに、カウント方法を適正化するための交渉をフォローしていく。REDDについては、REDD実施に当たって必要となるセーフガード措置の原則の文言化が進行中で、先住民族や地域住民の権利や、森林管理の法制度の実施のあり方(森林ガバナンス)、生物多様性の保全、特に天然林を植林地などに転換することを明確に排除するための規定を入れ込むことを柱に活動している。そのために、気候変動交渉では森林の定義が、天然林と植林を区別していないので、この点についても問題提起するなど課題は山積している。


12月9日(水) 朝からミーティング続き。今日は、夕刻に、森林分野の交渉担当者との意見交換会が予定されているので、そのための準備も行う。日本の提案は、吸収量のカウント方法として、京都議定書と同じグロスネット方式を推進しているが、グロスネット方式では、基準年の吸収量をゼロと想定するので、1990年基準で見たときの実際の炭素吸収増加量よりも多くの吸収量となってしまう。他の国々においては、これらの吸収量を85%割り引いて、上限設定がなされている。日本も基準年の国全体の排出量の3.8%までの上限が交渉で設定されている。しかし、日本については割引率は適用しなくていいことになっている。

 ただ、日本の場合にはNarrow Approach(狭い方法)といわれる施業対象にした森林のみを 計測するという計測方法がとられているので、他の区によりも吸収量の対象は狭くはなっている。

 森林分野の排出・吸収量計測は、京都議定書決定後のマラケシュ合意で、京都議定書の発効もにらんだ政治的決着がなされたために個別適用されるような細かいルールが多くあり、なかなか複雑な内容になっている。しかし、吸収量として認められれば、全体の削減目標から差し引くことができるので、重要な分野の一つで、交渉としては最後まで予断を許さないものになっている。

 政府との意見交換会では、グロスネット方式の問題と、今回提案されている将来の伐採計画を基準設定に盛り込んだプロジェクションを考慮したリファレンスレベル方式の問題点について指摘し、日本の立場を質した。しかしながら、これまでと同様の返答。会合の途中で、REDDの担当者も到着したので、REDDについての問題点についての意見も述べ、会合終了後に、ECAの作成したテキスト修正案を渡して解説した。


12月10日(木) 交渉が続く

12月11日(金曜日) 交渉が続く

12月12日(土曜日) 土曜日も同様に交渉は継続。日本から環境大臣も到着した模様。

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